《婚活市場の現実》“女性余り”と“希望年収との乖離” 統計から逆算した狙い目のゾーンとは?

文春オンライン / 2020年10月9日 6時0分

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生涯未婚率などは男性の方が高いのに、婚活市場では女性が余るという逆転現象が起きている ©iStock.com

 2040年には人口の50%が独身者になると言われる日本。もはや「結婚」という制度自体が崩壊していることを説く『結婚滅亡』が話題になっている。著者の荒川和久氏は新しい時代の結婚像を模索する「独身生活研究者」でもある。

 婚活の現場で起きている「未婚人口は男性の方が多いのに婚活市場では女性が余る」という事態は、まさに社会の変化を象徴する現象だ。『 結婚滅亡 』より、驚きのデータを交えて解説した章を抜粋して転載する。(全2回の1回目。 #2 を読む)

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 これだけ「男余り」なのに、婚活の現場では、「そもそも男性の絶対数が少ない」「男性参加者が少なくて、婚活パーティーが単なる女子会になってしまう」などという声もよく聞かれます。未婚男性の絶対数が多いのに、婚活の現場ではどうしてこうした逆転現象が起きるのでしょうか?

結婚への意欲は女性の方が高い

 その1つの理由は、未婚男性だからといって全員が「結婚したい男」ではないからです。

 よくテレビや新聞などで「出生動向基本調査によると、結婚したい男女は9割もいる」という言説が流れますが、あれは正しくありません。この結果というのは、「いずれ結婚するつもり」か「一生結婚しないつもり」かの二者択一の質問に対する回答なのです。どちらか1つを選べといわれれば、よほど結婚したくないと思っていない限り「いずれ結婚するつもり」を選ぶでしょう。

 出生動向基本調査では、それに続いて「一年以内に結婚したい」「理想の相手ならしてもよい」という結婚前向き派か、「まだ結婚するつもりはない」「一生結婚するつもりはない」という結婚後ろ向き派か、という質問もしています。

 それによれば、結婚に前向きな20~34歳までの未婚男性はたったの4割しかいません。一方、同じ年齢の女性でも5割です。二者択一の無理やりな選択で「結婚するつもり9割」だとしても、実際、結婚意欲があるといえるのはその半分程度であり、この傾向は30年前から変わっていません。

 そして、重要なことは、男女の間には1割の乖離があるということです。2015年の出生動向基本調査から年齢別にその詳細を見てみましょう(図1-11)。

 20~39歳までの年齢では、すべて女性の方の結婚意欲が高いことがわかります。男女差分でいえば、25~29歳が16%も女性の結婚意欲が高くなっています。つまり、未婚者の絶対数では「340万人の男余り(20~50代の場合)」ですが、結婚意欲に関しては女性の方が上回っているのです。単に未婚男性の人口が多くても、結婚意欲がない相手では結婚の対象にはなりえません。

 この結婚意欲の違いを、結婚適齢期といわれる年代である20~34歳までの未婚男女の人口差にあてはめてみましょう。

 単純な未婚男女の人口差では、99万人もの男余りです。しかし、結婚意欲の違いを乗じると、結婚したい人口は男299万人に対して、女308万人と、男女逆転して9万人の女余りとなってしまいます(図1-12)。

 20代だけに限ると、未婚人口差では55万人の男余りなのに対して、結婚したい人口で考えると25万人も女余りになるということです。これが、男余りといいながら、実際の婚活において女性が苦労する要因なのです。

 仮に、20~34歳の結婚したい男性との比較で9万人の女余りだとしても、「その程度なら、まだまだ希望はある」と思われるかもしれません。

年収400万にこだわると、163万人の女性が余る

 しかし、結婚したい女性にとっては、さらに残念な事実があります。

 2018年内閣府の実施した「少子化社会対策に関する意識調査」(結婚を希望している者で結婚していない20~40歳代の女性を対象N=1343)によれば、女性が希望する相手の理想の年収は、500~700万円が32・8%ともっとも多く、全体の72%が400万円以上を希望しています。

 あくまで希望ですから、それをとやかくいうつもりはありませんが、実際の20~34歳の未婚男性の年収分布は、逆に400万未満で81%を占めます(年収額不明を除く)。

 つまり400万以上の年収のある未婚男性はたったの19%しか存在しないのです。差し引き、53%の婚活女性は余ることになります。

 前述した結婚したい未婚女性人口である308万人にこの53%を乗じると、163万人もの婚活女性が余るという結論になります。

 経済的にも自立し、結婚する必要性を感じなくなり、あえて自発的に選択して未婚の道を突き進む人ならまだしも、結婚したいのに結婚する相手がいない女性が163万人もいるというのは、残酷な現実かもしれません。

 こんな数字を提示しておきながらなんですが、とはいえ、まだ希望はあります。

 これまでの試算は、あくまで男女とも20~34歳の同年代でのマッチングという前提でした。

 2019年、落語家の春風亭昇太師匠が、59歳のアラカン初婚にして、19歳年下の元タカラジェンヌと結婚したというニュースが話題になりました。

 婚活女性は、年齢が同じくらいの相手だけではなく、ぜひ年上男性に対象の範囲を広げてみてはどうでしょうか? 具体的には、昇太師匠同様の59歳くらいまで。

 そして、重要なのは希望年収の下方修正です。

 20~34歳未婚男性では400万以上は2割もいません。どう逆立ちしても、これではマッチングは不可能です。

「対象を50代まで拡大すれば、それだけ年収の高い男が多くなるのでは?」そういう考え方もありますね。期待させてもいけないので結論を先にいうと、年齢層を50代まで拡大したとしても、全国で400万円以上の年収のある未婚男性はたったの27%に過ぎません。45%の女性があぶれてしまいます。400万以上はどだい無理なんです。

 しかし、年収条件をもう100万円落として、300万円台にすると、対象者は50%まで広がります。事実、就業構造基本調査によれば、アラサーで結婚している男性の4人に1人は年収300万円台です。そこがメインボリューム層なのです。希望年収については、このあたりに妥協しないとどうにもならないと思います。

恋愛強者が勝つという身も蓋もない現実

 なお、4章の夫婦調査で詳しく解説していますが、「高年収の男性と結婚できているのは恋愛強者の女性3割に限られている」という現実もあります。

 高年収条件の男を勝ち取れるのは、恋愛強者の女性だけなのです。そうなると、厳しいようですが、恋愛強者以外の女性は、年収条件は頭から忘れた方がいいかもしれません。

 ただし、この計算の中には、結婚意欲のない残り半分の未婚男性が除外されています。

 思えば、皆婚を実現したのは、世話焼きなお見合いおばさんや、強引な職場の上司など誰かの後押しがあったからこそ実現できたもの。7割の男は恋愛や結婚に関しては所詮受け身なのです。どうしても結婚相手を見つけたいという未婚女性は、結婚したい男女が集う婚活の現場にはいないと見定め、「今は結婚なんて別にしたいと思わないなあ」という、結婚意欲の薄い未婚男性にターゲットを絞る方が得策なのかもしれません。

「高収入女性が、低収入男性を“専業主夫”として養う結婚」が成り立ちにくいのはなぜか? へ続く

(荒川 和久/Webオリジナル(特集班))

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