『なつぞら』女優・大原櫻子が明かす“佐藤健の恋人役”の鮮烈デビューで「ずっと感じていた焦り」

文春オンライン / 2019年10月5日 17時0分

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©三宅史郎/文藝春秋

『カノジョは嘘を愛しすぎてる』でオーディションに参加した5000人の中からヒロイン役に選ばれ一躍話題になった大原櫻子さん。演技力もさることながら、圧倒的な歌唱力を武器に舞台やミュージカルでも活躍しています。来年2020年には名作ミュージカル『ミス・サイゴン』でヒロイン役が決定している大原さんに聞く、鮮烈なデビューからこれまで。(全2回の2回目/ #1 より続く)

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5000人から“佐藤健の相手役”に選ばれた鮮烈デビュー

――明智小五郎と怪人二十面相が登場する、現在公演中のミュージカル『怪人と探偵』ですが、このタイトルだけでは予想もつかないようなストーリー展開が面白かったです。

大原 お客さんの予想を裏切って裏切って進んでいくので、皆さんに「びっくりした」という感想を頂くことも多いですね。ストーリーだけではなくて、昭和モダンな衣装やセット、大規模な舞台演出なんかも見所で、本当に盛りだくさんの作品です。

――大原さん演じる令嬢・リリカも、第1幕と第2幕で印象がガラリと変わりますよね。

大原 第1幕では「この子ってどういう子なのかな?」という印象で終わるんですが、その後にリリカの持つ闇が晒される。リリカに限らず、第1幕では「どうなってくんだろう」がいっぱいあって、第2幕でその疑問が面白さに次々と変わっていくのを体感していただける作品です。

――大原さんの圧倒的な歌唱力にも引き込まれました。そもそも大原さんは17歳のときに映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(以下『カノ嘘』)で5000人の中からヒロイン・理子役に選ばれ、スクリーンと同時にCDデビューを果たします。まさにシンデレラガールですね。

大原 ありがとうございます(笑)。オーディション自体は半年以上の長い期間で、「もしかして映画の話自体なくなるんじゃないの?」と疑ったほどで。

――何次選考ぐらいまであったんですか?

大原 うーん、4次選考以上ですね。最初はドキドキしていたんですが、段々と呼び出されても「またか」ぐらいにしか思わなくなっていたんです。そしたらまた「打ち合わせで来てください」って言われて行ったら、会議室に人がブワーって並んでいて「座ってください」と。もしかして何か怒られるのかな? とか考えていたら「あなたが理子役に決まりました。相手役は佐藤健さんです」といきなり発表されて……。

――そこで相手役も発表されたんですね。

大原 「えー、ガムのCMで踊ってる人じゃん!」って(笑)。でも、うわぁ……と困惑と感動を同時に感じた後、すぐに頑張らなきゃっていう焦りがこみあげてきて。舞い上がろうにもなかなか舞い上がれなかったんですよね。

――オーディションでは歌唱審査もあったそうですが、大原さんの選曲には女子高生が歌うにはちょっと珍しいような曲が入っていました。美空ひばりさんの『愛燦燦』や、平井堅さんの『LOVE LOVE LOVE』(絢香cover ver)というラインナップで。

大原 流行とかには疎いんですよね……。なので両親の影響もあったりして、好きな楽曲は昔のものが多かったりします。洋楽も聞いたりします。

 理子役だったら、もっと流行りの楽曲を選ぶべきだったのかもしれませんが、自分の好きな曲、自分の歌唱力を最大限発揮できる曲を選びました。

大原櫻子が「紅白」よりも緊張したのは……

――音楽プロデューサーの亀田誠治さんは「歌うために生まれてきた子」と特に大絶賛だったそうですが、オーディションまでに歌を習っていたんでしょうか?

大原 小学生の頃は今の私の歌い方とは正反対な声楽を習っていました。とにかく歌うことが好きで、小学校の時から自分の好きなことだったり、特技を披露する「○○発表会」ではすぐに歌っていました(笑)。高校からは友達とバンドを組んで、文化祭で披露したり。

――文化祭で大原さんが歌ったら絶対話題になりますよね。何を歌ったんですか?

大原 椎名林檎さんとかSuperflyさんをカバーしていました。実は『カノ嘘』のオーディションも文化祭で歌ってる私を見て、友達が「女子高生で歌が大好きな主人公だから、櫻子に絶対合ってる」って、応募を勧めてくれたんです。

――バンドと言えば、主人公の理子はギター少女ですよね。『カノ嘘』が決まる前からギターは……?

大原 いえ、全然。撮影の2か月前から猛特訓して、持ち方から「違う違う、ダメダメダメ」と言われ続けて、必死に頑張りました。

――持ち方から特訓していた大原さんも今では「紅白歌手」です。2015年に自身で作詞を担当された『瞳』での初出場でした。やはり紅白は緊張しましたか?

大原 毎年家族と見ていた紅白歌合戦に自分が出るなんてびっくりですよね。でも紅白はお祭り状態で、緊張する前にハイテンションになるんです。現場もみんな楽しきゃいいよね、みたいな。しかも紅組のトップバッターだったので、気づいたら終わってたんです(笑)。

――ということは全然緊張しなかった?

大原 緊張したと言えば、人生で初めてテレビで歌を披露した『FNS歌謡祭』が一番かもしれません。生放送で、しかもmiwaさんとのコラボ。

――それは緊張しますね!

