【直撃取材】歌舞伎町ホストが語った「夜の街」感染のリアル《偽装閉店もキャッチに依頼して“闇営業”》

文春オンライン / 2020年6月7日 17時30分

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コロナ禍の新宿・歌舞伎町 ©文藝春秋

 東京都は6月6日、新型コロナウイルスの感染者26人を新たに確認したと発表した。そのうち接待を伴う飲食店など「夜の街」関連の感染者は16人。新宿地区の同じ店に勤務するホスト男性12人が含まれていた。12人の中には同居している人もいるといい、都は集団感染した経緯を調べている。

 緊急事態宣言の発令以前から「接待を伴う飲食店」として小池百合子都知事から営業自粛を求められていたホストクラブ。4月10日に東京都が休業を要請した施設の一覧にも「ナイトクラブ」があった。

 だが、「文春オンライン」特集班が現地を取材したところ、多くのホストクラブ、サパークラブでは、看板の灯りを落としホームページ上では休業を公表しつつも、実際には店内で密かに営業を続けるという“闇営業”を行う店も、4月の緊急事態宣言の最中から数多く見受けられたのだ。新型コロナ感染を知りつつも、 恋人のためにホストクラブへと通い続ける女性の証言 も紹介した。

  コロナ禍の「夜の街」 の現場を取材してきた「文春オンライン」特集班では、新宿・歌舞伎町で“闇営業”を続けるホストたちに話を聞いた。

「店は自由出勤という形で営業しています。服装もスーツではなく私服。ホストも客も普段の2、3割というところですが、何とかやっている。店のホームページでは表向き休みにしておかないと、ネットで叩かれたり、『自粛しろ』ってクレームの電話が面倒くさいので。テレビに出ている人気店だってひっそり営業していますよ。(緊急事態)宣言が出た4月7日から4、5日休んで、再開しているところがほとんどですね。常連さんや、ホストが大好きな“ホス狂い”を、キャッチ会社に依頼して連れてきてもらっています」(人気ホストA氏・30代)

 自粛ムードが高まっていた4月中旬、歌舞伎町の夕刻、グレーや黒のスウェットやジャージの上下に独特の髪型というホスト男性たちが、長い前髪をいじりながら、続々と出勤し始めた。皆マスクをしており、営業中も外すことはないという。

「検温もしていますし、お客様同士の席を離したり、ヘルプをつけなかったり、距離をとるように心がけています。店によっては居酒屋にならって20時までの営業にしているところもある。昼間でも、やることがなくて暇をしている女の子がたくさんいますから、そういう女の子がストレス発散に来てくれます。シャンパンコールも控えるようにしていますが、それだとどうにも盛り上がらない、ボトルのラッパ飲みはクセでどうしてもしてしまいますね」(中堅ホストB氏・20代)

「最初は『大丈夫かな?』って思っていましたが、寮暮らしですし、上が『やる』って言ったので従ってます。女の子たちはウリ掛け(ツケ払い)で、けっこう来てますね。夜中とか遅い時間はやはり客も多く、満席になります。(客は)コロナを忘れたいようで、浴びるように飲んでいます」(新人ホスト・C氏20代)

 感染リスクがあっても営業するのにはワケがあるという。

「お客は店が開いていないと他のところに流れてしまう。お客を繋ぐために、自分の家だったり、ホテルだったり、外で(客に)会わないといけない、でも、それだと金にならないし、感染リスクもある。だったら店が開いているほうが助かる。売れっ子のホストほど店に来ていますよ」(前出・A氏)

 ホストクラブのオーナー・D氏(40代)もこう話した。

「ホストクラブの営業はランニングコストが高い。家賃が100万円以上したり、看板や広告費などもかかる。だから、いつ入金されるかわからない給付金などアテにしていられない。店を早く開けないと従業員(ホスト)も他の店に引き抜かれて移籍してしまう。開けるしかない」

「この街にリスクは付き物」という歌舞伎町の理屈

 だが、ホストクラブの多くは雑居ビルを間借りし、窓もない密室空間で営業している。ホストたち自身は感染リスクをどう考えているのか。

「ホストもお客もだいたい歌舞伎町で生活しているんですよ。みんな街から出ていないから、迷惑はかけていない。僕としては歌舞伎町だけ封鎖すればいいと思う。コロナにかかっても免疫があるヤツが残っていけばいいし、運が悪いヤツがかかる。そもそも水商売は運みたいなものですから」(前出・B氏)

「歌舞伎町って、ボッタクリやポン引き(客引き)がいたり、騙し騙されるのが当たり前で他人のことなんて構っていられない。借金で飛んじゃうヤツや死ぬヤツだってよくいるし、コロナになっても感覚が麻痺したままですよ。金が欲しくてこの街にいるんだから、リスクは付き物ですね」(前出・D氏)

 歌舞伎町にも、感染拡大防止のため涙を呑んで自粛しているたくさんの店が存在する。だが一方で、こんな身勝手な“歌舞伎町のルール”を主張するホストが大勢いるのも事実なのだ。

 4月と5月に放送したインターネット番組「文春オンラインTV #2 、 #7 」では、いち早く新型コロナの「夜の街」感染問題を取り上げました。ぜひご覧ください。
 

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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