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《AV男優・沢木和也》「籍を入れるなら縁を切る」「女房の父親とはそれ以来一度も会えず終い…」妻と2人で歩んだ“波乱の27年間”

文春オンライン / 2021年7月15日 17時0分

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AV男優・沢木和也氏

 2020年4月11日。緊急事態宣言が発令され、新型コロナウイルスによるパニックが本格化していた時期に、とある男性がTwitterでステージ4の癌により、余命1年を宣告されたことをカミングアウトした。ツイートの主は沢木和也。1980年代から活躍しているベテランAV男優だ。

 それから今年5月にこの世を去るまで、彼は自分の人生の「終活」を続けた。病気のこと、性への目覚め、AV活動、逮捕…何も知らない息子のために、破天荒な人生をすべて綴ったのが、沢木氏の『 伝説のAV男優 沢木和也の「終活」 癌で良かった 』(彩図社)である。同書から一部抜粋して、沢木氏と妻の出会いを紹介する。(全2回の1回目/ #2 を読む)

◆◆◆

ドン底状態から復活したキッカケは女房へのナンパ

 シャバに戻って来た直後は(沢木氏は大麻所持で懲役1年執行猶予4年の判決が下されていた)、AV男優の仕事を休んで様子を見ていたこともあって、しょっちゅう街で女の子をナンパしていたな。

 ナンパって、慣れてくると自分と女の子の歩幅が合うか合わないかで、イケるかイケないか分かるんだ。そういう意味では、注意しておくべきは表情や身振り手振りではなくて足だと思うんだよ。

 ある有名なナンパ師なんかは、女の顔なんか見ないで、まずは歩いている人達の足元だけ見て回るのね。それで女物の靴を見付けたらパっと顔を上げて、あまりに好みじゃなかったら「ごめんなさい人違いです」なんて謝って次に行く。この女性の足元を気にするやり方が一番効率が良かったな。

 そんな調子で日々ナンパに勤しんでいたんだけど、ある時新宿のさくら通りを車で走ってたらいい女を見掛けてさ。さっき女の足元を見るとか言ったけど、その時はジャガーを見せびらかしながら物色してたんだ(笑)。

 そしたらさくら通りから靖国通りへ出る辺りで、オレンジ色の派手なコートを着た女性が目に入って、その子を見た瞬間に「これは!」と感じて、車を停めて声を掛けたの。

 当時の俺はAV男優仲間と深夜営業のスナックをやっていたから、ナンパには店の客を増やすための営業って側面もあったんだ。だからまず「今から飲みに来ない?」と店に誘ったんだけど「今はお金持ってない」なんて言うからさ、こっちも引き下がるのも嫌だから「じゃあ今日は金はいいから」と食い下がって、とりあえず店まで連れていったの。それが女房との出会い(笑)。

 それから「この子悪くないな」と感じて付き合いが始まったんだけど、当時の俺はAV系のメディアだけじゃなくて、女性誌にも出ることがあったから、女房はAV男優の沢木と最初から気付いてたみたいだね。「ナンパAVやってる男がジャガーで声を掛けて来た!」って。

「この子を落とせば毎日ベッドで寝られる!」

 さっきも言ったように、この頃の俺は家がないホームレスだったから、先々のことまで考えられる女性を探していたのかもね。そんな時に一人暮らし中だっていう女房が引っ掛かったもんだから、「この子を落とせば毎日ベッドで寝られる!」と必死に口説き落としたんだ(笑)。それで数週間後には女房が住んでいた家に転がり込めて、やっと人として恥ずかしくない雨風を凌げる生活が出来るようになった。

 その後は彼女と一緒に住みながら、AV男優として頑張って働いて生活を立て直して、俺名義の部屋に引っ越して、そこに数年くらい住んだのかな。そうやって暮らす内に「こいつしかいないな」と思うようになって、ごく自然に「結婚したいな」と考えるようになっていったんだ。

