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《第二子懐妊》アーチーくん出産直後…ヘンリー王子夫妻がメディアに伝えた「あるまじきウソ」

文春オンライン / 2021年2月20日 11時0分

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©iStock.com

公務にジーンズ、ヘンリー王子にボディタッチ… ロイヤル・プロトコルを破ったメーガン妃とイギリス王室の“摩擦” から続く

 2021年2月14日。バレンタインデー当日にメーガン妃の第二子懐妊が発表され、イギリス王室からも喜びの声が上がった。しかし、メーガン妃の“出産”については、王室離脱のきっかけの一つにもなったとされる諸問題がある。それは、第一子アーチーくん妊娠・出産時の“王室”らしからぬ行動の数々だ。

 ここでは亀甲博行氏の著書『 ヘンリー王子とメーガン妃 英国王室 家族の真実 』(文春新書)を引用し、第一子のアーチーくん出産当時、ヘンリー王子夫妻がとったさまざまな問題行動を紹介する。(全2回の2回目/ 前編 を読む)

◇◇◇

出産をめぐってマスコミと不協和音

 2019年5月、私の帰任直前にヘンリー王子とメーガン妃の第1子アーチーくんが誕生した。あのロイヤルウェディングから1年、メーガン妃の出産は多くの関心を集め、その人気ぶりを改めて印象付けた。

 しかし、ここでも従来のイギリス王室の慣習を破った。“メーガン流”を貫いた出産スタイルは、すでにこじれていたイギリスメディアとの関係をさらに悪化させることになった。

 近年、ロイヤルベビーが生まれる場所といえば、ロンドンのセント・メアリー病院だ。出産直後のキャサリン妃が赤ん坊を抱いて笑顔を見せている映像を記憶している人も多いのではないだろうか。あの場所である。キャサリン妃はジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子の3人をここで産んだ。ダイアナ元妃がウィリアム王子とヘンリー王子を産んだのもやはりセント・メアリー病院だった。

 出産予定日の数週間前になると、病院前の道路では交通規制が始まり、やがて熱心な王室ファンが泊り込みを始める。病院周辺の様子をチェックしていれば、出産が近づいていることは一目瞭然だった。

 しかし今回は予定日が近づいても病院前に変化は起きなかった。どこで出産するのか、王室が一切情報を出さなかったのだ。

 40年来の王室ファンだというマーガレット・テイラーさんに取材してみたが、彼女にも情報が入っていなかった。

「何も情報がないんです。キャサリン妃の3人の子供のお披露目を見てきたので、今回見られないのは残念です」

 本来なら出産予定日まであと10日ほどになれば、彼女たちは病院の前で場所取りを始める。しかし今回は情報がなく、どこに行けばいいのかわからないのだという。

キャサリン妃の努力を全否定するような行動

 実はヘンリー王子とメーガン妃は「出産をプライベートなものにしたい」と話していた。そのためイギリスメディアの間では、メーガン妃が病院ではなくウィンザー城の自宅で出産するのでは、という見方が広まりつつあった。この頃には新居であるフロッグモア・コテージをセレブ仕様にする改装も終わり、2人はウィンザーに移っていた。

 しかしメーガン妃がどこで出産するのかは最後まで公表されず、私たちもわからないままだった。

 さらにロイヤルベビーといえばおなじみの、退院する際に赤ん坊をお披露目するシーンも設定されないことがわかった。

 ロイヤルベビーはただの赤ん坊ではない。将来のイギリス王室を支える一員、である。もちろん2人の子供は兄ウィリアム王子の子供と違って国王になる可能性は低いが、それにしても生まれた赤ん坊を少しでも早く見たいというのは国民の願いでもある。これに応じることはある意味、王室としての務めだろう。

 なぜメーガン妃が出産直後のお披露目を拒否したのかについて、王室から公式な説明はなかった。

 しかしイギリスメディアは関係者の話としてその理由を伝えた。フェミニストであるメーガン妃にとって、出産直後に髪をセットし病院の前でお披露目する行為は、女性に過度に負担を強いるものであり、信条に反するのだという。

