「私は母親じゃない!」 冷えた夫婦仲を改善させる“妻を不愉快にさせないLINE術”

文春オンライン / 2020年9月29日 17時0分

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「夫は私に関心がないのです」――年間200家族の相談を受ける人気カウンセラーが語る“こじれる夫婦”の特徴 から続く

 人生100年時代。これから先何十年も、関係の良くない相手と暮らしていくのだろうか…。悪くなってしまった夫婦仲の改善について、LINEを利用したテクニックを『 夫のLINEはなぜ不愉快なのか 』より、著者の山脇由貴子氏が語る。(全2回の2回目/ 前編 から続く)

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まずはLINEから

 長い間、会話をしていないから、いきなり「ありがとう」「ごめんなさい」と相手に伝えるのは抵抗がある、と感じる夫婦もいるでしょう。そこで私がカウンセリングでお勧めしているのが、LINEやメールです。

 なにも用事がなくても、夫が妻へ1日3回、メッセージをおくるのです。この段階ではメッセージの内容は何でもいいので、とにかく送ること。コミュニケーションの量を増やしていくことが大切です。

「これから打ち合わせだから、いま電車で移動中」

「電車、すごい混んでる」

 こんな簡単なメッセージで構いません。

「今日の訪問先はこんな場所」

 と、景色を撮った写真でもいいのです。

「そんなことに意味があるのか」と思う男性も多いと思いますが、実際には、かなり効果があります。もう15年以上前から、私はこの方法を夫婦にお勧めしていますが、とくに20~40代の夫婦では夫婦仲が大きく改善されました。50代の妻も、夫からのメールを喜んでいましたから、年代は関係ないのかもしれません。

 女性は離れている時間に夫が何をしているのか知りたがるもの。夫が今どこで何をしているのかを知らせると、妻は喜びます。「自分のことを気にしてくれている」と感じられるからです。外での夫の様子がわかることで、余計な疑念を抱く必要もありません。夫婦仲が悪くなってくると、妻は夫の帰りが遅くなれば「本当に仕事なの?」と疑うようになりますから。

 夫からのLINEをきっかけにして少しずつでも会話の量を増やしていくと、次第に共通の話題も増えていくでしょうし、お互いがいま何に興味を持っているのかが理解できるようになるからです。そうなると、一緒にいない時間であっても、お互いのことを考えることができます。これが良好な夫婦関係を継続するのにとても重要です。

 会話といっても構えずに、天気の話をするだけでもいいのです。天気予報を毎日、一緒に観ることにしている夫婦がいます。予報を観て、洗濯や買い物、外出の予定を決めるのだそうです。一緒に観られない日は、観た方が、「明日はすごく寒いみたいだから、あったかくして行った方がいいよ」と声をかけるのだそうです。これも気遣いですし、立派な会話です。

妻を不愉快にさせないLINE術

 定期的に妻へLINEやメールを送る習慣がついたら、こんどはメッセージの内容を工夫するようにしましょう。この本のタイトルのように、「夫が送ってくるLINEを読むとイラっとする」という妻は少なくないのです。

「いきなり『今夜接待』とか、単語だけ送ってくる」

「なんか上から目線」

 妻たちはこんな不満を抱いています。

 男性のコミュニケーションは「要件のみ」なので、返事も簡潔になりがちです。それが「素っ気ない」「偉そう」という印象を妻に与えてます。

 ですから単語だけのメッセージを送るのはやめましょう。妻が夕飯のメニューを送ってきたら、「了解。ありがとう」。ここはお礼を言う「ありがとうポイント」です。急な接待で遅くなるときは、「ごめん」を添えて。LINEだからこそ、「ありがとう」と「ごめん」は送りやすいはずです。

 夕飯の希望など妻が何か聞いてきたとき、「なんでもいい」は禁じ手です。どうしても思いつかない時は、「思いつかないから、任せていいかな?」とお願い形式にしましょう。

 また、私はカウンセリングの場で、妻に、夫へLINEのスタンプ(イラストなどの画像)をプレゼントすることをお勧めしています。妻からプレゼントされたスタンプなら、夫も「せっかくだから使うか」という気持ちになるものです。実際に使ってみたら、送った妻も喜びますし、メッセージもソフトな印象になって、いいことづくしです。