 女房と結婚した理由をよく聞かれるんだけど、本気で好きだったんだと思うよ。彼女を落としたい一心で、追い回したり、目の前で泣いてみたり、こういう終活なんて状況じゃなかったら絶対に他人に言えないような方法で、無理やりに結婚してもらったんだから(笑)。

 そのクセ俺もおかしくてさ、そうまでして女房と一緒になったのに、外ではお金をくれる女を探しては遊び回っていたんだ。男に尽くしたいタイプの女性を探し出しては、仲良く付き合って、何十万円もするスーツを買ってもらったりしていた。本当に我ながら酷すぎて、こういう話をするべきなのか悩むよ(笑)。

女房と2人で進む波乱の人生

 女房と結婚したってことはAV業界の人間には誰にも教えなかった。イマイチAV業界人を信用していなかったというのもあって、そんな大事なプライベートは打ち明けられなかったんだよ。

 これがベテラン業界人達が言う「沢木は付き合いが悪い」って評判に繋がるんだけど、誰にも内緒で家に女房がいる生活を続けていたから、ロクに事情も説明出来ずに帰るのが当たり前になっちゃったんだよね。

 それに女房との間にも一緒になるって時に色々あって、実は女房は親と縁を切ることになってしまったんだ。実家が東海地方の田舎の方で、土地柄なのか見栄っぱりが多いんだよね。そういう土地に住んでいる我々の親世代がさ、娘の旦那がAV男優だなんて言えるわけないってのも何となくは分かるよ。

「籍を入れるなら縁を切る」

 しかも俺もちょっと迂闊で、女房の両親に挨拶に行く時に、真っ黒なジャガーで乗り付けてしまって、その時点で「こいつカタギじゃねえ」と疑われちゃったんだ(笑)。それで心証が最初から良くなかったんだろうね。

 でも、決定的に揉めることになったキッカケは、彼女の姉の主人(義兄)の行動だったんだ。その土地の風習なのかもしれないけど、俺や女房っていう当事者に何も言わずに、女房の義兄が俺の両親を探し出して、勝手に会いにいっちゃったんだよ。興信所を使った身辺調査みたいなノリなんだ。おまけにノーアポで突撃した先が俺の親父の仕事場で、そこで「オタクの息子さんはどういう人間ですか」なんて言い出したそうで、そんな非常識な話はないじゃない。だから俺の親父が怒っちゃって「おめえらに言う筋合いはねえ」なんて言い返しちゃった(笑)。

 そんな両家が殺伐とした中で、俺は11月の彼女の誕生日に籍を入れようと思ってたんだけど、当日の朝に女房の父親から電話があってね。「籍を入れるなら縁を切る」って。

 結果、本当にそのまま縁を切ることになって、女房の父親とはそれ以来一度も会えず終いだった。向こうのお母さんいわく、孫が産まれたって時は会いたがっていたみたいだけど、それも叶わず亡くなっちゃったよ。

 ただ、お葬式の時に女房1人で息子を連れていったから、お母さんには孫を抱かせてやれたらしいけどね。息子がちょうど幼稚園の年長さんか、小学校に上がったばかりの頃だった。俺が知る限り、女房の実家の方の親類と会ったのはその1回だけだから、息子は全然記憶に残っていないみたいだけどね。

 元々、女房も若い時から家出したりして色々とあっちの家も感情的に複雑だったみたいなんだ。そんな背景がある上に、俺もあっちの父親も意地っ張りだからさ、こじれにこじれて誰も幸せじゃない話になってしまったんだろうね。

 これは後で話すけど、実は俺も姉と絶縁していて、やっぱり俺のAV男優っていう仕事が常について回って、結局そういうことになってしまうんだ。女房も自分で言ってるからね。「普通の仕事の人が良かった」って。

 ただ、彼女自身は仕事も含めて俺という人間をとても理解してくれているんだ。俺が自分が六法全書だと思ってて何も聞き入れないようなヤツだとか、家に帰って来なくて当たり前だとか、周りに常に女がいるとかね。そんなどうしようもない男なのに、ヤキモチも妬かずにうるさいことを言わずに耐え続けてくれてさ。よく俺を相手にここまで頑張ってくれたなと感謝してる。

