池上彰氏が解説する香港デモ「覆面禁止法」の行方 「判断が覆る可能性は大いにあります」

文春オンライン / 2019年12月4日 6時0分

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©AFP/AFLO

Q 「覆面禁止法」はどうなる?

 香港のデモ参加者がマスクなどで顔を隠す行為を禁じる「覆面禁止法」は、香港基本法に違反するという香港高等法院(高裁)の判断に対し、中国政府が「重大な懸念」と声明を発表。今後、香港高等法院の判断が覆ってしまう可能性はありますか?(10代・女性・学生)

A 判断が覆る可能性は大いにあります。

 判断が覆る可能性は大いにあります。

 香港は「一国二制度」の下、大陸の法律は適用されず、立法会(議会)が制定した条例(法律)が適用されます。それだけの自主性が認められているのですが、その一方で、香港の憲法に該当する基本法の最終的な解釈権は大陸の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が持っているからです。

 今回の「覆面禁止法」は、立法会の採決を経ていません。緊急事態のときは行政長官の権限でルールを制定できるという「緊急状況規則条例」を発動して、覆面禁止法を制定したのです。これに対して民主派議員らが基本法違反だとして提訴していました。

 香港の高等法院(高裁)は、「行政機関は法律を制定する権利を持たない」として、覆面禁止法は基本法に違反するという判決を下しました。これを受けて香港の警察は覆面禁止法の適用を中断しました。

 しかし全人代常務委員会の報道官は、「覆面禁止法は香港の基本法に適合している」という談話を発表したのです。

 今後は香港政府が終審法院(最高裁)への上訴も検討するとみられますが、もし終審法院でも判決が覆らなければ、全人代が解釈権を行使し、覆面禁止法が復活する可能性があります。
 
 こうなると、「一国二制度」は名前だけで保障されていないという批判の声が一層高まることでしょう。

(池上 彰)

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