自殺志願者を募った池袋ホテル殺人 犯人が書いていた「自殺の脚本」の中身

文春オンライン / 2019年10月1日 5時30分

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北島は「自殺を手伝う」と伝えていた ©共同通信社

 本人は「女性から殺してほしいと頼まれた。手で首を絞めた」と供述しているという。東京・池袋のホテルの客室で江東区南砂の無職、荒木ひろみさん(36)が殺害された事件。警視庁は9月18日、埼玉県入間市の大東文化大4年、北島瑞樹容疑者(22)を殺人の疑いで逮捕した。

 警視庁担当記者の話。

「荒木さんは12日夕方、一緒に住む両親に『病院に行く』と告げて家を出た後、手足を縛られ、布団圧縮袋とシーツにくるまれた遺体となってホテルで見つかりました。目立った外傷はなく、わいせつ目的は確認されていない。防犯カメラにはキャリーケースを持った男の姿が映っており、捜査一課は周辺のカメラ映像をたどって北島を特定しました。袋などは事前にスーパーで購入し、殺害方法を携帯で検索した形跡もあり、計画的な犯行が疑われます」

“計画的”とは刑事裁判で多用される用語だが、それというのも、計画性は殺意の強度や怨念の度合いを指すとみられているからだ。

 だが今回、北島は荒木さんと初対面。それでも男女をホテルの一室に落ち合わせたのは、ツイッターでのやり取りだった。

「北島はツイッターの複数のアカウントを持ち、自殺志願者を募っていた。そこに応募したとみられるのが荒木さんです。捜査一課が北島や荒木さんの携帯電話から削除されたデータを解析するなどした結果、判明しました」(同前)

 思い出されるのは2017年、ツイッターなどに自殺願望を書き込んだ9人の男女を「一緒に死のう」と誘い出して殺害した白石隆浩被告(28)の事件。「本当に死にたいという人は1人もいなかった」と言いながらも殺害を続けた白石の明確な動機は、いまだ謎だ。

 だが、北島の場合は「死」への興味を、自らの「作品」に滲み出させていた。

劇団で「自殺」をテーマにした脚本を執筆

 大学では劇団の活動に打ち込んでいた北島。ツイッターでも劇評を展開し、ドラマ「警視庁・捜査一課長」について〈ラストの安達祐実さん、本当にボロ泣きしていて凄いなー〉と、自分を捜査することになる組織にも関心を示す一方で、脚本も執筆していた。テーマは他でもない、「自殺」だ。

 脚本では自殺を図ろうとする小説家が描かれる。その親友は断念させるショック療法として、逆に自殺を教唆。小説家は結局、踏み切れずに生を選ぶ。

 親友はその後、小説家の心境をこう推し量る。

「でも、本当は止めてほしかったんじゃないでしょうか」

 自殺願望者も、本当は生への渇望を隠している――そんな心境を見透かしての犯行なら、罪は余りに重い。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年10月3日号)

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