「飛び降りるのにちょうどいい窓あるで。死んどいた方がいいんちゃう?」ワタミ・吉本興業・ユニクロ…有名企業パワハラ暴言録7選

文春オンライン / 2021年3月8日 6時0分

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 企業のコンプライアンス遵守が叫ばれるようになって久しいが、それでもパワハラは一向に無くならない。

 厚生労働省が12年と16年に行った「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によれば、過去3年間にパワハラを受けたことがあると回答した従業員数は25.3%(12年)から32.5%(16年)と増加している。

 行政側も後手に回っていた対応にようやく本腰を入れており、昨年6月に施行された「改正労働施策総合推進法、通称・パワハラ防止法」によって、ようやく日本の法律で初めて「パワハラ」が規定され、企業側にパワハラ防止のための雇用管理上の措置が義務付けられるようになった。

 ただし、現在のところ同法の対象は大企業のみ。中小企業では22年4月からの施行と先送りされているため、パワハラ問題はまだしばらくの間、野放しとなりそうだ。

 パワハラがまん延する企業は、実際にそれを行う個人だけでなく、行為を容認し、助長する社内風土にも問題がある。そもそも本来なら問題の解決に率先して取り組まなければならない組織の経営幹部によるパワハラも目立つのだ。

 そこで改めて、これまでパワハラで問題になった企業やその経営幹部たちの「パワハラ暴言」を振り返ってみたい。(取材・文=常田裕/清談社)

◆◆◆

「365日24時間、死ぬまで働け」(ワタミ・渡邉美樹会長)

 日本で“ブラック”と呼ばれる企業は数多いが、 “ブラック企業”としてまず名前が挙がるのはやはりワタミだろう。創業者の渡邉美樹会長はブラック暴言の宝庫で、社員に配られる理念集には冒頭の言葉をはじめ、パワハラを是とするような理念が書かれており、過去の著書やインタビューなどでも、パワハラ発言をまるで武勇伝のように公言してきた。

「ビルの8階とか9階で会議をしているとき、『いますぐ、ここから飛び降りろ!』と平気で言います」

「営業12時間の内メシを食える店長は二流」

「『ごめん。今月、給料はゼロです』と言ったことが何度もあります」

「(ワタミは)もう爪の先まで自分のものです」

 2008年には、新入社員だった女性が過労自殺に追い込まれ、大きな社会問題となったが、渡邉氏は、「労務管理できていなかったとの認識はありません」「(自殺した女性の)心の病みを察知できなかった」と、問題を軽視するような言動を連発。大いに社会の反発を買った。最終的には責任を全面的に認めて謝罪しているのだが、死去から7年半にわたって謝罪を拒み続けた姿勢は、そのブラックぶりを日本全国に知らしめる結果となった。

 2013年に選挙に出馬して参議院議員となった渡邉氏は一時、同社の経営から離れていた。ワンマン創業者が不在となったワタミは労働環境の改善に努力し、従業員も労働組合を結成するなど、「ホワイト企業」に生まれ変わったことを内外にアピールしてきた。

 ところが2019年になって渡邉氏が代表取締役に復帰。昨年9月にはまたもや長時間労働や残業代未払いで厚労省から是正勧告を受けていたことが発覚するなど、社内には不穏な空気が漂い始めている。企業の体質はそう簡単には変わらないということだろう。

「お前が飛び降りるのにちょうどいい窓あるで、死んどいた方がいいんちゃう?」(三菱電機)

 2018年、19年と2年連続で「ブラック企業大賞」に選ばれた三菱電機。このセリフは一昨年に自殺した新入社員が、上司の教育主任から浴びせられた言葉をメモに書き残していたことで発覚した。

 メモには「次、同じ質問して答えられんかったら殺すからな」「自殺しろ」といった言葉も書かれており、この上司は自殺教唆の疑いで書類送検されている。

 同社では12年以降、月100時間を超える残業やパワハラなどが原因で6人の労災認定者、5人の自殺者が出ているのだが、三菱電機は「個別具体の話はできない」としており、企業としての責任に本気で向きあっているとは思えない対応にも批判が集まった。

「お前みたいなクソは地獄に落としたる。死ぬまで償えボケェ」(Casa・宮地正剛社長)

