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《連続不倫訴訟》40代電通マンを“被害女性の会”が追い詰め、ついに初公判! X氏は直撃に「同時進行の恋愛の一環」

文春オンライン / 2021年4月17日 15時0分

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B子さんと写真におさまるX氏

《電通マンが“掛け持ち不倫”で同時多発訴訟》女性4人に囁いた「子供ができたら結婚しよう」の悲惨な末路 から続く

「夫が不倫していることも赤坂に別邸があることも、全て知っています。あなたたち以外の女性からも連絡を受けています」

 2018年9月に婚活アプリ「ゼクシィ縁結び」で知り合った電通社員の男性X氏と、結婚を前提に交際していたA子さん(42)。しかし2019年7月、横浜でのボランティア活動中に、同じ男性と同時進行で交際していたB子さん(42)と“奇跡的な出会い”を果たす。そこからX氏が語っていた名前、年齢、仕事、生い立ちなどすべてが嘘だったことが発覚し、妻子がいることを隠してA子さんやB子さんと交際していたことも明らかになった。

 そして2019年の12月、A子さんとB子さんは、X氏の妻に「夫の悪事を全て明かす」つもりで手紙を書いた。しかし、X氏の妻が自ら経営するピラティススタジオで発したのは、冒頭の「全て知っています」という言葉だった。

 現在、A子さんは別の被害女性と協力して、X氏を相手取り200万円の損害賠償を請求する民事訴訟を起こすに至っている。( #1 より続く。全2回の2回目)

「夫はずっとこんな感じなんです」

 X氏の行状を妻は知らないと思っていたA子さんとB子さんは、予想外の答えに驚きを隠せなかった。A子さんが当時のやりとりを振り返る。

A子さん「えっ……? Xが独身と偽って複数の女性と交際していることをご存じなんですか?」

「はい、実は今年(2019年)の夏にも被害を受けたという女性から連絡が来ているんです。『あなたの夫が婚活アプリで詐欺みたいなことしてますよ』って」

B子さん「知っているのに何もしないんですか?」

「夫はずっとこんな感じなんです。ダブル不倫している現場を見つけたこともあるし、女性関係は結婚する前からずっとめちゃくちゃ。事実を問い詰めたことも何度もあります。でも『お前の頭がおかしい』、『馬鹿じゃないのか』と、取り合ってもらえない。離婚をほのめかすと『こんな馬鹿な女に子供は渡せない。親権は俺が持つ』と。本当にごめんなさい。必ずXからあなた方に謝罪をさせますから」

 その言葉は2人にとって心から納得できるものではなかった。しかし、X氏の自分勝手な行動を何度も止めようとしたが叶わず、無力感に陥ってしまったという妻の言葉が嘘であるとも思えなかった。

「正直に言えば奥さんに会いに行く前は、夫婦の仲が悪くなって家庭が破綻すればいい、という悪意がなかったと言えば嘘になります。でも奥さんの話を聞いたら、Xは結婚した相手に対してもまったく誠意のない態度を取っていることがわかりました。それで徐々に、奥さんも被害者の1人なのではないかと思うようになりました。奥さんは『なんでも協力する』と言ってくれたので3人でLINEグループを作り、近況を報告しあうようになりました」(A子さん)

 A子さん曰く、ピラティスのスタジオを後にする頃には“同志”が3人に増えたような感覚だったという。3人は、X氏に謝罪させる場を作る計画を練り始めた。しかし同時期にX氏が名古屋へ転勤し、さらに新型コロナウイルスの流行によって一度はその計画は頓挫してしまった。

C子さんのケース「単身赴任先の名古屋で出会った」

 2019年秋にA子さん、B子さんと破局したX氏は、その年末から転勤先の名古屋で単身赴任生活をスタートさせていた。A子さんとB子さんがゼクシィに通報したことで「ゼクシィ縁結び」のアカウントをはく奪されていたX氏だったが、名古屋では「Pairs」という別の婚活アプリを用いて懲りずに女性を物色していた。そしてさらに名古屋で“犠牲者”が出ることになる。

 年が明けた2020年1月23日にPairsを通してX氏と出会い、2月20日から交際を開始したのがC子さん(39)だ。C子さんは東京と名古屋に拠点を持ち、医療関係の仕事を複数掛け持ちしているキャリアウーマンである。

