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5歳でギャルに目覚め、9歳でタイに…異国で1人ギャルを続けた女性が、電気電子工学科に入学したワケ「どうすれば盛れるかだけを考えて…」

文春オンライン / 2021年10月17日 11時0分

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左がきょうこさん、右がまおさん

 大学で電気電子工学を学んでいたまおさんと、元ポールダンサーのきょうこさんはギャルで電子工作を楽しむギャル電というユニットで活動している。

 そんなお2人にギャル電について詳しく話を聞いた。(全2回の1回目/ 後編 を読む)

◆◆◆

ギャルは発想が豊か

――ギャル電は、ギャルで電子工作をやるユニットということですが、お2人にとってギャルとはなんでしょうか?

きょうこ 私にとってギャルは、2000年代初めのギャルブームのギャルでした。ガングロメイクして、渋谷のセンター街の地べたに座って、溜まってるみたいな。ギャル=怖い人たちっていうイメージがなかなか抜けなくて。

――ギャルが怖いというのは見た目でしょうか?

きょうこ いえ、見た目よりも素行ですね。当時の渋谷とか絶対行きたくなかったです。素行が悪くて、自分たちの仲間以外は全部敵みたいな。田舎の花火大会のコンビニ前の光景がオールタイムなんですよね。その街で一番悪いやつらが、ずっと地べたに座ってるのでワイルドすぎる…。

――最初はギャルに苦手意識を持っていたんですね。

きょうこ そうです。私は、90年代のアメリカのサブカル映画とかに出てくる、クラスの端っこでめっちゃゴスなメイクしていて、ろくでもないギーク2人組みたいな青春を過ごしたので(笑)。ギャルみたいな考え方は、合わないと思っていました。でも大人になってから改めてギャルを見てみると、当時とはまた違う考えになって、ギャルの素敵な部分に目がいくようになったんです。

――素敵な部分とはどこでしょうか?

きょうこ 発想の豊かさです。だってめっちゃ漢字嫌いそうなギャルが、なんか面白そうという理由だけで、普通は使わないだろう漢字を自分たちのことばに取り入れて使ってるんですよ(笑)。例えば、パラパラに俄然をプラスして作った「俄然パラパラ」とか(笑)。あの時代のJKはみんなプリクラに俄然って書いていましたからね。俄然ってなに? とかは思わないんです。なんかかっこいいって理由だけでいいんです。そういう何かに囚われない考え方は素敵だなと思いました。

――俄然(笑)。たしかにそうですね。

きょうこ あとはルーズソックスが重すぎるから、アラビックヤマトで止めるとか(笑)。マッキーでアイラインとか、油性ペンでハイライトを描くとか。みんなが正しいと思っていることじゃなくて、とりあえず自分で確かめたことしか信じないんです。

まお 真似したくなりましたね。ちょっとやりましたけど、あれを考えるギャルはやっぱすごいなって思います。

ギャルから学んだ自己アイデンティティ

――まおさんはもともとギャルが好きだったのでしょうか?

まお 私は、2000年代の初期の時ってまだ小さかったんですよ。5歳とか6歳だったんですけど、テレビに出てるガングロギャルがめちゃめちゃかっこいいなと心惹かれてしまって。自分が好きなことをファッションでも態度でもスタイルでも表しているのが、めっちゃいいなって思ったんですよね。

――5、6歳って早いですよね。

まお そうですね。5歳くらいから、ギャルのバイブスに憧れを持っていましたね。私、肌が元々黒いんです。タイとのハーフなんですけど、人と違うところにずっと違和感があって。でもギャルの生き方だったり、メイク方法だったりを見ていると、だんだん自分の中の違和感が、アイデンティティになっていって。そういう自分を受け入れることができるようになったんです。

――まおさんはタイに住んでいた時期があったんですよね。

まお そうです。9歳からタイに住んでいました。日本からタイにギャルカルチャーを輸入して、タイでたった1人ギャルをやっていました(笑)。周りにギャルはいないのに、日本に帰るたびに大量の『egg』を毎月買って、読んでいましたね。今はネットカルチャーがすごく盛んになってきたので、タイにもギャルっぽい子はいるみたいですけど、当時はほんとにいなくて。孤独でしたけど、やりたいことをやってましたね。

――タイで周りの友達から何か言われたりしたんですか?

まお 「バービーギャル」って言われてました。「I’m a Barbie girl~」っていう曲がタイで流行ってたんですけど、タイの人から見たらギャルってバービー人形みたいらしくて。「お前バービーギャルじゃん」って言われてました(笑)。女の子たちからは「私にもちょっとメイクしてよ」とか、「私にもそのメイク教えて」と言われて、メイク遊びとかをしていましたね。そんな感じでギャルを極めていきました。

電子工作はギャルメイクと同じ感覚

――そしてお2人が出会ってギャル電を組んだということですね。

きょうこ そうですね、「ギャル電」と名乗ってやってます。

――ギャルと電子工作ってあまり結びつかないような気もするんですが、お2人が電子工作と出会われたきっかけはなんでしょうか?