 キャサリン妃は出産当日の朝に入院し、その日の夕方にはヒールを履き、フルメイクでカメラの前に赤ん坊と現れ、笑顔を見せていた。私の娘の出産時の妻のくたびれ具合からすると、信じられないほどの超人ぶりだと感じたのは事実だ。

 ただキャサリン妃ももちろん楽にこなしているわけではなく、あの笑顔のウラには相当な努力があったに違いない。王室の一員としての使命感だろう。まるでダイアナ元妃やキャサリン妃のこうした努力を全否定するようなメーガン妃の行動は、私にはどうしても理解できなかった。

誕生の報告はインスタグラムから

 そして出産当日。

 通常、ロイヤルベビーが誕生する際には「陣痛が始まり病院に入った」というタイミングと「誕生した」の2回、王室から発表が行われる。陣痛が始まったという情報を受けて各テレビ局が病院前での中継を始め、お祭り騒ぎとなる。

 今回陣痛の発表があったのは午後2時半ごろだった。そしてそのわずか30分後にヘンリー王子とメーガン妃の公式インスタグラムで、続いて王室から出産が発表された。

 3260グラムの男子の誕生を受け、ヘンリー王子がウィンザーでイギリスメディアのインタビューに応じた。

「メーガンと私は元気な男の子を授かりました。かわいくて仕方ないです。これまで想像したことがないほどすばらしい経験でした」

 父親になった喜びを隠しきれない様子のヘンリー王子に、私は何ともほほえましい気持ちになった。この日はカメラの前に登場したのはヘンリー王子だけで、事前の情報通りメーガン妃と男の子のお披露目はなかった。

「ウソ」の発表

 一方で、意外な事実が明らかになった。

 普通、陣痛の発表から出産までは数時間かかる。キャサリン妃がルイ王子を出産した時も、陣痛の発表から出産までは3時間ほどあった。それが今回は30分である。それにしても早かったなと思っていたら、なんと陣痛の発表の9時間前には男の子がすでに誕生していたことがわかった。つまり2人は「ウソ」を発表していたのである。

 イギリス王室とメディアの間には、ダイアナ元妃の事故死という悲劇があったためか、しっかりとした取材ルールが確立されている。王室が情報を公開する代わりに、メディアの側もロイヤルファミリーを追跡したり、我先にマイクを突き付けたりということをしない。お互いを尊重しあう非常にいい関係だと感じていたが、この「メディアにウソを伝える」というメーガン妃の行動は明らかに信頼関係を損ねるものだ。

 また出産についての発表文には「現在夫妻たちはフロッグモア・コテージにいる」と書かれていた。一瞬自宅で生んだのかと思うが、よく読むとどこで出産したのか明言を避けていることがわかる。ロイヤルベビーが誕生するとバッキンガム宮殿の前に医師のサイン入りの証明書が掲示されるが、この証明書の医師の欄もわざわざ空欄にするという徹底ぶりだった。なぜ出産後も出産場所を隠さなければいけないのか、私にはまったく理解できなかった。

 出産の2日後、ようやく生まれた男の子のお披露目が行われた。場所はウィンザー城内の豪華絢爛な広間。撮影を許されたのはイギリスメディアの代表カメラだけで、私たちは現場に入ることもできなかった。

 これまでのお披露目では、母親が赤ん坊を抱いていた。キャサリン妃もダイアナ元妃もそうだ。しかし今回男の子を抱いていたのは母親のメーガン妃ではなく父親のヘンリー王子だった。王室の慣例を破ったのは、フェミニストとしてのメーガン妃のメッセージなのだろう。一瞬だけ男の子の顔が見えたが、帽子をかぶってすやすやと眠っていた。

