《NEXT「おっさんずラブ」》“BLすぎる”「チェリまほ」スパダリ町田啓太×子犬の赤楚衛二がTwitterトレンド世界5位に入ったワケ
文春オンライン / 2020年11月26日 18時30分

町田啓太 ©AFLO
《ヤバッ! すっげー近い……(トクントクントクン) 朝からこんなにツイてていいのかな……めっちゃドキドキするんだけど!(ドクンドクンドクンドクン) てか心臓の音、安達にバレてないかな》
赤楚衛二(あかそ・えいじ)×町田啓太出演の話題のドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(BSテレビ東京系)、通称「チェリまほ」。第1話で、町田啓太演じるイケメン会社員・黒沢の“心の声”に多くの視聴者が悶絶したのではないだろうか。
私は、悶絶した。
原作は「ガンガンpixiv」で連載中の豊田悠による大人気の同名BLコミックだ。30歳になった途端、体が触れた人の心の声が聞こえるようになってしまった主人公・安達(赤楚)。これまで誰とも付き合ったことがなく、“童貞”だったために魔法使いになってしまったというわけだ。そしてある日、仕事がデキてイケメンでモテる同僚・黒沢の心の声を偶然聞いてしまい、彼の意中の人が自分であることに気づく――。
一見すると“トンデモ”な設定だが、これが最高にピュアで愛おしい物語なのだ。
第7話が11月19日に放送され、Twitterトレンドで日本1位、世界5位、タイ2位、ベトナム3位にランクインするという快挙も見せている。しかし、その割には話題になっていないように思う。実際、私も様々な媒体に「チェリまほ」コラムのネタ提出をしたにも拘わらず、どういうわけかことごとくボツにされた。
いったい何故か。
自分の説明の熱の入り方が、もしかしたら前のめりで気持ち悪かったんじゃないかと、しばらく考えていた。それもあるだろうが、それだけではないかもしれない……。
おそらく「チェリまほ」は、“BLすぎる”ゆえに一般層まで浸透しきらず、そして“BLすぎる”ゆえに面白いのだ。
(※本稿には一部あらすじが書かれています。ネタバレになる可能性があるのでご注意ください)
原作ファンも驚愕の再現度
まず、この2人の並びを見てほしい。「キャスティングした人、天才」としか思えないほど原作ファンも驚愕の再現度で、奇跡のバランスだ。
主人公のサエない会社員・安達清を演じるのは赤楚衛二(26)。主演ドラマ「ねぇ先生、知らないの?」や映画「思い、思われ、ふり、ふられ」などで多くの女性を“キュン死“させてきた。
自信なさげにいつもオドオドしていて、人に仕事を押し付けられがちな安達。黒目がちな瞳で童顔、小動物的な愛らしさのある赤楚が演じると、ちょっと上ずった感じの高く上品なかすれ声や、体をギュッと硬くする緊張感など、すべてのリアクションが生々しく、演技には到底見えない。つい庇護欲をくすぐられる。
そんな安達に密かに思いを寄せる、完璧なイケメン同期・黒沢を演じるのは、ドラマ「中学聖日記」(TBS系)、「ギルティ~この恋は罪ですか?~」(日本テレビ系)など、様々な作品・役柄をフラットかつプレーンに演じてきた町田啓太だ。スッと伸びた鼻梁にクッキリとした二重まぶたと、彫刻的な美しさが際立つ。
実は放送開始前に、2人をリモート取材したことがあったのだが、まだ顔合わせしたばかりという2人の並びと距離感がすでに「安達と黒沢」だったことに驚かされた。
ちんまりと座る小犬のような雰囲気の赤楚衛二。それに対して、笑顔で堂々としていて、大人の余裕を漂わせる町田啓太。華奢で小柄に見える赤楚と、頼もしく強そうな町田。
(余談だが、身長差も理想的……と思ったら、赤楚は実は身長178センチと長身で、181センチある町田との身長差は意外にも3センチしかなかった。これは赤楚の演技はもとより、多少の猫背具合が巧く作用しているのかもしれない)
2人のような、つぶらな瞳で小柄な“受け(受け身側)”と男性的な美しさを持つ“攻め(リードする側)”の組み合わせはBLでは定番中の定番だ(これが第7話、ついに「両想い」に変わるときに、受けと攻めが逆転しているように見えるのもポイント)。たとえばシリーズ累計300万部を突破したマンガ「純情ロマンチカ」(角川書店)は、多くの人が想像する“BL”ではないだろうか。
だからこそ、 “BL慣れ”してない人には「チェリまほ」はそもそも観ようと思いにくい。メディア関係者にしても、ここまであからさまなBLドラマは取り上げにくいのではないだろうか。
町田啓太の現実離れした「スパダリ」
しかし一方で、彼らのビジュアルは「チェリまほ」に必要不可欠でもある。特に町田啓太。彼はその美貌と優しい物腰、上品な色気で「スパダリは実在した」という奇跡を体現している。
スパダリとは「スーパーダーリン=整った容姿、高身長、高学歴、家事ができる、大人の余裕と包容力ある男性」の略で、現在は若者の間で広く使われるキーワードだが、BL界隈では2014年頃にはすでに“ハイスペックな攻め”を称する際によく使われていた。
町田啓太はその現実離れしたスパダリを説得力十分に、違和感なく実体化している。
