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《男性記者がメンズメイク初体験》BBクリームを塗って辿り着いた“本当の自分”「ほうれい線や肌荒れは“男の勲章”ではない」

文春オンライン / 2021年11月3日 17時0分

写真

メイクに初挑戦する記者 ©文藝春秋

「サウナや筋トレはOKだけど、日傘やスキンケアはNG」世に蔓延る“男性文化”の正体《普通の男(37)の“生きづらさ”を漫画化》 から続く

 この日、記者の肌は荒れに荒れていた。直近まで続いていた長期出張のビジネスホテル暮らしで、普段つけていた化粧水を忘れ、洗顔は水洗いかボディソープ、髭剃りは備え付けのT字カミソリ。帰宅直後は肌がバリバリと音をたてて割れそうな乾燥具合だった。加えて外食ばかりの不摂生で、口の周りにニキビが噴き出ていてマスクがこすれて痛いほど。

 そんな状態で赴いたのが、女性向け美容雑誌『VoCE』で連載中の糸井のぞ作画、鎌塚亮原案の「僕はメイクしてみることにした」への インタビュー取材 だ。インタビュー自体はライターの田幸和歌子さんの担当だったが、記者にはメンズメイクの指南を受けてくるようにという命令が下っていた。

 予め明記しておくと、記者はメイク経験が一切ない。スキンケアも風呂あがりの化粧水のみである。ほとんどメイクに関する知識がない状態で、今回のメイク指南を受けることになった。

 教師はメンズメイク実践中の鎌塚氏だけかと思いきや、VoCE編集部でこの連載を担当している大森氏も指導に加わり、2人がかりでの「丁寧なメイク指南」を施していただくことに。それは、想像以上に大きな“変化”を記者にもたらすことになった――。

◆◆◆

コットンを人差し指と中指で挟んで…

 まず、講師のお2人を紹介しよう。

 漫画「僕はメイクしてみることにした」の原案であるエッセイ「メンズメイク入門」の著者・鎌塚亮氏は昨年7月からメンズメイクを続けているとあって、肌が瑞々しくくすみも皺もない。スリムな体形で、今年37歳というのが信じられない。大森葉子氏は、美容雑誌「VoCE」の編集者であり、常に美容の最前線に触れている。鎌塚氏が投稿したnoteの記事に目をつけ、「メンズメイク入門」の企画をスタートさせた張本人だ。メンズメイク実践者に美容雑誌の編集者、メイク指南にこれ以上最適な講師はいないだろう。

 お2人は私の様子を見て、基礎の基礎から教えなければならないと悟ったようだ。スキンケアの基本、保湿から実践することになった。

 一番初めに使うのは化粧水の「オルビスユーローション」である。化粧水なら記者も毎日風呂上りにつけているので馴染みがある。しかし、今回は用意されたコットンにしみ込ませて丁寧に肌になじませていく。5cmほどの厚さがあるコットンに7~8回化粧水を振りかけて、人差し指と中指でコットンを挟んで優しくつけるよう意識した。ところが、大森氏から突っ込みが入る。

「その持ち方はNGです。人差し指は力が入りすぎるので、中指と薬指が肌にあたるようにコットンを持つのが正解。そして、化粧水の量も足りてないですね。今の倍はつけてください」

初っ端から躓いた記者を鎌塚氏がフォロー

 初っ端から躓いてしまった。思わず記者が萎縮しそうになっていると、すかさず鎌塚氏がフォローを入れてくれる。

「私も普段は、コットンは使わないですね。これはとろみがあるので手に出して直接つけても大丈夫だと思います。コットンが化粧水を吸うからもったいないっていう人もいるので、やり方は人それぞれですね」

 とはいえ、せっかくコットンがあるのでアドバイス通り化粧水を足して持ち方を変えてみる。すると、確かに力が入りすぎず優しくコットンが肌にあたる気がした。

 化粧水の後は美容液。今回使うのは「ラッシュ」の「艶肌 ドロップ」だ。肌を清潔に保つ効果があり、皮脂やニキビなどの気になる部分に効果的だという。ふたを開けると、さわやかなハーブの香りが漂ってきた。

「男性はすっきりした香りが好きだと思うので、こういったハーブ系はとっつきやすいと思います。ちなみにつける量はその人の好みでいいと思います。メイクもお酒と一緒で、好きな品、適量も人それぞれです」(鎌塚氏)

