皇宮護衛官3人が“二股ダブル不倫”で処分 情報開示請求でわかった《不適切な異性交際》

文春オンライン / 2020年6月26日 11時0分

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祝賀御列の儀での皇宮警察 (皇居正門鉄橋脇、2019年11月) ©JMPA

 天皇皇后や皇族の護衛など、皇室の警護を担う皇宮警察本部で、また複数職員の乱倫な勤務実態が「文春オンライン」特集班の取材で明らかになった。

「規律を重んじる皇宮警察ですが、皇宮巡査部長2名と皇宮巡査1名の計3名の男女による不倫関係が発覚し、副本部長や所属長からの注意が行われました。3名の職員はその後、依願退職しています」(皇宮警察関係者)

《不適切な異性交際》は国家公務員法違反

 取材班が情報をもとに皇宮警察本部へ情報開示請求を行ったところ、5月13日に《副本部長注意》や《所属長注意》と題された3通の文書が開示されたのだ。

 そのうちの1通がこれだ。A4、1枚にまとめられた短い文章だが、個人名と思しき部分など6カ所が黒塗りになっている。皇宮警察の警察官は、正式には「皇宮護衛官」と呼ばれるが、以下は、同僚女性2名と不倫関係を持っていた男性の皇宮護衛官・Aさんへの注意だと思われる。というのも、文書内に「複数の~」という記載があり、女性2人との複数の不適切な異性交際について注意されたことがわかるからだ。

 皇宮警察職員は地方公務員ではなく国家公務員であるため、国家公務員法に抵触したことが記されている。国家公務員法第99条は「職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」として、公務員の信用失墜行為を禁止している。

副本部長注意

 

■■■■■

皇宮巡査部長■■■■■

 

 君は、■■■■■であるにも関わらず、平成31年2月から令和2年1月までの間、■■■■■において、相手が■■■■■であることを知りながら、複数の■■■■■と肉体関係を伴う不適切な異性交際を行った。

 このことは、皇宮警察職員として公務の信用を失墜する不健全な生活態度であり、国家公務員法第99条に規定する信用失墜行為に該当する。

 よって、皇宮警察本部職員の懲戒の取扱いに関する訓令第2条の規定により注意する。

 

令和2年1月29日

皇宮警察副本部長

皇宮警視監 奥野省吾

 そして残り2通は、Aさんの不倫相手だった2人の女性皇宮護衛官への注意だと思われる。皇宮巡査のB子さんと、皇宮巡査部長のC子さんだ。

既婚者3人による「二股ダブル不倫」だった

 3通すべてに《肉体関係を伴う不適切な異性交際》と記されているのが特徴で、ほぼ同一の内容だが、よく見ると異なる部分がある。

「処分内容や階級は問題視されていた3人と符合します。大きく異なるのは《不適切な異性交際》の期間です。それぞれの文書を見ると、Aさんは《平成31年2月から令和2年1月》となっていますが、B子さんは《令和元年9月から12月》、C子さんは《平成31年2月から令和2年1月》とされています。

 つまり、AさんとC子さんが昨年2月から今年初めにかけて、約1年にわたって関係を持っていた間に、昨年秋から昨年末にかけてAさんはB子さんとも4カ月にわたって不倫関係を持っていたことになる。3人とも既婚者ですから、“二股ダブル不倫”とでも言いましょうか。赤坂御用地内にある『赤坂護衛署』に勤務する皇宮護衛官たちです」(前出・皇宮警察関係者)

皇室のプライベートな空間で……

 東京都港区元赤坂2丁目のほぼ全域を占めている「赤坂御用地」には、天皇皇后がお住まいになっている「赤坂御所」をはじめ、秋篠宮ご一家や三笠宮ご一家、高円宮ご一家など、皇族方のお住まいがある。そんな赤坂御用地内の警備を担当するのが皇宮警察「赤坂護衛署」だ。

「赤坂御用地は毎年、春と秋に行われる園遊会が開催される場所として有名です。各界功績者や国会議員らが招待される園遊会はテレビカメラも入り報道されるため、その様子を目にしたことのある人も多いと思います。ただ、赤坂御用地は皇居と違って一般公開されておらず、国民が敷地内に入る機会は滅多にありません。

