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毎年100人近くが死亡 ライフジャケット未着用の釣りが「危険すぎる」これだけの理由

文春オンライン / 2021年10月1日 6時0分

写真

釣り用のライフジャケット

「アユ釣り中に流され死亡」

「漁港で釣り中に転落か、男性死亡」

 夏休みや連休になると、釣り人の水難事故を伝えるニュースが報じられることが少なくない。

 近年アウトドアブームの流れで人気が高まっている釣り。手軽に自然と触れ合える一方で、一つ間違えれば命の危険に晒される可能性もある。

 平成27年~令和元年までの5年間のマリンレジャーにおける水難事故が4171人に対して、釣り中の事故は1321人と全体の約3割にあたる。この数字は遊泳中の事故(1465人)に次いで2位となっている。

 また釣り中における死亡・行方不明者は、同5年間で476人。毎年100人近くが亡くなっている計算になる。釣り場に立つ以上、誰しも危険な目にあう可能性がある。

ライフジャケット未着用だと、生存率は15%ほど下がる

 しかし、この数字を見て釣りをやめようとは思わないでほしい。

 どうすれば安全に釣りを行えるか、釣り人自身が正しく備えることが大事だ。今回は釣りを安全に行う一対策として、ライフジャケット(救命胴衣)着用の重要性とその正しい選択を紹介する。

 ライフジャケットは釣具屋で購入することが可能だが、お店に行くと意外と種類が多く値段も様々なので、どれを購入すればよいか迷ってしまう方も多いだろう。

 しかし、「選ぶのが面倒なので付けなくていいや」と未着用で落水してしまうと、着用時に比べて海中転落事故における生存率は15%ほど下がってしまう。

 ライフジャケットは大きく分けて2種類あるので、最悪の結果を少しでも避けるために、購入時の参考にしていただきたい。

(1)固定浮力式

 浮力材である発泡ウレタンが使用されたベストタイプのライフジャケット。

 蛍光オレンジ色のタイプが一般的だが、オカッパリの釣りで使われるものは収納ポケットがカスタムされており、ルアー、磯、堤防とそれぞれの釣りに合った選択肢があるのが特徴。

 多機能なものは2万円前後するが、浮くだけの機能を備えたシンプルなものは3000円ほどで買える。

メリット

・発泡ウレタンを使用しているので落水と同時に浮き上がる

・数千円ほどの価格がお手頃な商品までラインナップされている

・釣り具を収納できるポケットが付いた物も販売されている

・メンテナンスがほとんどいらない

デメリット

・夏場の気温が高い時は暑苦しい

・動き辛さを感じる

・自宅や車の収納時にかさばる

 以上から釣り中の快適さを損ねる場合もあるが、低予算でしっかり安全対策をするアイテムとして優れている。

 私も磯釣りやルアーゲーム用として大きなポケットが2つ付いたベストを持っている。

(2)膨張式(自動膨張タイプ)

 腰巻タイプと肩掛けタイプがあり、いずれも落水時にセンサーが反応して自動で膨張する仕組みのライフジャケット。

 腰巻タイプは膨張時、胴体に浮き輪を通したように膨らみ、そのまま脇の下まで浮上することで落水者の頭部を浮かせる。

 また肩掛けタイプも瞬時に膨張して、首にマフラーを巻いた形でしっかり頭部を浮かせる。

 メーカーによって膨張時間の差はあるが、膨らみきるまでにかかる時間は数秒といったところ。

 どれも固定浮力式よりコンパクトで着用時にストレスを感じ辛いのが特徴だ。

メリット

・着用時のストレスが少ない

・着衣のファッション性を損なわない

・コンパクトなので収納のスペースをとらない

デメリット

・膨張して浮き上がるまでに固定浮力式より少し時間がかかる

・値段がやや高い(1万円~2万円強)

・メンテナンスが必要(使用期限切れセンサーの交換など)

・車内放置や濡れたままの放置は厳禁(膨張の恐れあり)

 膨張式には、他にも「手動膨張タイプ」がある。こちらは値段が大幅に下がる一方で、落水時は自身で紐を引っ張って膨張させる必要があるので状況によってはリスクを背負うことになる。

 私の使い分けとしては、手すりがあり足場の良いポイントは膨張式、移動をともなうルアー釣りや波の高い釣り場、磯等は固定浮力式を選択する(※オカッパリ釣行に限る。船釣りには、また別途適切なライフジャケットが必要)。

着用していても意味がない! 間違った選択とは?