まお 私は高校を卒業してタイから日本に戻って、大学で工学部の電気電子工学科に入りました。手に職をと思って。タイに住んでいたときに、日本の家電が多く売られているのを見て、高校生の頃からこの分野を学ぶのは良さそうだなと思っていたんです。

 大学の授業で電子工作と出会いました。ロボットを作ったりしている中で、配線とか、回路作りがすごく楽しいなと思い始めて。

 まさにギャルがメイクを研究するときの感覚と同じで、自分の思い通りに配線していって、それで作った電子工作をアクセサリーみたいにつけていくと盛れるんですよね。他に面白い作例はないかなって海外ブログを漁っていました。海外には光る電子工作を作ってる方々が結構いたんです。それを真似して作り始めたのが原点ですね。

 電子工作を始めたての時は、友達とクラブに行く前に、全身光らせようとかいって、夜7時頃から電子工作し始めたんですけど、全然できなくて、結局完成したのが朝の5時とかで(笑)。クラブ閉まってるじゃん、みたいな。でもそのくらい夢中になって作っていたんです。

きょうこ クラブのためにやったのに(笑)。

まお そう、最初は全然うまくなかったです。配線しても間違っちゃうし。ほんと手探り状態でした。イケてる光り方のプログラムをいちから組むのはめちゃくちゃ難しいので、ソースコードを探して、コピペしたり(笑)。とにかく毎日海外の電子工作のブログを読んでいました。

ポールダンスの衣装をキラキラにしたくて

――きょうこさんが電子工作に出会ったきっかけはなんでしょうか?

きょうこ ポールダンスを趣味でやっていた時期があったんです。結婚式の二次会とかに知り合いが呼んでくれて、ポールダンスを披露していました。最初は趣味だったんですけど、お小遣い程度のお金を稼ぐことができるようになって、そしたらだんだん衣装も凝るようになりました。

 ポールダンス自体はそこまでうまくなかったので、それなら見た目が派手な方が見てる人も盛り上がるんじゃないかと思って、ダンサーの衣装専門のサイトとかを見るようになったんですけど、その衣装がめちゃくちゃ高かったんです。そんな時にたまたま電子工作というのがあることを知って、これをマスターしたら自分でキラキラの派手な衣装が作れるじゃん! と思って電子工作を学び始めました。私も最初は独学でした。100均で買ってきた光るライトとかを分解して学んでいました。

――お互い別々に電子工作と出会っていたんですね。

きょうこ 私は最初、ダンサーの中で電子工作を流行らせたかったんです。ダンサーが自分で電飾を作れるようになったら最強じゃんって思っていました。でもダンサーはダンスの練習に忙しいので、誰も電子工作をやってくれなくて。そういうことじゃないんだなと思いました。

――それでダンサー以外で仲間を探し始めたと。

きょうこ そうです。電子工作やってる女の子が当時はぜんぜんいなかったです。そんな時にふと電子工作をするのに、メリットがある層ってギャルじゃないかって思いました。ギャルは派手なものが好きだし、新しいものを受け入れやすい、それに奇想天外なことを思いつく。電子工作との相性バッチリじゃんと思って、知り合いの人とかに飲み会で「今さ、電子工作するギャル探してるんだけどいないかな」って2年くらい言い続けました。

作るときの基準は「盛れる」かどうか

まお 私は、当時ブログに電子工作について書いてたんです。ギャルが大好きだったので、ギャルのファッションに合うような光るピアスとかを作って載せていました。

 そうしているうちに、知人から「なんかギャルで電子工作してる人とか探してる人いるよ」って言われて、会ったらすぐに意気投合して、ギャル電というユニットを組み始めました。

きょうこ でも集まってユニットを作ったはいいものの、何からすればいいのかよくわからなくて(笑)。とりあえず、まおがIT企業でインターンしていたので、その会社で情報交換するイベントを開催して、うちらギャルが電子工作し、それをプレゼンで発表するみたいなことをしていました(笑)。今考えるとむちゃくちゃだなと思うんですけど。

まお 周りの人も最初は「こいつら大丈夫か?」って目で見てくるんですよね(笑)。当たり前ですけど。こんな派手で奇抜な2人が電子工作について真剣にプレゼンしているので(笑)。でもどんどんやるにつれて、意外とみんな受け入れてくださって。それでいろいろ発信していこうと思って、ギャル電として活動をはじめました。

――電子工作をやっていて一番楽しい時は完成した時でしょうか?

きょうこ いや、盛れた時ですかね(笑)。そもそも電子工作をやる理由は盛るためなので(笑)。もちろん完成した時も嬉しいけど、それを身につけて、写真撮って盛れた時が一番ですね。体につけてバチッと決まったぜって時がたまらないです。誰かに褒められなくても、つけた瞬間に、うわっ思ってたよりもいけてる! ってバイブスが上がります。

まお そうですね。常に“盛れ”を気にしています。作るときの基準は盛れるかどうかです。そこがギャル×電子工作の醍醐味だと思いますね。

【後編を読む】 「緊急事態宣言で渋谷のライトが消えて…」“公序良俗”を掲げるギャル集団は、なぜはんだごてを片手に立ち上がったのか

写真=今井知佑/文藝春秋

「緊急事態宣言で渋谷のライトが消えて…」“公序良俗”を掲げるギャル集団は、なぜはんだごてを片手に立ち上がったのか へ続く

(「文春オンライン」編集部)

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