大原 オイオイ! って感じですよね。もう泣きながら練習しましたよ。本番は今でも思い出せるほどすごく緊張しました。

「櫻子さ、眉毛の表情がないんだよ」と言われたデビューだった

――歌の初披露という話で続けてお聞きするんですが、『カノ嘘』もほぼ初演技でいきなりの主演ですよね。それこそ苦労が多かったように思います。

大原 監督に何回も何回も、「櫻子さ、眉毛の表情がないんだよ」っていうことをずっと言われて。自分としてはしっかり演じているつもりなんですが、それをうまく表に出せないというストレスがありました。これはどうしたもんかなと。『カノ嘘』が終わってからも続いた課題だったんですが、やっと自分の中で納得した表情ができるようになったのは舞台への挑戦がきっかけでした。

小さい頃に憧れたミュージカル『ミス・サイゴン』でヒロイン役に

――2016年から始まる地球ゴージャスプロデュースの『The Love Bugs』ですよね。この公演で舞台初挑戦となるわけですが、その後も『リトル・ヴォイス』や劇団☆新感線『メタルマクベス』など続々と出演されます。

大原 最初は緊張している暇もなく、とにかく自分のやるべきことをやるしかない! という思いでぶつかっていく毎日でした。ありがたいことに出演させていただく作品にも恵まれていて、やりがいのある舞台を経験させてもらっています。

――着実にミュージカル・舞台の世界でも実力を発揮されていますが、来年2020年には名作ミュージカル『ミス・サイゴン』で、ヒロイン・キム役として出演が決定しています。

大原 出演が決定した瞬間は素直に嬉しかったです。それこそ小さい時に『ミス・サイゴン』を見て、舞台の世界に憧れを持ったんです。オーディションはワークショップのような形で、受かる受からないに関わらずすごく濃厚なレッスンだったなと。

――オーディション形式だったんですね。今回は大原さん以外にも3人(高畑充希・昆夏美・屋比久知奈)の方々がキム役を演じられます。これはフォースキャストと言うんでしょうか?

大原 舞台ですと「クワトロキャスト」と言いますね。みっちゃん(高畑充希)は『わたしは真悟』という舞台で共演させていただいて以来ご飯も行ったりして、先輩なんですけど友達のような親しみやすい方なんです。今回のキム役も「不安なところもあるけど、頑張ろうね」と話したり。昆さんは初共演なんですが、この間も『マリー・アントワネット』を観劇しまして、いやあカッコいいなって。ご一緒できて本当に光栄です。屋比久さんは『モアナと伝説の海』で素敵に歌われていて、可愛らしいなって思っていて。本当に尊敬できるお三方と共演する貴重な機会を頂きました。

――同じ役を演じる上で、それぞれに個性も出てくると思います。大原さんはキムという役をどう演じられるか、イメージが出来ていますか?

大原 稽古も始まっていないのでまさに今も考えている最中なんですが、キムの強さを演じるのは大事なのかなと思っています。少女時代から始まり、子供を産んで、大人の時代に至るまでを演じる中で、少女としての純粋さも、女性としての力強さも演じ分けていきたいです。

「自分の軸はやっぱり『お芝居』なんです」

――大原さんは女優・歌手で、その中でもミュージカルだったりドラマだったり様々なことに挑戦されています。同世代を含めて、ここまで幅広く活動されている人も数少ないと思いますが、一番大切にされていることはなんでしょうか?

大原 自分の軸はやっぱり「お芝居」なんです。歌手のときも歌詞は台詞で、それがメロディーに乗っているか乗っていないかの違い。ミュージカルも、本質はお芝居を音楽に乗せることだと思っていて。だからすべて「お芝居」という軸があるんです。

 私はシンガーソングライターでも脚本家でもないので、自分の「お芝居」を通して誰かの想いをお届けするのが私の仕事だと思っています。

( #1 より続く)
写真=三宅史郎/文藝春秋

#1 「吉沢亮は熱い男なんです」“天陽くんの奥さん”大原櫻子だけが知る『なつぞら』撮影秘話
https://bunshun.jp/articles/-/14530

INFORMATION

舞台『怪人と探偵』

中川晃教 加藤和樹 大原櫻子 高橋由美子 六角精児 他

あらすじ
昭和34年(1959年)東京麻布。元子爵北小路家の令嬢・リリカ(大原櫻子)と安住財閥御曹司・竜太郎の婚約発表の日、北小路家の大広間では、華やかな仮面舞踏会が催されていた。パーティの最中、不思議なことに、誰も気づかぬうち、大広間の柱時計には怪人二十面相(中川晃教)の犯行予告状が貼り付けられる。『3日午後10時北小路家の家宝「パンドーラの翼」を頂戴する』指定の日時、二十面相の犯行を阻止するために、探偵・明智小五郎(加藤和樹)が北小路邸を訪れる。明智を一目見た北小路家の令嬢のリリカは明らかにショックを受ける。明智も動揺を抑えている。実はリリカには暗い過去があり、明智とリリカには深いつながりがあったのだ。10時を告げる鐘の音と共に、予告通り怪人二十面相が現れ、「パンドーラの翼」は爆発、明智は負傷し、二十面相がリリカを連れ去ってしまう。

(「文春オンライン」編集部)

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