「授かり婚だったら理想だね」

「初回のデートで、『もうすぐ40歳になるので子供が欲しい』という話をしたところ、『授かり婚だったら理想だね』、『子供ができなくても養子をとろう』と前向きに話してくれたのがXさんでした。その後数回のデートを重ね、『こういうのちゃんとしたい。付き合ってください』と言う彼の申し込みで、交際をスタートしました。

 Xさんは自分のことをブラジルクォーターと話していて、焼けた肌が健康的なやり手の経営者という風貌でした。『僕はブラジルの血が入っているから』が口癖で、付き合ってからは毎日のように愛を囁くんです。中学から大学院まで慶應に通ったと言い、紳士的でディスカッション好きなところも魅力的でした。いつも『放送局さんと打ち合わせ』といって深夜や早朝に頻繁に出かけて行くので、マスコミの仕事って大変なんだなあと思っていましたね。

 会うのはいつも名古屋の中心地にある彼のマンションです。彼が『C子の手料理が食べたい』と言うので、いつもタッパーにポテトサラダやカレーの作り置きを作っていました。夏には海鮮を買いに知多半島までドライブしたこともあります。『C子、俺の家に来た時はこれを着るんだぞ』と、お揃いのジェラートピケのガウンも用意してくれていて、とても楽しい毎日でした」

男性ファッション誌に彼らしき人物と妻子の写真が

 しかし早くから、C子さんが不安を感じる“事件”も起きていた。

「私は彼以外と関係を持っていないのに、性病に感染してしまったのです。『なんでだろうね』と話しながら彼と一緒に治療したのですが、数カ月してから彼から『もう一度抗生剤ちょうだい』と言われたんです。それで、他に女性がいることを悟りました」

 徐々に猜疑心を持つようになっていたC子さんは、ふとしたことをきっかけにX氏の素性を知ってしまう。

「付き合うようになって8カ月くらいたった2020年の10月頃、たまたま目にした水道料金の用紙に書かれた氏名が、名乗っている名前と違ったんです。『嘘をつかれていた』と確信してネットでその名前を検索したら、男性ファッション誌に彼らしき人物が妻子と一緒の写真が載っていました。奥様の名前も載っていたので、インスタグラムを探して奥さんに連絡を入れました」

D子さんのケース「僕も結婚したい人としか付き合わない」

 名古屋で不動産関係の仕事をしているD子さん(39)も、C子さんと全く同時期に「Pairs」でX氏と出会い、子供をつくることを前提に交際するようになっていた。

「1月27日にマッチングして、2月26日からお付き合いをスタートしました。ずっと子供が欲しいと思っていて焦りもあったので、『この歳だから結婚を考えられる人じゃないと付き合えない。子供は欲しいけど、年齢的に諦めることも考えてる』と伝えたら『僕も結婚したい人としか付き合わないし、子供ができなくても養子をとろう』と言ってくれたんです。焦りが安心に変わり、なんて紳士的な人なんだろうと思って交際を開始しました。

 交際はとても順調でした。いつも手料理を用意してくれていて、ポテトサラダやカレーを振る舞ってくれました。『放送局さんにもらったんだ』と、知多半島で採れた美味しそうな海鮮をたくさん使って海鮮丼を作ってくれたことも。そういえばその頃、アンジャッシュ渡部建さんの不倫が大々的に報道されていたのですが、Xはマスコミの仕事をしているから彼とも会ったことあるかなーと思い、何気なく話題を振りました。そうしたら『彼は番組沢山持ってるのにヤバいね。大丈夫かな』と心配していました」

5ちゃんねるに「騙された」という被害女性の書き込みが

 D子さんはどのような経緯でX氏の素性を知るに至ったのか。

「夏ごろに一度性病をうつされたことがあり、『私以外にも女性がいるのかもしれない』と思うようになりました。決定的だったのは2020年の年末に、仕事があるからクリスマスもお正月も一緒に過ごせない、と言われたこと。耐えられず彼の名前をネットで検索したら、『5ちゃんねる』に彼に騙されたという女性の書き込みを複数見つけました。そのスレッドをたどると雑誌に写真が載っていることがわかり、彼の本名も奥さんの名前も全部わかりました。すぐに奥さんのインスタグラムにDMを送りました」