「形式張った王族に育てたくない」という考え

 男の子は、アーチー・ハリソン・マウントバッテン=ウィンザーと名付けられた。マウントバッテン=ウィンザーというのは現在のイギリス王室にとっての名字である。

 一方のアーチーとハリソンというのは、イギリス王室にとってなじみのない名前だった。イギリス人スタッフは「ハリソンといえばハリソン・フォードだよね。なんかアメリカ人っぽいよねえ」とか、「ハリーの息子(ソン)だからハリソンにしたんじゃないか」などと冗談を言っていたが、BBCによるとやはりイギリス王室には珍しい名前であり、「形式張った王族に育てたくはないという意向を強く示すもの」だという。

 また「王子」という称号も与えられなかった。そのため、いとこであるルイ王子とは異なり、アーチーくん、と呼ばれることになる。

「形式張った王族に育てたくない」「王子の称号はいらない」という考えは、いかにも2人らしく素晴らしいと思う。しかしそれなら、なぜわざわざお披露目をイギリス王室が所有する建物の中でもっとも王室らしいウィンザー城の広間で、しかも一部のメディアだけに対して行なったのだろうか。病院前で大勢のメディアや一般市民にお披露目し、祝福の言葉を受けたダイアナ元妃やキャサリン妃の方が、よっぽど「庶民に近い王室」というメッセージが伝わってくる。

セレブ御用達のプライベートホスピタルでの出産

「まるで魔法のようで本当に素晴らしいです。世界で最高の男性2人に囲まれて、とても幸せです」

 満面の笑みでそう語ったメーガン妃を見ながら、私はなんとなく冷めた気持ちになっていた。

 その9日後。秘密とされていたメーガン妃の出産場所が、アーチーくんの出生証明書から明らかになった。出産場所はロンドン中心部のポートランド病院だった。ヴィクトリア・ベッカムが出産した病院でもあり、出産費用は最低でも1万5000ポンド(約225万円)というセレブ御用達のプライベート・ホスピタルだ。

 出産場所を隠したのは「セレブ出産だ」と批判されるのを避けるためだったのだろう。私はもはや驚かなかった。

 2人のこうした振る舞いは、一般国民もよく思っていないようだ。

 2019年8月に発表されたYouGov社の世論調査によると、イギリス王室でもっとも人気があるのはエリザベス女王で72%だった。ヘンリー王子が71%、ウィリアム王子が69%で続く。ヘンリー王子は依然上位3人に入っているものの、前年の調査では77%だったので6ポイント下落した。

 一方のメーガン妃は49%だった。前年は55%だったので、やはり6ポイント減だ。

 もちろん1年で6ポイント上下するのは誤差の範囲といえるかもしれない。しかしとくにメーガン妃の支持率は不人気とされるチャールズ皇太子(48%)と同水準であり、メディアで大きく取り上げられている割には、イギリス国民がシビアな見方をしていることがよくわかる。

女王の「決断」

 ロイヤルファミリーは毎年クリスマスになるとエリザベス女王の私邸であるサンドリンガム・ハウスに集まり、一緒に休暇を過ごすのが慣習となっている。イブにプレゼントを交換しあい、クリスマス当日には揃って近くの教会を訪れる。そして午後にはテレビで放送される女王のクリスマス・メッセージを視聴するのだ。

 2017年のクリスマス礼拝は、まだ結婚前にもかかわらずメーガン妃が参加したことから注目された。2018年のクリスマス礼拝も、不仲説がささやかれていたキャサリン妃とメーガン妃が揃って登場したことから大きなニュースとなった。王室ウォッチャーにとってまさに必見のイベントである。

 しかし2019年のクリスマス礼拝にヘンリー王子とメーガン妃の姿はなかった。2人はカナダで6週間の休暇をとっていたのだ。

 イギリスではクリスマスに家族と過ごすことは非常に重要な意味を持つ。恋人たちのイベントというよりは家族のイベントという感覚が強く、日本でいうと正月のイメージに近い。その大切な日にわざわざ「休暇」で海外に行くというのは、女王を軽視しているようにしか思えない。私はなんとなく嫌な予感がした。

