【東京・夜の繁華街ルポ】パパ活、相席居酒屋、カラオケバー…新型コロナ“感染拡大”最前線のいま

文春オンライン / 2020年4月4日 20時0分

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六本木交差点は閑散としていた ©文藝春秋

「文春オンライン」特集班は4月3日深夜、渋谷、新宿、六本木、恵比寿など、都内の繁華街を徹底取材した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京都は夜の繁華街への外出自粛を呼びかけており、都内でも深夜になると多くの場所では歩く人の姿もまばらで閑散としている。

 だが一部の街は、まるで”無法地帯”と化していた。深夜0時を過ぎた渋谷センター街では、シャッターが降りた店舗の前に座り込んで泥酔する若者たちや、コンビニの前にたむろし酒を片手に奇声を上げる外国人の集団がいた。感染拡大の一因と問題視されている”夜の繁華街”のリアルをリポートする。

「若い人たちが、その活動によるものが多いのではないか。夜の歓楽街での広がりがあるのではないか」

 小池百合子知事は4月3日の定例会見で、新型コロナウイルスの感染者急増の要因について、こう述べた。

 4月2日までの6日間に確認された都内の感染者数の4割は30代以下。新宿区保健所が3月末時点で把握していた感染者の約4分の1が、夜間営業に関わる業務に従事していたという。キャバクラやガールズバー、ホストクラブ、風俗店の従業員やスカウトであることが判明している。東京都は2度目の「不要不急」の外出自粛を要請した。

「客が感染」の噂がめぐり、ホステスはパパ活、芸能人は…

 普段の週末は出会いを求めてクラブに集まる若者や、露出の多いドレスを着たホステスと風をきって歩くIT社長や業界人でごった返す六本木と西麻布もさすがに静まり返っていた。

 21時、寿司店や焼肉店といった飲食店はまばらに開いているが、客はほとんど入っていない。キャバクラやクラブはほぼ閉店。カラオケバーとガールズバーがひっそりと営業していた。

「先月の27日、28日くらいから人が消えたよ。まさかこんなになるなんて思わなかった。2月初めの頃は、パリピのお客が渋谷の『バニラ』って高収入バイトの歌の歌詞を替え歌にして、『コーロナ、コロナ、コーロナ、感染♪ コーロナ、コロナの大消毒~』と歌って、指名された人は掛け声に合わせてテキーラショットを飲んでいた。コロナウイルスをネタにして飲んでいて危機感なんかなかった。

 それがだんだん、ホステスやそのお客が感染したって噂になって、その後いくつかのバーやキャバクラで発熱の噂が出るようになって、マジでヤバイって感じになっていった。噂話が多い業界だから、『あの店でコロナ出た』って酒のネタに伝言ゲームで回ったりもしているから、現状はどこまでかわからない。でも怖いよねって。ある店のオーナーは『嫌がらせでツイッターにコロナ感染の噂を書き込まれた』って、『裁判を起こす』と怒っている。ウチの店も客ゼロの日が連続で続いた。企業のお偉いさんは怖がって全然来ない」(西麻布ショットバー店長・20代男性)

「イソジンうがい」を徹底するも「カラオケは禁止」

「2月くらいから売り上げが落ちだして、3月からずっとヤバイ。先月末に常連さんの貸し切りバースデーがあって20人くらい集まったんだけど、そのうちの参加者2人、40代と30代が発熱してて、30代の方は3日連続で高熱が出たらしいが、重篤じゃないからって検査ができず自宅療養している。

 予防策としてはイソジンでうがいをお客さんにもみんなにやってもらってる。酔っ払ってまともに話せない人は入れないようにしてる。カラオケも禁止。ダーツのみ換気しながら営業している。常連客が2、3人来てくれるけど、(営業を)いつまでやろうか……。この土日はとりあえず休みます」(六本木カラオケバーオーナー・30代男性)

