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「マスクの影響で、虫歯と歯周病が明らかに増えた」 コロナ禍こそ“歯医者に通うべき”3つの理由

文春オンライン / 2021年11月6日 6時0分

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©️iStock.com

 最近、口の中のケアは行き届いているだろうか?

 コロナ禍でマスク着用が当たり前になり、口元が見えない生活にすっかり慣れてしまったこの頃。口の中への意識が薄まっている人は要注意だ。

「マスクや長引く在宅生活の影響で、虫歯と歯周病が明らかに増えたと日々の診療で感じています。虫歯や歯周病を放置してしまうと、コロナウイルスの感染リスクが各段に高まるため気を付けてください」

 こう話すのは、桜堤あみの歯科の網野重人院長。口腔ケアとコロナ感染の危険な関係、さらにはマスクが及ぼす歯並びなどへの影響について、網野先生に解説してもらう。

マスク着用で唾液の分泌が減少

 まずは、マスク着用による虫歯リスクについて。マスク着用中は息苦しさのため、どうしても口呼吸をしがちだが、この口呼吸こそが虫歯を増やす原因になる。

「唾液には虫歯を予防する抗菌作用や、唾液を飲み込むことで食べかすや虫歯菌を洗い流す自浄作用があることはよく知られています。唾液は口をふさいで鼻呼吸することで分泌されるのですが、口呼吸により常に口が開いている状態だと、唾液の分泌が減少するため唾液の作用が働かなくなる。これが続くと口の中でばい菌が繁殖し、虫歯や歯周病になりやすい状態になってしまうのです」(網野歯科医師、以下同)

 さらにコロナ禍で人との会話が減っていることも、口にはマイナス要因。唾液は口周りの筋肉を使うことで分泌されるが、会話をしなくなると口の動きが減り、唾液が減ってしまうからだ。

歯磨きもサボりがちに

 こうした状況に加え、マスクをしていると「歯磨きしてなくてもバレない」という感覚が芽生え、人と会う前の歯磨きをサボりがちになる。

「その上、長引く在宅生活で食事時間が不規則になり、だらだらと食事やおやつを摂ってしまうなど、コロナによる新しい生活様式が、口の中に悪い形で影響を与えているのです」

 この話が怖いのは、コロナ禍においては虫歯や歯周病が増えるという単純な話で終わらないという点。

虫歯や歯周病とウイルス感染リスクの関係

 最近、歯周病とコロナ感染の相関関係を示唆する研究報告が次々と発表されているように、実際に虫歯や歯周病があると、コロナウイルスやインフルエンザウイルスに感染するリスクが格段に上がってしまうというのだ。

「虫歯や歯周病があると、ウイルスが身体に侵入しやすくなることは歯科医学界では昔から言われていることで、科学的にも証明されています。虫歯菌や歯周病菌が口にあると、その菌からタンパク質分解酵素などが産生され、喉の粘膜を覆う糖タンパクの膜を破壊し、喉の粘膜を露出させます。その荒れた喉や上気道の粘膜にコロナウイルスがくっつくと、ウイルスが吸着して増殖しやすくなる。つまり、虫歯菌や歯周病菌が増え口の中が不潔な状態だと、コロナに限らずインフルエンザなど、粘膜から身体に入り増殖するウイルス全般に罹りやすくなるのです」

 これは逆に言うと、口のケアをしっかりしていれば、コロナやインフルエンザに罹りにくくなるということか。

「理論的にはその通りです。数年前からすでに、インフルエンザ予防のためには歯磨きをしっかりして、口の中のばい菌を減らすことが大切、ということが医師や歯科医師からもアナウンスされ始めています。ウイルスの侵入を防ぐという観点からみても、口腔内を清潔に保つことがとても大事だということを、もっと広く知ってもらいたいですね」

唾液分泌を促す口腔ケア

 そこで網野先生に口腔内を清潔に保つため、日常で気軽に取り入れられる口腔ケアを聞いた。ポイントは殺菌効果のある唾液の分泌を促すことだ。

「まずは“あいうべ体操”です。1秒間ずつあ、い、う、べ、と声に出しながら口を動かしますが、最後の“べ”では舌をべーと出す。これを10回1セットとし、一日3セットするように心がけてください」