 というのも赤坂御用地は、敷地面積が皇居の半分の50万平米とはいえ、天皇皇后両陛下をはじめ複数の宮家が居を構えており、皆様が普通にお暮らしになっているわけです。お庭を散歩されることもあるし、敷地内にあるコートでテニスをなさることもある。プライベートな空間を一般公開するわけにはいきません」(同前)

和歌、華道、茶道なども学ぶ「格式高い皇宮護衛官」

 その皇族方のプライベートな空間をお守りするのも、皇宮警察の役割だ。皇宮警察の内部事情にも詳しい皇室ジャーナリストの朝霞保人氏が説明する。

「皇宮警察は、警察庁の付属機関という位置づけで、組織上は警視庁や各都道府県警と横並びで、『48番目の警察本部』とも呼ばれています。本部は皇居内にありますが、都道府県警の警察署にあたる護衛署は、皇居に2つ(吹上護衛署と坂下護衛署)、赤坂御用地に1つ(赤坂護衛署)、そして京都御苑に1つ(京都護衛署)、計4つあります。皇宮護衛官は900人余りで、これは47都道府県で最も人数が少ないとされる鳥取県警察本部の約1100人よりも少ない人数です。

 皇宮警察として採用されると全員が必ず皇宮巡査という階級で皇宮警察学校に入り、大卒者は6カ月、高卒者は10カ月の間、皇室をお守りする皇宮護衛官としての教育を受けます。情操教育として和歌に華道、茶道などの教養も学びます。皇宮警察本部は、格式高くあるべきなのです。皇宮警察本部長や副本部長といった要職は、数ある警察キャリアのポストの中でももっとも名誉あるものの1つだと言われています。

 たとえば、今回の不倫の一件で、A皇宮巡査部長を注意した皇宮警察副本部長の奥野省吾氏は三重県伊勢市の出身。東大卒で1989年に警察庁に入庁しています。すでに今年6月4日付で岐阜県警本部長に着任していますが、皇宮警察副本部長時代には、平成から令和への『お代替わり』の式典での警備を担っており、大役を果たして栄転したかたちです。が、最後にこんなかたちで部下を処分せねばならなかったことは、不本意だったことでしょう」

目に余るほどのイチャつきぶりで内部告発から不倫発覚

 様々な教育を受けた護衛官は京都を除く3つの護衛署の所属し、その後、皇宮警察本部護衛部や警備部などに配属される。

「『護衛部』は天皇皇后両陛下・皇族各殿下の護衛を担当し、門や施設の警備をするのが『警備部』です。護衛部は“花形”とされており、文字通り、天皇陛下や皇族方のお出ましに随従し、お側にいて護衛するのが仕事。いわゆるボディーガード役ですが、皇宮警察ではSPではなく『側衛』と呼びます。こうした護衛部の勇姿に憧れて入ってくる者も多いのです。一方で、警備部も近年は人気の部署です」(前出・皇宮警察関係者)

 不倫騒動が持ち上がった3人が勤務していたのは、本部ではなく「赤坂護衛署」だ。赤坂護衛署は赤坂御用地の中にあり、現在、天皇皇后と愛子さまがお住まいの赤坂御所とは目と鼻の先の距離にある。

「赤坂護衛署勤務の護衛官は赤坂御用地内の警備が主務とされています。赤坂御用地内の鮫が橋門の近くに位置する赤坂護衛署の建物の地下には、皇宮警察で唯一、射撃訓練場があります。

 赤坂御用地内では天皇陛下が散歩やジョギングをしていたり、愛子さまがお庭で遊んでおられるというのが日常です。そんな天皇家のご日常のいちばん近くで仕事ができるということもあり、皇宮警察内でも赤坂護衛署の勤務は人気が高く、配属を希望する皇宮護衛官も多いのです」(同前)