 彼女は性格的に頭の切り替えが早くて、「自分は自分」っていうマイペースさや、自分の世界がしっかりある。あの人だから沢木の女房が務まったんだろうなって、俺達夫婦を知る人は口を揃えて言って来るよ。普通の女じゃ沢木の家族になるなんて無理だって(笑)。

練馬に3000万円の欠陥住宅を購入

 27歳の時に女房と結婚して、一大決心をして家族で住むための家を買ったんだ。俺の人生プランとして、24歳までに外車に乗って、いつかはクラウンに乗って、30歳までに家を買おうと考えていたんだけど、そのプランはクラウンがセルシオになったくらいで、全て実現できたんだよ。

 ところが、その実現を急ぎ過ぎて大失敗してしまったの。建て売りで買った新築の家だったのに、これが酷い欠陥住宅でさ。あらゆる部分が手抜き工事なの。

 練馬で3000万円。新築で風呂場なども色々とカスタムしてその金額なので、決して悪い金額ではなかったんだけど、世の中甘くなかったね。台風や地震が来る度に揺れが酷くて、強めの風が吹いただけでも酒を飲んで意識を無くさないと眠れないくらい怖かった。

 しかも、この練馬の家には10年間住んだんだけど、家相も最悪だったのか、住み始めてからというもの仕事面で良いことがひとつもなくて、大暗黒時代が始まってしまったんだ。まあ酷い10年だったよ。

「売れっ子AV男優・沢木和也」

 その家を手放す時に計算してみたら、毎月家賃を払うよりかは少しマシだったという数字だったんだけど、それと引き換えにしたものが多すぎて「次は絶対にマンションにしよう」と心に決めたね。あの家では子育てなんかしようとは思えなかっただろうな。

 俺の全盛期の頃の年収って2000万円くらいあったんだけど、確定申告だけは毎年キッチリやっていた。俺には外車と家を買うっていう目標があったから、その辺はマジメにやると決めていたんだよ。

 確定申告といえば、AV男優って独特な仕事だから、普通の人では通らないような物も経費で通るんだ。ようはタレント扱いだから「自分のタレントイメージを守るために必要だ」と言えば、大抵のものは経費として認められるの。

 洋服や靴もそれに入るし、服以外の宝石・アクセサリーなどの服飾品すら落ちる。雑誌なんかで、それを身に着けてニッコリ笑ってる写真でもあれば「仕事で使うものです」っていう証拠になるんだ(笑)。

 そういう意味では、高い外車も経費で落とそうと思えば落とせるよ。その車に乗っている「売れっ子AV男優・沢木和也」なんて写真が1枚でもあれば、それを理由に通せる。

 ただし注意点もあって、タレントイメージのために外車を経費で落としたら、それ以外の大衆車を持っていたとしても、そっちは通らない。タレントイメージを理由に経費に上げちゃうと、それ以外の普通は通る物が通らなくなる可能性があるから、そこは前もって何が得なのか勉強しないといけないね。

 あとこれはAV業界の笑い話なんだけど、この「経費で色々落とせる」という話がAV男優の間で広まった時に、欲をかいて必要以上に経費計上したヤツがいてさ。そいつは税務署に疑われて徹底的に調べ上げられて、結果的に尻の毛までむしり取られたよ。

 誰の話か実名を出そうと思えば出せるけど、かわいそうだから黙っておく(笑)。

 自分の場合はさっきも言った通り家が欲しかったから、決して無茶はしなかった。あんまり赤字申告し過ぎると住宅ローンが通らなくなるから、ほんのいくばくかの金のために危ない橋は渡りたくなかったんだ。

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《伝説のAV男優》「今まで父親のロクな思い出がなかっただろうから…」余命1年の沢木和也が何も知らない息子に残した別れの“言葉” へ続く

(沢木 和也,荒井 禎雄)

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