 大前提として万が一落水した場合、ライフジャケット未着用より危険なものはない。

 ただし、場合によっては着用していてもその効果をなさず、命の危険に晒される場合がある。

 それがどういった時に起こりえるのか、状況と合わせて紹介する。

(1)固定浮力式の場合

 こちらは堤防、磯場、高所など使用場所を限定せずどこでもその効果を発揮する。特に磯場で落水した際は、岩肌や貝による身体への外傷を軽減する効果もある。

 堤防でも岸壁には貝類が多く付着しているので、壁際で波に揉まれた際も上半身をカバーした固定浮力式が安全と言える。

(2)膨張式(自動膨張タイプ)の落とし穴

 こちらは固定浮力式と違い空気による膨張、つまり浮き輪的なものなので、磯場で落水した際は岩肌に擦れて穴が開いてしまう可能性がある。そうなるとライフジャケットを着用していてもまったく効果をなさない。

 前述したように堤防の岸壁でも貝類で破損する場合が考えられるが、特に磯場での膨張式の着用は控えよう。

 また手動膨張式は、高所から落水したり、堤防の基礎に身体を打ち付けて気を失った場合、自ら膨張させることすらできない。ネットで安価に購入できるアイテムだが、機能を理解して使用しないと取り返しがつかなくなる可能性がある。

落水現場に遭遇してしまった場合は…

 落水事故に遭遇した時の対応については、海と内陸とで連絡先が変わる。

 どちらにも共通して言えることは、自身で救助しようと飛び込むのは大変危険だということ。泳ぎに自信があっても、まずは落ち着いて下記の行動をとるようにしてほしい。

(1)まずは海上保安庁「118」に連絡(※内陸の川や池なら消防「119」へ)

(2)落水者に「仰向けで浮いて待つ」ように伝える

(3)自身のライフジャケットやペットボトルなど、浮力のあるものを落水者に向かって投げる

海中転落者のうち、ライフジャケット着用はわずか25%

 落水した際、人は真水かつ空気を吸った状態だと体の2%を浮かせることができる。

 もしも落水者が腕を上げて救助を求めている場合は、すぐに(2)を促し、顔を水面に上げて呼吸を確保させることが優先(※水面に浮かせられる2%を顔面に持ってくる)。

 ただし、これは最悪の状態であってライフジャケットを着用していれば容易に頭部を浮かせて、備え付けられた笛で救助を求めることができる。

 冬場で一刻を争う場合なら、なおさら体力を温存するためにもライフジャケットは必須だ。

海上保安庁 釣り中の事故発生状況
http://www6.kaiho.mlit.go.jp/info/marinesafety/00_totalsafety/07_fishing/01_pdf/02_accident.pdf

 海上保安庁の調べによると、過去5年間に釣りをしている最中に海中転落した人の累計は1016人だった。このうち、ライフジャケットを着用していたのはわずか25%。また、ライフジャケット着用者の生存率が68%だったのに対して、未着用者は54%と差が出ている。

自分は大丈夫と思わずに安全対策を

 というわけで、今回はライフジャケットの種類と使い分けを紹介しました。

 釣り場で何も起こらなければ平和に過ごせる釣りであるが、万が一の場合、ライフジャケット未着用がゆえに死に至るケースもある。

 レジャーに危険は付き物なので、自分は大丈夫と思わずに安全対策はしっかりと行って釣りをしましょう! 今回紹介した内容は動画でも詳しく紹介していますのでご覧ください。

 また、筆者の「 ぬこまた釣査団チャンネル 」では、さまざまな釣り動画をアップしています。興味のある方は、ぜひチャンネル登録をよろしくお願いします。

写真=fimo(株式会社カルモア)、ぬこまた釣査団(大西)

(ぬこまた釣査団(大西))

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