 スタンプをプレゼントされたことがない夫は、妻にお願いしてみてはどうでしょうか。「無料でもらえるスタンプがあるって聞いたんだけど、探してくれないかな?」と。

 妻に切り出しにくいという方は、妻から「ちゃんと返信して!」など文句を言われた時に、「じゃあこれからはスタンプ使うようにするから、なんか探してよ」と言ってもいいかもしれません。

 LINEではメッセージだけではなく、「プレゼントをもらう」「それを使う」という形のコミュニケーションもとれるので、夫婦仲を良好なものにするのに役立ちます。

大事なことは顔を合わせて

 ただし妻に何かして欲しいことがある時や大事な用件は、必ず顔を合わせた時に直接、伝えましょう。当たり前のことのようですが、ついつい、メールやLINEで伝えてしまいがちです。「忘れてしまうかもしれないから、いまメールで」ということもあると思いますが、その時は家に帰ってから改めて、

「昼間にメールしたこと、悪いけどお願い出来るかな」

 と伝えましょう。妻たちのこんな不満をよく聞きます。

「大事なことも全部メールで送ってくるんです。この間も『今度の土曜、ゴルフになったから』とだけ送ってきたのです。土曜日は子どもを連れてキャンプに行く予定で、準備もしてあったのに。そんなメールの一言で済ませて欲しくないです」

「『急な出張が入ったから、準備しといて』と送られても、何をどのくらい準備するのか、どこに行くのかとかきちんと教えて欲しいです」

 急いでいる時は仕方がないかもしれませんが、帰ってから「急でごめん」「悪いな」の一言は忘れずに。妻は、頼まれた内容に怒っているわけではありません。一方的にメールを送ってくるだけだと、自分が雑に扱われている感じを抱くのです。

 関係の悪い親子や夫婦は、家の中でもメールやLINEでしかやり取りしませんが、それはさらに関係を悪化させます。人間のコミュニケーションの7割は「非言語的コミュニケーション」だと言われるように、伝えるときの身振りや表情が大事なのです。

妻に共感する

 会話を増やしていくとき課題になるのは、夫が、妻の話を上手に聞けるかどうかということです。男性は要件のないコミュニケーションが苦手です。そこで夫婦の会話には困らないという妻の話を参考にしてみましょう。

「夫は私の話を聞くのが上手です。『今日初めて行った駅のトイレがウォシュレットで驚いた』と言ったら、『それはすごいね』と感想を言ってくれました。いつもそうやって反応してくれるから、こちらも話しやすいのです」

 その方の夫は、子どものころ、お母さんの話を聞くことが多かったそうです。

「うちは男4人兄弟で女の子がいなかったせいか、母は寂しかったのでしょうね。母が料理している間に横で手伝いながら、よく話を聞いていました」

 母親との会話が多かった男性は、女性の話を聞くのが上手です。母と娘の関係に近いので、女性の話を聞くことに慣れているのです。

 女性は自分の感情を消化するために、他の人が共感してくれることを必要とします。ですから女性の話を聞くことに慣れていない男性も、妻のグチには付き合ってあげて、最後には「それは大変だったね」「嫌な思いをしたね」と、共感してあげるようにしましょう。妻はその一言ですっきりし、機嫌もよくなるはず。

 ここで大切なのは、いきなりアドバイスしないということです。妻は解決方法を求めているわけではありません。心のモヤモヤについて共感してほしいのに、いきなりアドバイスめいたことを言われると、お説教にしか聞こえないことは、第3章で説明したとおりです。

 妻が意見を求めてきたときだけ伝えればいいでしょう。

「疲れて帰ってきているのに、毎日、妻のグチにはつきあえませんよ」

 と、カウンセリングの場で困惑する夫も少なくありませんが、毎日ではなく、ときどきで十分です。次第に妻の話を聞くことに慣れていくはずです。

まずは感想を一言

 そうはいっても、じつのところ女性の話に共感することは、男性にとって難しいことだと思います。カウンセリングの場でよく聞く妻の不満です。

「夫は『へえ』とか『ふうん』とつぶやくだけで、まともに返事をしてくれません」

 そこで何人かの夫に尋ねたところ、実際はどう返事をすればいいのか、分かっていなかったのです。そうした夫へこんなアドバイスをしてみました。

「『俺だったらこうするな』という形で、ひとこと感想を言いましょう」

 先ほど「いきなりアドバイスしない」と書きましたが、言い方さえ工夫すれば自分の意見を言ってもかまいません。お説教だと受け取られないようにすればいいのです。「俺だったら」と添えることによって、押しつけがましい感じが薄れ、「あくまで私の感想だけどね」というトーンになります。