 また、顔周りに存在する唾液腺のマッサージも有効だという。

「親指で両耳の下前方側にある耳下腺、または顎の下にある顎下腺をやさしくマッサージしてください。舌の付け根側にある舌下腺を、親指1本で軽くマッサージするのもよいでしょう。3つの唾液腺のうち、どの位置でもっとも唾液が出るかは個人差がありますから、ぜひ自分で唾液がよく出るポイントを探り当ててください」

マスク着用により歯並びも悪化 

 実は、マスク着用によるリスクはまだある。中長期的な影響として挙げられるのが、「歯並びの悪化」と「誤嚥」だ。

 そもそも歯並びは口周りの筋肉や、舌の筋肉によって適度な圧がかけられることで、綺麗に保たれる仕組みになっている。

「普段、安静にしているときも唾液を飲み込むときも、舌は口の中の上顎のくぼみにくっついているものです。

 これにより舌が内側から外側に圧をかけ、上顎を広げ、歯並びを整えているのです。ところが、マスク着用に伴う口呼吸で口がずっと開きっぱなしになっていると、舌の力が弛緩して下顎のほうに落っこちてしまい、歯並びへの作用が働かなくなります。また、口を開けることで上唇や頬の筋肉も緩み、さらに歯への圧が低下する。こうした状態が長く続くと、次第に出っ歯になってしまうのです」

 特に幼少期からマスク着用が当たり前になっている子どもは、将来的に歯並びに影響することが心配されているという。

「お子さんには、家にいてマスクが取れるときは、口を閉じて鼻で呼吸するよう促してあげてください。また、お子さんと一緒に“あいうべ体操”をして、口周りの筋肉を動かすようにするとよいでしょう」

口周りの筋力の低下で誤嚥のリスクも

 さらに口周りの筋力の低下は、誤嚥のリスクも押し上げる。

「食べ物を口の奥に送り込んで呑み込むという一連の動作には唇、頬、舌のそれぞれの動きの絶妙なバランスで成り立っています。飲み込む力の衰えは老化によりある程度仕方ないことですが、そこにきて人との会話が減ると口周りの筋肉が低下し、このバランスが崩れ、誤嚥のリスクを助長してしまうのです。誤嚥が怖いのは、口の中のばい菌が誤って気管に入ることで、命に関わる誤嚥性肺炎を起こすこと。普段から口周りの筋力の維持と、口の中を清潔に保つことは命を守るうえでも大事なのです」

 これらを予防するためにも、あいうべ体操や唾液腺マッサージは日常で活用したい。高齢者であれば、口の中の乾燥によるむせを防ぐためにも、唾液腺マッサージを食事前ごとに行うのも効果的だという。

積極的な歯の定期検診を

 また、口の中は口内炎やヘルペス、舌や粘膜、歯茎の腫れなど、“疲れのサイン”が如実に表れる場所でもある。

「こうした異変は、睡眠不足や栄養の過度な不足で免疫力が低下している状態で、コロナやインフルエンザに罹りやすくなっている時でもあります。口のなかに異変を感じたら歯科を受診してもらって構いませんし、もちろん何もなくても日ごろから定期的に歯科健診に通っていただき、口の中の意識を高めてもらうことが全身の健康維持には欠かせません」

 コロナ禍で歯科への受診をためらう人も多いかもしれないが、虫歯や歯周病だけでなく、病気を予防するという点からも歯の定期検診には積極的に通いたい。

“歯科外来診療環境体制加算”を取得しているクリニックはより安心

 気になる歯科医院の感染対策についても、そもそも口腔内を扱う歯科界では、コロナ流行以前からB型・C型肝炎ウイルスなどの感染予防を徹底しており、一般の医療施設以上に厳格な感染対策を実施してきた歴史がある。

「全国の歯科医院で患者さんと医療者間のクラスターがほとんど発生していないことは、その証左でもあります」 

 それでもコロナで受診を躊躇うなら、“歯科外来診療環境体制加算”を取得しているクリニックかどうかを確認するのもよいという。

「偶発的な医療事故への対応や、より徹底した感染症対策を講じる歯科医院だけが取得できるものですから、その加算を取得している医院かどうかを問い合わせたうえで受診すると、より安心でしょう」

 この冬はマスクの内側にももっと意識を向けて、虫歯や歯周病予防、ひいてはコロナやインフルエンザへの備えをしておくと安心だ。

(内田 朋子)

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