志村けんの訃報以降は芸能人が出歩かなくなった

 芸能人やアイドル御用達の、西麻布のカラオケバーやラウンジにも人気はない。遊び人で有名な常連のタレントたちも来店を控えているという。

「先週の志村けんさんが亡くなった報道以降、ピタリと止まりました。事務所やスタッフから言われているそうです。『パパラッチに撮られたら芸能活動できなくなるぞ』って。有名な子は来ないですよ。店は控えて仲間同士で『宅飲み』したり、看板もなく秘密で営業している”社交場”みたいなところで遊んでいる。今でもうちに来るのはアイドル崩れの子や、無名の若い子。イベントとかの仕事もなくて稼げないからパパみたいな大人と来ている」(西麻布カラオケバー店主・30代男性)

 取材中も西麻布交差点では、パパ活らしき男女カップルを何組か見かけた。

「店が閉まってキャバクラやラウンジで働けなくなった子が、“裏引き(店を通さないで客と会うこと)”してパパ活してますね。パパがいないホステスやお金に困った子からは『ギャラ飲みやりたい』って相談されます。相場は1時間1万円ですが、男性のお客さんから『こんな時期にギャラ飲みやって見ず知らずの女にコロナをうつされたくないから』って断られます。ウチは社長さんとか地位のある人が多いから」(ギャラ飲み仲介人・30代)

 深夜23時、華やかに着飾った3人の女性が西麻布交差点を歩いていた。これからクラブに繰り出すという。職業を聞くと「絶対ヤバイから言えない」という。

「『今の時期に?』って言われるけど、これが最後です。もう毎日コロナコロナで嫌になって、六本木もほとんどクラブが閉まっているんですけど、数カ所だけやっている。1カ所でもやっていれば、そういうところに好きな人は行っちゃうんですよ」(職業不明・20代女性)

「発散したいから」マスク姿の若い女性が「相席居酒屋」へ

 普段の週末はOLや若手サラリーマンで溢れる恵比寿の繁華街。22時、駅付近は人の往来はあるものの、どの飲食店も客は2、3組程度で空いている。出会いの場として有名な「恵比寿横丁」も閑散としていた。が、それでも出会いを求めて一部の若者が酒を飲んでいた。

「友人に誘われて来ました。今日は普通に仕事終わりにそのまま来ました。ニュース見てますし、『日本ヤバイ』と思ってますよ。僕も実は、1週間前に体調を崩したんですよ。発熱してやばいなって……でも、1日で治ったので『大丈夫かな』と思って、来ちゃいました。今日はいつもより(横丁に)人は少ないですけど、女の子もけっこう出てますよ。もし女の子を捕まえられて、そういう流れになったら“濃厚接触”しちゃいますね」(会社員・20代男性)

「彼氏をつくりたいというより発散したい」

 最近では“出会いの場”の定番となった「相席居酒屋」。小池都知事が訴えた「換気の悪い密閉空間」「多くの人が密集」「近距離での密接した会話」の3つの”密”の条件が揃ってしまっているが、実は現在も営業が続いており、暇を持て余した女性たちが“タダ飲み”目当てで来店していた。

「コロナ対策で手を洗ったり、マスクをつけたり、かなり気をつけてはいます。でも普段、満員電車に乗って会社へ行ってるから、この店だって何も変わらないんですよ。一緒に来た友達は在宅ワークで家にこもってばかりで『限界だから』って発散にきました」(会社員・20代女性)

「女性のお客はドリンクを飲む時以外、マスクをずっとつけてる人が多いですね。彼氏をつくりたいというより発散したい。出会いたいという人が多いと思います。こういう店は女性の入店料が安かったり、無料の店も多いので。クラブや合コンなど普段から奢られ馴れている女性が行き着いちゃうんだと思います」(相席居酒屋スタッフ・20代)

 4月4日、東京都では新たに110人以上の新型コロナウイルスの感染が確認された。取材中、ウイルスの脅威を知りつつも「欲に負けて出てきてしまった」と答えた若者たちは数多かった。そして、新宿、渋谷の若者はさらに無謀な行動をとっていた——。

(後日公開の後半へ続く)

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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