「素直に人を好きになれるところは僕に近い」 熊谷健太郎が語る“「IWGP」マコトとの共通点”

文春オンライン / 2020年10月5日 17時0分

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©志水隆

 原作小説は累計430万部、2000年に放送されたドラマは今なお伝説として語られる大ヒットシリーズ「 池袋ウエストゲートパーク 」(石田衣良原作)が10月6日に TVアニメ となる。

 常にリアルタイムの若者の空気や社会問題をシャープに描いてきた「池袋ウエストゲートパーク」はどのようなアニメになるのか。メインキャラを演じる声優3名への独占インタビューを敢行した。

 まず登場するのは主人公マコトを演じる熊谷健太郎さん。マコト役を演じる事への緊張と挑戦を率直に語ってくれた。(全3回の1回目。 #2 、 #3 を読む)

◆ ◆ ◆

マコトと一緒に事件と向き合える充実感

――新型コロナウイルス感染拡大の影響によるアニメの放送延期にともない収録も延期となりました。モチベーションへの影響はありましたか。

 モチベーションが切れることはまったくなかったですね。原作をじっくり読み直す時間ができたことで「このエピソード好きだな」と改めて考えることができましたし、予定されていた日程で収録ができなかったからこそ「早く演じたい」という想いが強まりました。

――ステイホーム期間はどのように過ごされてましたか。

 運動不足になってしまったので、家でできる軽い運動をしていました。あとは、意識をなるべく良い方向に持っていくために、小説や漫画を読んだり、アニメを観たりなど、インプットしている時間が長かったかもしれません。そのおかげか、本作の第1話の台本を改めて読んだとき、最初と違った感覚で読むことができました。

――主役のマコト役に決定したと聞いたときの気持ちを教えてください。

 事務所からの電話でマコト役に決まったことを知らされて、主役をさせていただけることを大変光栄に思い大きな喜びを感じました。しかし「池袋ウエストゲートパーク」は原作小説、ドラマ、舞台と様々な形でファンの方々に愛されてきた作品ということもあり、主人公マコトの声を任せて頂ける喜びと緊張とがないまぜになった気持ちになりました。

――実際に収録がはじまった今、その気持ちに変化はありますか?

 収録が進むにつれてマコトを演じることへの喜びや、作中で起こる様々な事件にマコトを通して向き合えることへの充実感が増していき、「緊張」が「緊張感」に変わってきているように思います。

“普通感”を忘れたくない

――「池袋ウエストゲートパーク」についてどういった印象を持っていますか。

 小説を初めて読ませていただいたとき、自分の過ごす日常とは縁遠いお話のような印象を持っていました。しかし読み進めるにつれて、違法薬物が引き起こした事故や、シングルマザーが抱えている問題だったり、作中でマコトたちが遭遇する事件は、日常のすぐ隣で起きていることなのではないかと感じるようになりました。

――1作目が書かれたのは20年以上前です。

 20年以上も前の小説という印象はまったく受けませんでした。シリーズ初期の巻数ではスマホではなく携帯電話だったり、音楽を聴くのがラジカセのコンポだったり、書かれたときの時代背景を感じる部分もあるのですが、物語やキャラクターの雰囲気に違和感を覚えることは全くなく、夢中で読み進めていました。

――熊谷さんは沖縄ご出身とのことですが、池袋にはどのようなイメージを持っていましたか?

 秋葉原と並ぶアニメとゲームの聖地で、乙女ロードという名前は聞いたことがあったのでとくに女性向けのコンテンツに強い街なのかなというイメージを勝手に持っていました。

――今回のアニメでどのようなマコトを演じたいですか。

(マコト――池袋西一番街にある真島青果店の息子。池袋で生まれ育ったため、『Gボーイズ』などのカラーギャングからヤクザ、果ては警察にまで顔がきき、子供から老人にまで好かれる好青年。ある事件を解決したことでその名が広まり“池袋のトラブルシューター”と呼ばれるようになる)

 いい意味での“普通感”は忘れたくないと思っています。あくまで僕の印象ですが、マコトはすごく喧嘩が強いわけでもなく、天才的にIQが高いわけでもないと思います。

 しかし彼は考えることを絶対にやめない人物です。諦めずにできることを探し続けて、トラブル解決のきっかけを摑む。自分の力で摑むこともあるし、誰かに助けられることもあります。普通の人間が必死にあがくときの感覚を大事にすることで、マコトの感情を表現したいです。