 前述の通り、東京では2019年の末に、X氏に騙されたA子さんとB子さんがX氏の妻を訪ね、3人の“チーム”が結成されていた。X氏の名古屋への転勤とコロナ禍によって計画は頓挫していたが、そこへX氏が名古屋で交際したC子さんとD子さんから妻のもとへ立て続けに連絡が入ったことで、“復讐計画”は再び動き始めた。

「被害者の会」にC子さん、D子さんも合流

「奥さんが『新しい被害者見つかりました!』と教えてくれたんです。Xがそう簡単に改心するとは思っていませんでしたが、まだ性懲りもなく女遊びしているのかと衝撃を受けました。偽名も東京時代と変えていませんでした。すぐに名古屋のC子さんに連絡すると、全く同じ手口で女性を漁っていることがわかりました。

 しかも、A子が買って私も着ていたガウンまで東京から持って行って、他の女性に使い回していることも発覚しました。本当に気持ち悪い……。そしてLINEグループにC子さんも合流して、情報共有を始めました」(B子さん)

 新たな被害者が見つかるまでの間も、X氏の妻とA子さん、B子さんの3人の関係はずっと続いていた。とりわけB子さんとX氏の妻は頻繁に連絡を取り合い、悩みを相談し合うようになっていた。

「(X氏の妻について)夫が不倫している事実を知りながら離婚せず、行動も起こさなかったことに対して完全に納得はしていません。ただ『幼い娘から父親を奪いたくない』という奥さんの気持ちも理解できるんです。それに話を聞くとXは家に生活費を振り込んでいないようで、2人の小さな子供を育てながら仕事も忙しくしている彼女に同情した部分はあります。

 私やA子と奥さんは決定的に立場が違いますが、それでもXに罪を償わせたいという気持ちは一緒。お互いの立場を話し合ううちに、何でも話せる友人のようになっていきました」(B子さん)

「まさか奥さんも含めた『被害者の会』とは」

 C子さんが当時のことを振り返る。

「ほかに女性がいるかもとは思っていましたが、まさか本人の奥さんも含めてすでに“被害者の会”が出来ているとは思っていませんでした。正直に言えば、最初はこの人たちはどうしてこんなに協力的なんだろう、って不審に思いました……。被害者を装って、妻と結託して私からお金を取ろうとしているのかとさえ思いました。知らなかったとはいえ、私は既婚者の男性と交際していたわけですから。

 でもそうではなかったんです。彼女たちは純粋に『これ以上被害者を増やしたくない』という思いで情報収集をしていた。それで私のことも迎え入れてくれました」(C子さん)

 C子さんと同時期にX氏の妻に連絡したD子さんも、ほどなく“被害者の会”に加わった。

「驚きました。私はXの正体を知り、訴訟も視野に入れて動き始めていたところでした。ただ『名古屋の部屋を引き払う』と言われていたので、書類の送り先がわからず困っていたんです。でも掲示板を見て他にも被害者がいることを知って奥さんに連絡をしたら、まさか奥さん自身が協力してくれるとは思ってもいませんでした。

 A子ちゃんもB子ちゃんもC子ちゃんもみんなタイプはバラバラだけど優しい子ばかり。彼に騙されていたと知った時は食事も喉を通らないほど落ち込みましたが、彼女らと支え合うことで訴訟も進められると感じています」(D子さん)

「貞操権侵害」で訴訟を起こしたA子さん、C子さん

 現在D子さんは名古屋で訴訟の準備を始めている。そしてA子さんとC子さんは東京で、X氏を相手取り、貞操権侵害を理由にそれぞれ200万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしている。貞操権には性的な関係を結ぶ相手を選ぶ権利が含まれており、相手が既婚者であることを隠していた場合や、結婚する気がないのに結婚する気があるように振る舞って性的な関係を持った場合、その権利が侵害されることになる。C子さんはこう語る。

「彼に騙されていると知った2020年10月頃、すぐに弁護士に相談して民事裁判を起こそうと決めました。ちょうど同時期に“被害者の会”に参加したので、『誰か一緒に訴えを起こさないか』と話を持ち掛けたところ、A子ちゃんが『私もやる』と手を挙げてくれて。B子ちゃんもサポート役として雑務を担当してくれています。みんな仕事を抱えながら地道に証拠を集めて、2021年の2月5日に訴状を提出しました」