 そんな赤坂護衛署内で発覚した今回の《不適切な異性交際》。発覚のきっかけは、AさんとB子さんの、人の目を憚らぬほど“親密すぎる勤務態度”だったという。

「AさんとB子さんは勤務中も距離が近く、じゃれ合っていると赤坂護衛署内でもたびたび話題に挙がっていました。2人の勤務態度に愚痴をこぼす人が多数いたのは事実です。あまりに目に余るほどのイチャつきぶりで、深い関係であるのは疑いようがないほどでした。2人の不倫関係は内部告発によって露顕し、咎められたようです」(前出・皇宮警察関係者)

 別の皇宮警察関係者もこう話す。

「AさんとB子さんは勤務中も他の職員が容易に気付いてしまうくらい距離が近かった。赤坂護衛署は地下1階から地上2階がある建物で、2階にデスクや給湯室、更衣室などがあります。2人は、Aさんのデスクや給湯室で会話をしたり、ほぼ密着している状態で話していました。また赤坂御用地は、皇居と違って一般公開がない。外部の目がなく、かなり閉鎖的な空間だと言えます。2人は人目を憚ることもなく、じゃれあっていたのかもしれません」

護衛部長と同じ福岡出身で「出世しそうな人物」

 Aさんは赤坂護衛署内でも優秀な皇宮護衛官として、一時は人望を集めていた。

「30代の皇宮巡査部長で、赤坂護衛署の警備課に所属していました。常日勤で、選ばれた人が配属されるイメージの警備課ですが、若い頃から警備課に所属するAさんはいわばエリートでしたね。短髪で男らしく爽やかな容姿で、署内でもイケメンと言われていた。ですが、プライベートは乱れがちだった。実際に今回の不倫相手以外にも、護衛官の後輩女性に酔って連絡をしていたこともあった。『今度、合コンしよう!』と頻繁に誘われた後輩女性もいました。赤坂護衛署内は携帯電話の使用が基本的に禁止なのですが、実際には携帯を使用している人は多く、短い時間の使用ならば黙認されていたのです。Aさんも署内で女性職員らと連絡先を交換していたようです」(同前)

 Aさんは今年、護衛部長に昇任した人物にも可愛がられていた。それが理由で出世しそうな人物だと目されていた。

「Aさんは福岡出身で、護衛部長も同じ福岡出身なんです。他にもいる福岡出身の人らで集まった『紅梅会』と呼ばれる会があった。『紅梅会』は皇宮警察内でも優秀な面子が揃っており、かなり“勢い”がある人たちが集まっていました。護衛部長は叩き上げで出世した優秀な人物です。そんな護衛部長に可愛がられ、“出世株”と目されていたAさんを他の上司らも注意などしづらかったようです。さらにそのおかげでAさんは出世が早いとも言われていました。不倫が発覚する前も昇任が決まっていたという話もあります」(同前)

不適切な関係を問題視されたB子さんは「門番」に

 B子さんは“署員”と呼ばれる4交代制の勤務だった。

「20代の皇宮巡査であるB子さんは、『1班』『2班』と班ごとに分けられ4交代制で24時間警護にあたる、赤坂護衛署内では“署員”と呼ばれる勤務形態でした。各都道府県の警察でいうと、交番などで働く地域課のようなイメージですね。仕事には門での警備やモニター映像を監視する役割などがあります。他にも無線の通信を振り分けるなど、基本的な仕事が多いです。

 しかし、赤坂御用地内の警備はトラブルがまったくない。何もないことは警備にとってはいいことなのですが、それだけヒマをもてあますということでもある。交代までの90分間、森の中に立ち、人が通ることもない場所を見張るのです。人じゃなくてタヌキが寄ってくるということもよくある。Aさんとじゃれ合う姿が目に余り、B子さんは主に署内2階で行う通信などの任務ではなく、外に立つ門の警備を中心に振られていました」(同前)