共通点は「素直に人を好きになれるところ」

――マコトと熊谷さんで似ている部分はありますか。

 マコトは相手のふところに入り込むのがとても上手い「人たらし」だと思います。きっと意識せずとも、素直に自分の感情に従って、真心でぶつかるからこそ相手から信頼されるんだろうなと。

 なぜそれができるのかと言えば、マコトは人の良いところや心動かされる部分を見つけるのが上手いからなのでしょう。恋愛感情は別として、友情だったり、信頼だったり、誰かに対して「この人のここが素敵だな。ここがいいな」と素直に思い、その人を好きになれる感覚は、僕も近いものをもっていると思います。

――それでは違っている部分は?

 マコトの素質の中で一番すごいと思うのは胆力ですね。人体解体ショーを潰すエピソード(『電子の星』収録の「電子の星」)で、マコトは一歩間違えたら自分の右腕が切り落とされるかもしれないのに飛び込んでいきます。彼にとっての正義があるからそれができるのですが、マコトは依頼相手から報酬をもらっているわけではない。それにも関わらず自分自身を危険にさらしてでも誰かのために動くことができる。そういうところは僕にはなく、マコトの格好いいと思う部分です。

――ファンが楽しみにしているのが、マコトとタカシのコンビの活躍だと思います。

 タカシのことを表現するときによく「氷」のような冷たいイメージを使われる男ですから基本的に誰に対してもフラットな感情で接するイメージがありますが、マコトには友人としての面を見せてくれます。依頼主とトラブルシューターとして、そしてダチとして、互いに補い合いながら困難に立ち向かっていく。対照的でいて通じ合っている二人の活躍に注目していただけましたら幸いです。

――タカシ役の内山昂輝さんとはスタジオでもお話しされたりするんでしょうか。

 コロナの影響で収録の方法も、一度に最大3名程度までのキャストで行い、録り終えたら入れ替わるという形で実施しています。そのため、他のキャストの方とは腰をすえてお話をするのが難しい状況ではあります。ただその中でも、ドラマのことだったり、「原作ではこうなってましたけど、アニメだとこういう風に味付けされてるんですね」といった作品のお話をさせていただくことは少しできました。早くいつも通りの収録を行える日が来ることを僕は待ち望んでいます。

決して他人事ではない物語

――「池袋ウエストゲートパーク」の面白さのひとつは、その時々の社会問題をビビッドに取り上げるところにありますが、アニメでそういったことを扱うのは挑戦的なように思います。

 この作品は、例えばブラックバイトのエピソード(『西一番街ブラックバイト』収録の「西一番街ブラックバイト」)のように、大なり小なり思い当たるリアルさがありますよね。そういった生々しさが物語に深みを与えていると思いますし、「他人事じゃないな」という気持ちになります。

 僕も原作を読みながら、マコトと同じような感情を抱けているような気がします。物語がマコトの語りで進んでいくところも、身近に感じる要因かもしれませんね。

――もし熊谷さんが「池袋ウエストゲートパーク」世界の池袋にいるとしたら、どういう生活をされてますか。

 ひょっとしたらGボーイズに入っているかもしれないですね。でも基本的に痛いのは好きではないので集会に顔は出しても、アニメやゲームを楽しみながらひっそりとしていると思います。Gボーイズの集会の隅にいる立ち位置です(笑)。

――仲間を求めてそこにいくみたいな?

 そうですね。つながり求めて。

――最後にファンへのメッセージをお願いします。

 今回のアニメは原作ファンには「おっ!」と驚いていただけるような展開がありますし、もちろんドラマをお好きだった方にも楽しんでいただけると思います。今の日本に生きている人だったら他人事ではすまされない、リアルな社会問題に心を動かされる物語です。

 その中で僕もマコトの気持ち、伝えたいこと、やりたいことを表現できるように彼と一緒に感情をしっかり動かして声を務めさせていただきます。

撮影/志水隆

TVアニメ「 池袋ウエストゲートパーク 」(10月6日放送開始)

「リアルな現代社会を描くアニメはもっと増えてもいいと思う」 内山昂輝が語るアニメ「池袋ウエストゲートパーク」 へ続く

(「文春オンライン」編集部)

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