 妻が「ママ友との間でイヤなことがあった」と言ったとき、

「だったら、もう会わなければいいんじゃない?」

 ではなく、

「俺だったら、もう会わないようにするけどね」

 と返事をすれば、言われた妻の受け取り方はかなり違います。この「俺だったら」を「男同士なら」にすれば完璧です。

「男同士なら、もう会わないけどね。もしくは、その場ではっきり言うし」

 こう夫から返事があれば、妻は、

「女同士はそれができないんだよね」

 と言えるので会話が続くわけです。

 私がアドバイスした先ほどの男性は、後日、こんな感想を言いました。

「最初は何を言えば妻に怒られないのかな? と迷いましたが、思ったことを言えばいいんだと思ったら、気持ちが楽になりました。いまはもう慣れています」

 妻のほうも、以前より満足しているそうです。

「私が『今日は仕事が順調だった』と言えば、『それは良かった』と言ってくれます。『会社で嫌なことを言われた』と言うと、『俺だったら気にしないようにするけどね』と言うので、『でも、私、気になっちゃうんだよね』と、一応、会話が続きます」

 繰り返しになりますが、もっとも大事なことは会話の量を増やすことです。とくに、妻の気持ちを察して共感するのが難しいという夫は、まずは感想をひとこと言うことから始めてみましょう。

気持ちを行動で示す

 妻とのコミュニケーションを増やすためには、感想を言うことからはじめ、次に共感していることを伝えることが大事です。それが出来たら、次は妻の気持ちを考え、行動で自分の気持ちを示すことも考えてください。次のような場面ではとくに効果的です。

「私が熱を出して寝込んだとき、主人は心配もしないで、仕事が休みだから、ソファでテレビを観ながら、私に『飯はどうするの?』って言うのです。おかしくないですか?」

 この「自分が病気なのに夫は何もしてくれない」という不満は、カウンセリングの場でよく聞きます。

「別に看病してくれと言っている訳じゃないのです。でもご飯くらい、自分でどうにかして当然じゃないですか? 私が作れないのは見れば分かるのだから」

 実際のところ、夫だって病気の妻に「食事を作れ」と言っているわけではありません。たんに食事の問題をどう解決すればいいのか、その答えを求めているだけなので、「何か買ってきて、食べて」と妻に言われれば、素直にそうするはずです。

 このように「妻が病気になっても、どうしたら良いか分からない」という男性は少なくないようで、そのまま放っておく男性も多いと聞きます。看病するという経験がないので、何をしたら良いか分からないからです。

 分からないのも、やはり男性の育ち方に原因があります。子どものときに母親が病気で寝ていても、息子は看病しようと思いません。それは自分の役割ではないからです。母親は、自分が面倒をみるのではなく、自分の面倒をみてくれる存在だからです。

 繰り返しになりますが、夫は、母と息子の関係に、妻と自分の関係を重ね合わせてしまいがちです。母親が病気のとき、食べるものがない息子は、「ご飯どうするの?」と尋ねます。すると「お父さんに頼んで」とか、「冷凍庫にピラフが入っているから、チンして食べて」と返ってくるので、言われた通りに食事を済ませます。そうして育ってきたので、妻にも同じことをしてしまうのです。

 あえて繰り返しますが、妻は母親ではありません。夫には自分へ関心を向けて欲しいし、病気になれば心配してほしい、病気で不安な自分の心に寄り添ってほしいと思うのは当然です。そうした気持ちに行動で応えましょう。

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 夫婦仲がとても良いという女性の話です。

「私が家の中で転んで、足を怪我したとき、翌朝、何も言っていないのに、仕事を休んで病院に連れて行ってくれたのです。感激しました」

 仕事を休めないという男性も多いと思いますが、出来ることなら仕事に遅れて行くなどして、病院に一緒に行ってあげると女性はとても喜びます。これが心配な気持ちを行動で示すということです。

 どうしても一緒に行けないときは、「一緒に行けなくてごめん」と伝えて下さい。行動で示せないなら、せめて言葉で示しましょう。男性も、病人やけが人に対しては思いやりの心を示すものでしょうが、つい妻に対しては甘えてしまいがちです。妻にこそ、きちんと自分の気持ちを伝えなくてはいけません。

 伝えるべき言葉の中でもっとも大切なのは「ありがとう」と「ごめんなさい」です。この言葉をきちんと口にするように心がけましょう。

(山脇 由貴子)

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