《チョ・グク法相辞任》検察改革をめぐる韓国人の”複雑な国民感情”がついに爆発し、文在寅は耐えられなかった

文春オンライン / 2019年10月14日 22時17分

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辞任を表明した曺国法相 ©AFLO

《韓国チョ・グク電撃辞任》文在寅が守り切れなかった”2つの理由”「支持率急降下」「10・15以降の国監」 から続く

「曺国(チョ・グク)辞任」の一報を受けたとき、むしろ遅いと思いました。そもそも文在寅大統領による任命自体が間違いで、常識的に考えればあれほど疑惑を抱えて家族も捜査を受けている状態の人間を法相に就任させることはありえません。

 ただ、これだけ事態が長引いた背景には、検察改革をめぐる韓国の複雑な国民感情があるのです。

 曺国任命を強行した理由のひとつに、曺国でなければ検察改革を強力に推進することは難しいという文大統領の強い思いがありました。国民の間でも、この「検察改革を強力に推進したい」という気持ちには多くの人が賛成しています。

 一方で、検察改革には賛成だが、本当にそれは曺国のもとで行わなければならないのか、別の人物ではダメなのか、という思いを抱く国民が大勢いたのも事実です。

 こうした国民感情は、最近のデモにもよく表れています。曺国を支持する進歩派(改革派)の集会にも、曺国をやめろという保守側の集会にも、若者は少ない。無党派層の多い若者は、どちらにも乗り切れないのです。

 つまり、検察改革を行わなければならないという曺国の志には同意するが、まさに”タマネギ男”と呼ばれるほど疑惑にまみれた曺国の人間性には賛同できない、ということです。検察改革に期待を寄せる若者を裏切った結果となったことは、曺国自身もよくわかっていて、辞任のコメントの中で「特に若者に対しては申し訳ない」と述べていました。

 こうしたアンビバレントな国民感情の中で、事態は長期化したわけですが、結果的には、とどまるところを知らない”タマネギ男”のスキャンダル発覚に、ついに国民の堪忍袋の緒が切れて、「曺国を罷免せよ」に一気に傾いていきました。

与党の若手に溜まった不満

 また、国民感情とは別のところで、与党の若手議員を中心に、このまま曺国を法相に据えたまま来年4月の総選挙に突入するのは避けたい、なんとか彼を引きずり下ろしたい、という動きもありました。

 彼らは元・与党の重鎮議員のもとに駆け込み、「青瓦台になんとか言ってくれないか」と不満を伝えていたそうです。与党の若手議員からすれば、表立って曺国に「辞めろ」と言うと、政権に逆らったことになり、党からの公認を受けることが難しくなることが考えられる。かといって、黙っていると来年の総選挙で負けてしまう。にっちもさっちも行かない状況を打開するために、重鎮議員に外野から指摘してもらおうという魂胆でした。いわば与党内部からも不満が噴き出していたわけです。こういう動きは、朝鮮日報が「11月までに曺国を整理しなければ総選挙は戦えないと与党内部からも声が上がっている」(10月14日付)と報じられています。

 そんな状況に加えて、今週末に曺国の妻に逮捕状が請求されるという見通しもあり、今週予定されている法務部と検察への国会議員による「国政監査」でも厳しい追及が予想されています。それで、政権もついに庇いきれなくなったのでしょう。

 今回の曺国辞任までの一連の騒動で、明らかに政権与党は大打撃を受けました。ただ、これで一挙に政権が崩壊するかというと、そこまでは至らないと考えます。

 野党の支持率が上がっていますが、「崩壊」と呼べるほど大きな流れになっているわけではない。むしろ曺国辞任によって、国民感情は「みそぎは済んだ」という方向に向かう可能性もあります。それだけに政権の方針が一変するということも考えづらい。もともと、検察改革に対する世間の支持はあります。蜥蜴の尻尾切りによって、文大統領は立て直しを図ってくるでしょう。

【チョ・グク辞任で任命責任追及へ】背水の文在寅政権の命運を握る「朴槿恵カード」とは? へ続く

(朴 承珉/週刊文春デジタル)

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