「憧れる人と一緒に仕事をするのが私の幸せ」DeNA・南場智子氏、黒字でも社長交代の理由

文春オンライン / 2021年2月24日 6時0分

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女性起業家のフロントランナー ©共同通信社

 IT事業大手のディー・エヌ・エー(DeNA)は2月9日、COOの岡村信悟取締役(51)が4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。社長交代は10年ぶりだ。守安功社長(47)は代表権のない取締役となり、創業者の南場智子氏(58)は代表権のある会長を続投するが、執行役員は退く。

 昨年3月期は上場来初の最終赤字に転落したDeNA。だが、コロナ禍に伴う巣籠り需要が追い風となり、昨年4~12月決算は一転、219億円の黒字に転換した。それでも今回、社長を交代させたのはなぜか。

「南場氏の決断です。『自分が憧れる人と一緒に仕事をするのが私の幸せ』というのが南場氏の口癖で、これはと思った人材は時間をかけても呼び寄せる。総務官僚だった岡村氏のことも7年かけて口説き落としました」(DeNA関係者)

 岡村氏は中国史研究で東大大学院を修了後、95年に旧郵政省入省。過去には同省の採用パンフレットで、宮沢賢治の言葉を引く文学青年だったという。

「06年に発足した第一次安倍政権では、広報担当の世耕弘成補佐官に仕えた。本人も『(官邸入りは)郵政省の長い歴史のなかで初めてのことだった』と振り返っていますが、それだけ彼が優秀だったということです」(総務省関係者)

 08年に総務省に復帰し、当時浸透しつつあったSNSについて健全なサイトを認定する第三者機関の設立に携わる。ここで一緒に働いたのが南場氏だった。

南場氏の今後は?

 以降、折に触れ「DeNAに来て欲しい」と熱烈なオファーを受け続け、16年4月、DeNAに入社。半年後に傘下のベイスターズ社長に就任するなど、スポーツ事業に携わってきた。

「南場氏は昨年、プロ野球オーナー会議で初の女性議長に就きました。それこそ、DeNAの経営以上に、コロナ禍のプロ野球活性化に頭を悩ませていた。その過程で岡村氏への信頼を一層強くしていったのです」(前出・DeNA関係者)

 ツイッターでも〈執行は岡村に大幅に委ね〉と記した南場氏。この人事で機が熟したと見られるのが、

「南場氏の経団連副会長就任です。過去に女性副会長はゼロ。現在18人いる副会長のうち、5月末で4人が任期を迎えます。以前から中西宏明会長は『古い友達』という南場氏に副会長ポストを打診してきましたが、社業専念などを理由に難色を示してきた。しかし、今回の人事で環境は整いました。森喜朗氏の“女性蔑視”発言が問題視される中、財界の女性登用も急務。本人も意欲を見せ始めたといいます」(経団連関係者)

 日本社会に蔓延(はびこ)るDNAを変えることができるか。

(森岡 英樹/週刊文春 2021年2月25日号)

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