 記者は口周りのニキビが気になるので、そこに重点的につけていく。鎌塚氏の言う通り、つけたところからさわやかなにアロマが香って、爽快な気分になってくる。

記者の肌は「熟れた桃」 乳液の適量とは…

 次は乳液だ。記者は乳液を使ってニキビが酷くなった経験があり、普段は使わない。しかし、化粧水だけつけてもすぐに水分は飛んで行ってしまう。しっかり油分で表面を覆うことが重要だと漫画にも描いてあった。恐る恐る乳液を右手の指先につけて顔に点々とつけて手のひらで伸ばしていく。 

 すると、大森氏がVoCE編集者らしい、わかりやすいアドバイスをくれた。

「美容家や皮膚科医などは『熟れた桃を扱うように自分の肌を扱いなさい』とよく言っています。乳液をつけるときに肌が引っ張られるのは力が入りすぎ。今のつけ方だと傷んで真っ黒な桃になっちゃってますよ。あと、男性はもっちりとべたべたの違いが分からない人が多いと思うんです。皮膚科医曰く、目安は翌朝の肌の調子。朝起きてべたついていたり、乾燥していたら、量が足りない、つけすぎ、あるいはその乳液が肌に合っていないんです」

 これには鎌塚氏、糸井氏も「そうだったんだ」と感心。スキンケアに慣れている人でも乳液の加減は難しいようだ。

 保湿は直後よりも時間が経ってからの肌の調子が重要。記者も乳液をつけた直後は「水分過多のパン生地みたいにベタベタしてるな」と思っていたが、時間が経つにつれてベタベタした不快感はなくなってきた。

実は乾燥している目の周り アイクリームを塗ると…

 乳液が終わると、ここからは記者にとって未知の領域となる。

 次はこれ、と渡されたのは黒い円筒の容器に入ったアイクリーム「キールズ AGD エイジケア クリーム」。目元の保湿に使うものだそうだが、記者は自分の目元が乾燥しているという自覚はない。しかし、それは大きな間違いだという。

「瞼の下は頬あたりの皮膚に比べて皮膚の厚さが3分の1しかないそうです。だからこそ大事にしてあげないといけない」(大森氏)

 ここも薬指の出番だ。爪を延ばしている女性はスパチェラ(クリームをすくう小さなスプーン状のもの)を使うようだが、今回は直接薬指ですくって目元に乗せていく。初心者のおぼつかない挙動が興味をそそるのか、鎌塚氏が「人がスキンケアしてるの見るのって面白いですね」と目を輝かせている。

 記者が余ったクリームをどう処理すべきかと思案していると、「指先に残ったクリームを、シミやシワなど気になる部分に『明日消えますようにー』って塗るのはあるあるですよ」と糸井氏からアドバイスが飛んできた。

 思い返すと、実家の母も出しすぎたクリームを色んなところに塗っていたことがあった。記者はすがるような思いで、アイクリームを年齢にしては深く刻まれているほうれい線に塗り込んだ。

初めて知った肌の「テカリ」と「毛穴」の存在

 アイクリームをつけ終わるとようやくスキンケア編は完了。続いてメイクの下地作りだ。

 まず目の前に置かれたのは現代アートのようなおしゃれなデザインのチューブの「ボッチャン スキンパーフェクター」。パッケージのデザインに惹かれたのか、なぜか男性カメラマンが「ボッチャン、使い心地良いんですか?」と鎌塚氏に聞いている。

「すごく使いやすいですね。変なクセがなくて馴染みやすくさらさら。パッケージもおしゃれなので使っていて気分があがりますよ。これは肌のテカリを抑えて毛穴を目立ちにくくします。つけているのは基本的には額と鼻のTゾーンですね。その他は個々人で肌の性質が違うので、気になる部分につけます」(鎌塚氏)

 テカリが気になる部分と言われても、普段鏡をまじまじと見ない記者は自分の顔のどこがテカっているのか分からない。とりあえず額と鼻すじに塗ってみた。それだけでも、ぬった部分がさらさらして気分が良いのだから不思議だ。