高まっていた王室とヘンリー王子夫妻の間の緊張感

 さらにその日の午後に女王のクリスマス・メッセージが放送されると、机の上にチャールズ皇太子夫妻とウィリアム王子一家の写真が飾られる一方で、ヘンリー王子とメーガン妃の写真は置かれていなかった。2人とエリザベス女王との距離感はもはや明らかだった。翌年の1月8日、突然発表されたように見えるヘンリー王子とメーガン妃の「主要な王族からの引退宣言」だが、実際にはそれ以前から緊張感は確実に高まっていたのだ。

 今回の発表を受け、イギリス市民の反応は割れていた。

 バッキンガム宮殿の前でBBCのインタビューに答えた白人男性は辛らつだった。

「ヘンリー王子はメーガン・マークルに完全に支配されている。だから彼は彼女に言われたことをやっているだけだよ。公務を行う用意ができていないなら、2人の王族資格を剥奪すべきだ」

ヘンリー王子夫妻の決断に理解を示す声も

 しかし2人の決断に理解を示す声も多く聞かれた。黒人の女性2人組はこう語る。

「メーガン妃のせいだ、彼女に責任があるという声をよく聞くけど、ヘンリー王子のことを過小評価しています。王子はもう大人だし、これは彼がずっと望んできたことだと思います。みんな2人に構わないで少し時間を与えるべきじゃないかしら」

 またインド・パキスタン系の男性も2人の決断を支持していた。

「メーガン妃にとってかなり抑圧的な状況だったので、こうした行動をとる理由は理解できます。2人のことを知っているわけではないけど、2人の発言に偽りはないように思う。もしかしたら王室の厳格さが時代遅れだということを示しているのかもしれない」

 しかしその10日後、エリザベス女王の下した決断は厳しいものだった。

 王室の発表によると、ヘンリー王子とメーガン妃は2020年の春以降に「殿下」「妃殿下」の称号を返上したうえで、一切の王室の公務から退くことになった。これにはヘンリー王子がこだわっていた軍関連の公務も含まれる。夫妻はエリザベス女王の正式な代理を務めることができなくなり、公務と引き換えに受けていた公的資金も受け取れなくなった。ただし女王の配慮により、個人的に支援する慈善団体などとの関係だけは今後も認められた。

 また2人は今後もウィンザーのフロッグモア・コテージをイギリスの家として維持し続けるものの、王室助成金から支出された改修費240万ポンド(約3億6000万円)は返済する意向を示したという。マスコミからの高額だという批判に配慮した形だ。

 北米とイギリスを行き来し、経済的に独立しながら公務を続けたいとしていた2人だが、女王がこれを真っ向から否定した形となった。BBCの王室担当記者が「これ以上きっぱりとした区切りの付け方は考えにくい」と述べたほどだった。

 女王はこの厳しい決断に至った理由を自ら語っていない。

王室の将来を考えての決断

 しかし主要な王族から退いたあとの2人については様々な憶測が流れていた。「経済的に独立」するため、例えばメーガン妃が女優に復帰することや、ネットフリックスと独占契約して映画を製作すること、あるいは自分たちの爵位を使った「サセックス・ロイヤル」ブランドを商標登録し、衣類や書籍、教育関連サービスなどのビジネスに乗り出すなどの可能性が指摘されていた。

 その後、ヘンリー王子夫妻は「ロイヤル」の称号を使わないことを明らかにし、「サセックス・ロイヤル」の商標登録申請も取り下げた。ロイヤルファミリーとしての地位を利用したこうした展開への批判に配慮したものだろう。

 蟻の一穴という言葉があるように、どんな強固な組織であったとしても、小さな穴が原因で全体が崩壊するものだ。セレブ気取り、浪費ぶりが目についていたメーガン妃の振る舞いは、エリザベス女王が長年苦心して築き上げたイギリス王室にとって「蟻の一穴」となる可能性は大いにあった。女王は王室の将来を考え、2人を切り離すと決めたのではないだろうか。

(亀甲 博行/文春新書)

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