4月14日、東京地裁の初公判に被害女性が集結

 4月14日には、東京地裁で民事訴訟の初公判が開かれた。原告側の弁護士と裁判官が書類の確認をして5分ほどで閉廷となったが、傍聴席には名古屋在住のD子さん以外のA子さん、B子さん、C子さんが並んでいた。X氏は法廷に現れなかった。

 4人とX氏の妻は今も定期的に連絡を取り合っていて、直接会って食事をすることも、テレビ通話で長電話することもあるという。最初はX氏の悪口が主な話題で、X氏が妻に無断で代々木の自宅から高級鍋を勝手に持ち出して女性にプレゼントしたり、会話の端々にブラジル要素を入れ込んでくることなどが次々に発覚。C子さんの手料理をD子さんに振る舞ったり、A子さんが買ったガウンを名古屋まで持ってきていたこともわかった。

 さらには大阪や京都でも婚活アプリを使って女性と出会っていたことが判明し、A子さんらは新たな“被害女性”たちとも連絡を取り合っている。

 しかし最近はX氏以外の話題で盛り上がることも増え、“戦友”としての絆はいっそう固くなっているという。

「X 被害者の会」という5ちゃんねるのスレッドも、「被害を受ける女性がこれ以上増えないように」(B子さん)という願いを込めて、A子さんたちが作ったものだ。しかし時折、身に覚えのない投稿があるという。

「私たちは法的な問題も考えて、本名や住所などの個人情報は載せないことに決めています。でもたまにXの被害者だという人が、本名も住所も奥さんの名前も載せているのを見かけることがあるんです。要するに、私たちの他にも被害者がいるということですよね。いったい彼はどれだけの女性を傷つければ気が済むのでしょうか」(D子さん)

 取材を進めると、彼女らが口をそろえて語ることがあった。それは「本気で結婚したい、子供を産みたい」と思っていたことだ。

 B子さんが語る。

「A子もC子もD子も私も、経済的には1人で生活していけるだけの稼ぎはあります。ですが皆、40歳という節目を前にしたときにやっぱり子供を産みたい、人生のパートナーを得てこれからの人生を生きていきたいと思った。40代で出産する人は増えているけれど、体への負担やリスクはどうしても高くなる。この歳での妊娠出産は、少しの時間も無駄にできないんです。その焦りに付け込まれたのが情けないと同時に、怒りを感じます」

X氏本人を直撃。慌てる様子もなく「偽名の理由は……」

 4月15日、取材班は名古屋でX氏本人を直撃した。デニム地のロングコートに白セーターを着こなし、ヘッドホンで音楽を聴きながらスーツケースを引いていた。声をかけると、慌てる様子もなく立ち止まり取材に応じた。

――Xさんでしょうか。マッチングアプリでお会いされた女性たちの取材をしていまして、Xさんにもお話をお聞きしたいのですが。

X氏「はい」

――複数の女性と偽名を使って交際されていたのは事実ですか?

X氏「あえて偽名を使っていた理由はあります。真剣に交際相手を探すためでもあるし、妻帯者なので本名で交際していたら相手の女性が妻から訴えられる対象になる。そういうことも考えていました」

「素晴らしい方であれば結婚したいと思っていました」

――女性たちは「騙された」と感じているようです。

X氏「裁判でも訴えているように、家庭内別居状態で真剣に離婚を考えている中で、通常の恋愛の一環として付き合っていました。同時進行で付き合っていた人がいたことは否定しないですし、既婚者だったことが倫理的にどうかという話はあると思います。ただそれぞれの人と向き合って、素晴らしい方であれば結婚したいと思っていました」

――こうして訴訟になっていることについてはいかがですか?

X氏「謝罪の意思も伝えているのですが、それでは納得いかないということだったので、それならば公の場で話をする必要があるんじゃないかなと思っています。これはよくある話で、僕は情報商材を売ったわけでも金品を要求したりしたわけでもなく、家庭が不仲だった既婚者がマッチングサイトで複数の方とお付き合いしてそれがばれたので訴えられている、ということ。自分とはうまくいかなかったけれど、女性たちにはその情熱や金銭を別の出会いに使ってほしいと思っています」

 そこまで話すと、X氏はスーツケースを引いて歩き去った。

 次回の公判は5月に予定されている。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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