 昨年12月に『週刊文春』が報じた一部上場企業・Casaのパワハラ疑惑。宮地社長が社員に暴言を吐くのは日常茶飯事だといい、多くの元役員や社員たちが、そのパワハラ語録を証言している。

 ノルマが達成できない役員には「家の権利書を持ってこい」「給料泥棒!」「金返せ!」と詰め寄り、ある支店長は「街金崩れが。(家賃を)滞納してる連中の集金しか能のないやつらが生きていけんのか。ああ? ゴミ拾いしかできんのだろうが」と責められたという。

 退職届を出した取締役に対しては、こんな罵倒の嵐だったとも。

「サラリーマンは金をベットできんのじゃ、乞食やから」

「俺も輩は輩で何人もと付き合っとるから」

「俺は頭おかしいんだ。だから危ねえんだよ。耐えれんかったら電車に飛び込め」

「死ぬほど苦しめ」

「お前は奈落の底に突き落として、お前の家族も突き落として」

 しかもCasa側は、こうした発言を認めたうえでなお、「我々はコンプライアンス上、問題がないと思っています」という回答だったというから驚きである。

「お前らテープ回してないやろな」(吉本興業・岡本昭彦社長)

 2019年の芸能界を大いに騒がせた吉本興業の闇営業問題。今となっては宮迫らがついた嘘が事態を混乱させていたわけだが、当時の騒動の渦中でクローズアップされたのが吉本興業のブラック体質だった。

 吉本に会見を止められた雨上がり決死隊の宮迫博之とロンドンブーツ1号2号の田村亮が、会社の制止を振り切って独自に開いた会見の中で告発したのが、この岡本社長の発言。岡本社長は、宮迫ら芸人たちとの話し合いの場で、他にも「(会見を)やってもええけど、ほんなら全員、連帯責任でクビにするからな。俺にはお前ら全員クビにする力があるんだ」という言葉を口にしており、これを宮迫と田村に暴露されたのだ。

 告発を受けて記者会見に臨んだ岡本社長は、テープ発言は「場を和ますための冗談だった」と釈明するも会場はスベりまくり。

 この騒動を機に、吉本興業は芸人との契約形態を見直しているが、現在も独立する芸人が相次いでいる。

「倒れるのはそいつが悪いだけ。自己管理の問題だ」(MFS・井戸実社長)

 昨年、倒産に追い込まれた「ステーキけん」などを運営していたMFS(旧エムグラント・フードサービス)。28歳で同社を創業した井戸社長は「ロードサイドのハイエナ」をキャッチフレーズにメディアで引っ張りだことなっていたが、一方では「なぜ週40時間以上の労働が残業になるのか」と労働基準法そのものに噛みつく思想の持ち主だった。

「死んでまえ」(大阪メトロ)

 昨年3月、大阪メトロの40代男性社員が、上司からのパワハラを受け社内で自殺。男性は上司から日常的に「死ね」などの人格を否定するような暴言を浴び、頭髪を丸刈りにするよう強要されるなどしていたという。

「年収100万円になるのも仕方ない」(柳井正・ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長)

 アパレル大手「ユニクロ」を経営するファーストリテイリング社のトップ、柳井正会長が2013年に語った言葉である。

 文脈としては、世界的な競争を勝ち抜くためには、賃金も海外の労働者と同じ水準にする必要がある、というものだが、最低賃金を下回る労働環境を「仕方ない」というのは、さすがに労働者の権利を無視した暴論でしかないだろう。

 事実、当時のユニクロは、3年間で半数近い新卒が辞めてしまうほど苛烈な職場で、執行役員で柳井氏の右腕と評されていた人物が、過去に社員に対してこんな言葉を口にしていたことも話題になった。

「いいかげんにせいよ、オマエ。おー、何考えてるんかこりゃあ。ぶち殺そうかオマエ。調子に乗るなよ、オマエ」

 ちなみにこの人物はその後も順調に出世を続け、現在はファーストリテイリングの常勤監査役となっている。

 その後、柳井会長はたびたび公の場で「当社はブラック企業ではない」と主張しているが、果たしてどれだけ改善されているのか。1年間ユニクロに社員として潜入したジャーナリスト・横田増生氏が2017年に発表したルポによれば、現場の「やりがい搾取」は変わっておらず、勤務環境の改善は道半ばということのようだ。

(清談社)

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