 内部告発によりAさんとB子さんの不適切な関係が問題視され、本部が調査する中で浮上したのが、Aさんのもう1人の不倫相手、皇宮巡査部長のC子さんの存在だった。

Aさんの携帯からヤマサキパン似C子さんのわいせつな画像が

「AさんとB子さんの関係が監察課にリークされ、調査された2人は関係を認めたわけですが、さらに監察課がAさんの携帯電話を調べたところ、複数のわいせつな画像があった。その画像に写っていたのがC子さんでした。C子さんも同じく赤坂護衛署で皇宮巡査部長として働く既婚の30代女性です。警務課に勤務しており、Aさんと同じく常日勤です。

 C子さんはロングヘアで、綺麗な顔立ちでフジテレビの“ヤマサキパン”こと山﨑夕貴アナ似。色白でかなりの美人です。仕事ができる女性というイメージですね。警務課は、働く人の制服の管理などバックアップをする仕事が多かった。C子さんは、子供もいて厳しくも優しい良いお母さんなんだろうなと思っていました。しかし、実際にはAさんとの不倫関係は約2年間続いていたそうです」(同前)

 すでに3人とも依願退職をしているという。

B子さんには同じく皇宮護衛官として働く夫が

「1月29日付で副本部長注意や所属長注意の処分を受け、その後すぐに依願退職をしています。さすがに不倫関係が発覚して、署内に居づらくなったのでしょう。特にAさんとB子さんはもともと目をつけられていたわけですから。B子さんには、同じく皇宮護衛官として働く旦那さんがいると聞いています。Aさんは、奥さんや子供と赤坂の宿舎に住んでいたのですが、退職と同時に出ていきましたね」(同前)

 これら3人の不倫や、処分書について皇宮警察本部へ事実確認を求めたが、「これらにつきましては、事実関係含めお答えを差し控えさせて頂きます」との回答だった。

 前出の朝霞氏は皇宮警察の現状を危惧する。

「このところ皇宮警察の風紀が乱れていると言わざるを得ません。私も 記事 に書きましたが、2020年3月10日には、皇宮警察学校の学校長らが栃木県の那須御用邸の敷地内の施設で開かれた懇親会などで未成年の護衛官らと飲酒を繰り返していた事実が表面化しました。2019年6月から2020年1月にあった4回の懇親会で、同席した学校長は未成年飲酒を容認していました。

 さらに、研修先の那須御用邸では男女4人によるみだらな行為もあった。御用邸は天皇皇后両陛下や皇族方が毎年静養のため訪問されている場所です。安心してお休み頂く御用邸で、警護にあたる皇宮護衛官がみだらな行為に及ぶなど絶対にあってはならない。

 2017年12月には児童ポルノのDVDを所持していたとして30代の皇宮護衛官が書類送検され、2015年7月には皇宮警察学校の学生の給食費など30万円を着服した教養課の30代男性警部補が書類送検され停職1カ月の懲戒処分を受けています。今回問題となった赤坂護衛署でいえば、2006年に19歳の男性巡査が貸与されている拳銃で自殺を図ったという前代未聞の事件もありました。

皇宮警察に不祥事が続出する「2つの要因」

 不祥事が続々と発覚する背景には、大きな要因が2つあると考えられます。1つは皇宮護衛官が、狭く閉鎖的な世界で生活しているということ。勤務先が限定されるため、人間関係は濃密です。ねたみそねみ、足の引っ張りあいも多く、不祥事の大半はこうしたことから発覚しています。

 そしてもう1つは、緊張感の欠如。昭和の時代は極左暴力集団が跋扈しており、皇宮警察も緊張の連続を強いられていたのです。平成に入ってからも昭和天皇の大喪の礼に反対するテロが相次ぎました。ですが、ベルリンの壁撤去と旧ソ連の崩壊といった社会主義・共産主義の退潮傾向に伴い、極左の反天皇制闘争も下火となり、皇室警備の現場の緊張も緩んでいった。不祥事の続発は、その延長線上にあると言っていいでしょう。

 この2つの要因が負の連鎖を生んでいるのです。意識改革が急務ですが、その道のりは険しいと言わざるを得ません」

 6月26日(金)21時から放送する「 文春オンラインTV 」では、乱倫な不祥事の続く皇宮警察の現状など本記事について取材担当記者が詳しく解説する。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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