困っている同僚にはスッと手を伸ばし、女性にも男性にも分け隔てなく感じがいい。しかも自宅はモダンなインテリアの高級マンションで、掃除も行き届いており、料理もお手の物……。常にスマートで、才色兼備、そして優しい。「チェリまほ」の町田啓太はスパダリそのものだ。
共感しにくいスパダリを次のステージに押し上げた
とはいえ、スパダリは完璧すぎる故に、本音が見えにくく、共感したり愛でたりしにくい性質もある。しかし「チェリまほ」は、そんなスパダリを次のステージに押し上げている。私たち視聴者はスパダリ・黒沢の、本来なら隠されている“本音”を聞くことができる。なにせ安達は“魔法使い”なのだ。
スパダリ黒沢は爽やかな笑顔を浮かべながら、朝から愛しの安達に会えただけで《ラッキー》と感じ、エレベーターの混雑で周りに押され、安達の近くに来るとドキドキし、寝ぐせを見て《可愛い》と感じる。安達が近づくと《いい匂い》とうっとりして、うなじにあるホクロを発見して《ホクロ、ホクロ、ホクロー!!!》と興奮してしまう。
こんな本音も下心も丸出しのスパダリ、いままでいなかった。そして下心だけでなく、安達へのピュアすぎる恋心も露わになる。
この日も、安達は夜遅くまで同僚に押し付けられた仕事を《結局、仕事引き受けちゃったし!》と嫌々こなしていた。安達に付き合ってともに残業をしていた黒沢だが、寒そうにしている安達に自分のマフラーを巻いてやる。そこで安達に心の声を聴かれるのだ。
《安達、自己評価低すぎ。いっつも周りの空気読んで、一歩後ろに引いてて、朝も人にエレベーター譲ったり、先輩の仕事押し付けられても嫌な顔しないで。本当はめっちゃ優しくていい奴で、それに仕事は丁寧にキチッとこなす。そういうところが、俺は……》
それまで黒沢から漏れ出ていた《いつも同じ場所についている寝ぐせが可愛い》というちょっとキモめの下心も、単なるオタク的萌えポイントではなく(最初はそうかと思ったが)、“自分のことにはだらしないのに、人の気持ちには敏感で、仕事は丁寧”という、安達の人柄が土台にあっての《可愛い》なのだ。
モテモテな完璧男子のくせに、好きな相手に対しては遠慮しぃで臆病。そのくせ好きな相手が困っているときにはすぐに駆け付け、助けてくれる優しさ。心の声が聞こえることで、主人公の安達だけでなく私たち視聴者も、黒沢のそんな分かりにくい魅力を知ることができる。
少年のような恋心と、奥ゆかしさ、頼もしさを併せ持つ黒沢は、まさに「スーパースパダリ」なのだ。
女性も共感する悩み
そして、Twitterトレンドで世界5位になった第7話では、そんなスパダリ・黒沢が安達を好きになったきっかけが明かされた。
黒沢はその優れた容貌ゆえのコンプレックスを抱えていた。たくさんの女性に告白されても、「外見しか見られていない」と感じてしまう黒沢。しかし、それを口にすればイヤミになるから、気にしていないフリをして、「周りが求める完璧な自分」を演じて、仕事も人間関係も常に誰より努力してきた。
しかしイケメン好きの女性社長との飲み会で、セクハラを受けて思わず拒絶。すると「顔だけが取り柄なのに」と陰口を叩かれ、これまで抑えてきた感情が決壊。酔って公園のベンチに寝そべりながら、一緒に飲み会に参加していた安達に「顔要員で連れてこられたのに、結局役立たずで」と弱音を吐くのだ。
しかし安達は「そんなことない」と否定。「社長のことをすごくリサーチして、製品のことも全部覚えてたし、俺のかわりに酒飲んでくれたし」と、黒沢の外見ではなく努力の部分を褒めてフォローする。しかもこんなことまで言いのける。
「いつも完璧な黒沢が弱ってるところ見るの、新鮮で。なんかいいなって(笑)」
そして「ちょっと寝ろよ」と声をかけ、優しく胸のあたりをトントンする(お母さんか!)。
安達が女性キャラクターだった場合、黒沢はここまで癒されないだろう。黒沢のコンプレックスを考えると「安達が優しいのは俺の外見のせいか?」と勘繰ったり、セクハラをしてきた女性社長を思い出して、「トントン」も素直に受け入れられなかったかもしれない。
しかし安達は男。そしておそらく異性愛者だ。だからこそ優しい言葉や仕草を素直に受け入れられ、恋心が芽生えるに至るのだ。視聴者も、BLだからこそのピュアな思いに心打たれ、癒されたことだろう。
「チェリまほ」は「おっさんずラブ」を超える作品になるのではないか
「チェリまほ」は“BLすぎる”ゆえに入口の段階で視聴者を選んでしまう傾向もあるが、“BLすぎる”がそれゆえに普遍的な物語が描かれている。BLというと、濃厚な絡みばかりをイメージする人もいるかもしれない。その点、「チェリまほ」は視聴者がもだもだするほど、どちらも奥ゆかしく、ピュアである。これは異性愛においてはもはや描きにくい純愛なのだ。
安達が気づいていない魅力を評価し、自信を与えてくれる黒沢。黒沢の壁や薄い膜で覆って傷つきやすい心にそっと触れ、背負っている荷物をそっとおろさせてくれる安達――。こんなの、ときめかないわけがない。
今後、SNSを中心に多くのファンの間で盛り上がり人気の裏付けができれば、急速に認知度が高まっていくはずだ。「チェリまほ」は「おっさんずラブ」を超える作品になるのではないか。ここにきて、そんな予感が確信に変わってきている。
(田幸 和歌子/Webオリジナル(特集班))
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