作者不明の名画を追って――「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」を採点!

文春オンライン / 2020年3月3日 17時0分

写真

© Mamocita 2018

〈あらすじ〉

ヘルシンキで美術店を営む老画商のオラヴィ(ヘイッキ・ノウシアイネン)は、仕事一筋の人生を歩んできた。長年音信不通だった娘に頼まれて、問題児の孫息子のオットー(アモス・ブロテルス)を店で職業体験させることになる。ある日、オラヴィはオークションハウスで一枚の肖像画に目を奪われる。絵には署名がなく、作者不明のまま数日後のオークションに出品されるという。作者が近代ロシア美術の巨匠イリヤ・レーピンだという証拠を掴んだオラヴィは、絵を競り落とすために資金繰りに奔走する。そんな折、娘親子の知られざる苦労を知るが……。

〈解説〉

『こころに剣士を』のクラウス・ハロ監督作。引退間際の老画商が、幻の名画をきっかけに家族と向き合うヒューマン・ドラマ。95分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆ハデさは無いが、どんでん返し的快感。キレのいい短編小説風。美術業界に触れる楽しみも。こういう映画、もっと、見たい。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆金銭や肉親の描き方はやや型通りだが、老人の心細さを反映するくすんだ真鍮色の風景が眼に残る。照明と構図に技能賞。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★☆老画商の我と欲望が一枚の絵の前で消え去り、深い愛情が湧き出てくる場面に救われた。当てにならないはずの孫にも。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆美や知に憑かれた独学者の悲哀。マニアの宿業を抉り、ミステリーとしても見応えあり。『マイセン幻影』を想い出した。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★☆☆ヘルシンキのロケ地、北欧の至宝、美しく散らばった孤独な空間を照らす照明。レーピンの遺言を突き止める様なスリル。

INFORMATION

「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」(フィンランド)
2月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
https://lastdeal-movie.com/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年3月5日号)

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