ベースメイクで「10年前の健康」を取り戻した

 次は「NULL」の「BBクリーム オークル」。クマやシミなどを目立たなくするクリームらしいが、先ほどと同じくシミがあるかどうかも分からない。とりあえず薬指を使って目の下のクマに塗ってみるが、その後が続かない。ふと、これは皺も隠せるのではないかと思い立ち、唯一気になる部分であるほうれい線に塗ろうとした。すると、「あっ!」「うっ」などという声が漏れた。どうやら、記者はクリームをつける場所を間違ったようだ。

「深いシワはBBクリームだけでは逆に目立ってしまうこともあるので、ほうれい線につけることは少ないんですよ。僕も家ではこんな感じでした。妻に『あっ』『ちょっとつけすぎ』などと言われて、『あれ? 違った?』というやりとりを繰り返していましたね。でも、この短時間でレベル上がってきていますよ。クリームを塗る薬指のタッチが優しい。そして、遠目に見ても肌がトーンアップしているのが分かります」(鎌塚氏)

 試しに鏡をのぞいてみると、確かに目元のクマを隠しただけで鏡の中の自分は10年前の健康を取り戻したような表情をしている。クマを隠しただけで大きな変化を感じた記者だったが、次にコンシーラーを使うと、さらに驚く変化を見ることができた。

吹き出物が消えた…! 清潔感が劇的アップ(した気がする)

 用意されたのは「オルビス ミスタースポットシュート コンシーラー」。3種類あり、すべて色が違うようだ。自分の肌の色に合ったものを選ばなければいけないのだが、自分の肌がどんな色なのか意識したことがなかったので、ピンとこない。それぞれキャップを外して手の甲に当ててみるが、どれも違う気がするし、全部合っているような気もしてくる。

 何度もキャップをつけては外す記者を見た鎌塚氏は、自分も同じ経験をしたと語る。

「コンシーラーって本当に難しいですよね。自分の肌の色がどれなのか、なかなか分からないんですよ」

 うすうす感じてはいたが、ここへきて私は自分の肌について何も知らなかったのだと理解した。結局、直感で2番目に濃い色味を試すことにした。どうやらペンシル型は直接塗ってOKのようなので、数日前から口元にできた吹き出物を隠すように色をのせていく。

 すると、適当に選んだ色が見事に記者の肌と馴染んで、赤い吹き出物が消えていくのだ。長年ちょっとしたコンプレックスだった吹き出物が、こうも簡単に隠せてしまうとは。思わず「おお、すごい」と声を上げながらコンシーラーをのせて指で馴染ませていくと、口まわりの赤い点々がすっかり消えて無くなった。

「最後はパウダーを使ってメイクを上からフィックスさせます。パウダーというとコウメ太夫みたいな白塗りになってしまうかも、と思うかもしれませんが、これは色が発色しないので大丈夫。毛穴をぼかして清潔感が出るので男性でも使いやすいと思いますよ」

 と大森氏が太鼓判を押すのが「イニスフリー」の「ノーセバム ミネラルパウダー N」。ここまでくると要領がつかめてきて、パフを優しく肌に当てて顔全体にパウダーをつけていく。すると周りから「すごい、顔色がよくなってる!」「自然に仕上がってる!」と歓声があがった。気をよくして思わず、「これ良いですね」とつぶやくと、カメラマンが「自分も持っています」と言い出した。

「自分のことをもっと知りたい」と思うきっかけに

 なんと、この取材に同行した男性カメラマンも、メンズメイクの実践者だったのだ。しかも学生の頃からメイクの試行錯誤を続けているベテランだという。この場にいるメイク初心者が自分一人であることに気づき、途端に孤独感を覚えた。

 今回はパウダーでメイク終了。改めてメイク後の自分の顔を見ると、明らかに表情が明るく見える。初メイクの高揚感も相まってか、20歳前後の若かりし頃の自分が戻ってきたように感じた。

 変化があったのは顔だけではない。鏡の中の清潔感あふれる自分を見て、気分までさわやかになってくる。こんなに気軽に“若返り”ができるのなら、メイクを始めても良いかもしれない。そして、そのためにもっと自分の肌のことを知りたいと思ったメイク体験だった。

 これから肌荒れが気になる季節になってくる。「男がメイクするなんて」と思っている“大人の男”の皆さんもメイクを試してみたらいかがだろうか。それはきっと“自分のことをもっと知りたい”と思うきっかけになるはずだから。

【マンガ】彼女いない歴10年の前田一朗(38)が始めた「ハマるとやばい」“メンズメイク” 翌朝に起きた驚きの変化とは へ続く

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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