一つになれるか抗争か 72歳の若頭出所で「山口組」はどうなる?

文春オンライン / 2019年11月6日 6時0分

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出所した高山若頭

 10月18日午前6時前、山口組ナンバー2の高山清司若頭(72)が約5年ぶりに府中刑務所を出所した。

「高山氏を乗せたワゴン車が向かった品川駅には、若頭補佐の竹内照明氏ら山口組幹部が出迎え、警戒を強めた警察当局も多数の捜査員を配備。暴力団捜査を担う警視庁の組織犯罪対策三課長、組対四課長や組対部の参事官まで姿をみせていました」(社会部記者)

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 首にコルセットを巻き、杖をついて現れた高山氏は新幹線のグリーン車で、出身母体である山口組二次団体「弘道会」がある名古屋を目指した。

「名古屋市内で散髪を済ませた後、弘道会の傘下組織で放免祝いが行なわれ、六代目の司忍組長も姿を見せました。高山氏の今後の住まいなどの拠点は、弘道会と近いリゾート開発業者が用意するものとみられています」(警察関係者)

 収監前の高山氏は徹底した組織の締め付けで、山口組を束ねてきた。“直参”と呼ばれる二次団体の組長を神戸の山口組本部や名古屋に当番制で縛り付け、上納金の他にペットボトルの水や歯ブラシなどの日用品の購入を強制。自ら主催する賭け麻雀でもカネを吸い上げたとされるが、その反動は高山氏の収監後、一気に噴き出すことになるのだ。

「山口組が創設100年を迎えた2015年の8月、組織運営に反発した元若頭補佐の井上邦雄氏ら13団体の組長が離脱し、『神戸山口組』を結成。さらに17年4月には神戸山口組を離脱した幹部らが『任侠山口組』を設立し、三つ巴の抗争が続いているのです」(前出・社会部記者)

「山口組を一つにする」高山氏はどう動くか

 10月10日には神戸で弘道会の組員が神戸山口組系組員2名を射殺するなど、現在までに抗争事件は約130件、死者は9名にのぼる。この難局に高山氏がどう動くのかが焦点となっている。

「高山氏は服役中から『山口組を一つにする』と語っていたとされ、井上氏や元舎弟頭の入江禎氏など(永久追放を意味する)絶縁処分となった神戸山口組の最高幹部らには引退を迫り、若手組員は組織に戻すことを想定しているとみられます。

 裏を返せば、その最後通告に応じなければ抗争も辞さない強硬姿勢。高山氏は放免祝いの場で早くも組員らを一喝、その後は神戸山口組や任侠山口組の組員との連絡や2団体からの引き抜きを禁じ、一定の改革案を示したようです。ただ、高山氏不在の5年で暴力団を取り巻く環境は大きく変わっており、高山氏と現幹部との間には“温度差”もある。かつてのような強権が発揮されるのか否かは予断を許さない状況です」(山口組関係者)

 10月20日には今年稲川会のトップに就任した内堀和也会長も高山氏を訪問したという。警察当局は他団体も含め、山口組周辺の動向に神経を尖らせている。

「かつて司組長と日本大学の田中英寿理事長のツーショット写真が報じられ、話題になりました。田中氏は最近体調を崩しているとされていたのですが、高山氏出所の約1週間前に大阪での相撲関連の会合を理由に大学の理事会を欠席。病躯をおして大阪に行き、司組長や上場会社出身の医療関係者らと面談するとの情報があり、確認に追われました」(前出・警察関係者)

 日大広報課は理事会の欠席は認めつつ、「そのような事実はない」と否定するが、こうして警察当局は情報網を駆使し、大物出所の余波に備えていたのだ。

 東京五輪を来年に控え、3つの山口組と警察との駆け引きは本格化する。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年10月31日号)

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