「名前ではないテロップが入っている」と視聴者から指摘も…改名に悩んだアナウンサー(32)が明かす、子どもに付けた意外な名前
文春オンライン / 2024年6月15日 10時50分
![写真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/bunshun/bunshun_71201_0-small.jpg)
金井憧れさん
〈 「この名前で生まれなきゃよかった」「両親に改名を相談して…」アナウンサー・金井憧れ(32)が名前で葛藤した過去 〉から続く
フリーアナウンサーとして活躍し、今年第二子を出産されたばかりの金井憧れさん(32)。新聞記者の父が名付けた「憧れ」という珍しい名前から、思春期は改名を考えるほど悩んだ過去もあると語ります。
そんな金井さんに、名付けの背景から過去の葛藤、そして、自身のお子さんにも送り仮名のある名前を付けた思いなどを聞きました。(全2回の2回目/ 最初 から読む)
◆◆◆
送り仮名のある名前を持った人と苦労話を語り合いたい
――金井さんが驚いた珍しい名前の方はいますか。
金井憧れさん(以降、金井) 私以上の方は正直、お目にかかったことがないのですが、「輝」ちゃんという子はいましたね。
――漢字1文字で「かがやき」と読む?
金井 そうです。送り仮名なしの漢字1字だったので、「大丈夫、あなたはまだいいよ」と思いました(笑)。
――珍しい名前の人に会うとシンパシーを感じますか。
金井 それはありますね。でも、まだそんなに出会えていないので、「憧れ」のような送り仮名のある名前を持った人だけを集めて、「全国送り仮名さん大集合!」みたいな企画をやりたいとずっと言ってるんですけど、まだ実現できていません(笑)。
――実現できたら、「送り仮名さん」同士でどんなことを話し合いたいですか。
金井 珍しい名前あるあるとか、苦労話を語り合いたいです。絶対、めちゃくちゃ盛り上がると思います!
「名前ではないテロップが入っていますよ」視聴者から指摘も
――初対面の人とは必ず名前の話になるということですが、お相手の年代や性別によって反応に差があったりしますか。
金井 世代や性別の差を感じたことはないですね。アナウンサーという仕事柄、名刺交換すると「芸名ですか?」と聞かれることは多いです。
あと、新卒で入社したテレビ局の方に問い合わせがあったことも。
――テロップで「金井憧れ」と出たことについて、視聴者から問い合わせがあった?
金井 「名前ではないテロップが入っていますよ」と、親切な視聴者の方から連絡があったそうで、「実はあれで合っています」と答えてもらうという、変な仕事を増やしてしまったんですけど(笑)。
――ご自身の中でメディアに出ることで反応があるだろうと予想されていた?
金井 自分の中で麻痺しているというか、この名前でだいぶ強くしてもらったので、ショックとかいうことはなくて。ただただ、いつもお手数をおかけしております、とは思います。
あ、でもこの前、仕事の際に「金井憧れです」と挨拶したら、「ああ、それは大変だったね」と一言目に言われまして。その方は弁護士の方だったので、いろんなケースをご存知なのかな、と思ったりしました。キラキラネームを大人になってから改名した方の話も聞いたことがあったので。
「憧れ」はキラキラネームではない
――金井さんの世代は、キラキラネームが流行っていた世代ですか。
金井 私よりもうちょっと後だと思います。「憧れ」という名前が出始めた頃と言ったらあれですけど、「憧れ」が周りで噂になったときには、すでに世間でキラキラネームが広まっていたので、「あ、キラキラだ」と言われることもありました。でも、実際には、キラキラネームの方が後発といいますか(笑)。
父も、「『憧れ』はキラキラじゃない。そのために当て字ではなく送り仮名をつけたんだ」とよく言っていました。決して、キラキラネームが悪いわけではないのですが、私や親は「憧れ」がキラキラネームだという意識はありませんね。
――最近では古風な名前の「しわしわネーム」も話題に上がりますが、しわしわネームに憧れたことは?
金井 あります。「子」が付く名前ってかわいいなとずっと思っていて、自分にもし娘が生まれたら「◯◯子」だなと思っていたのに、結局、全然違う名前をつけました(笑)。
子どもにも送り仮名ありの名前を命名
――金井さんは今年2月に第二子をご出産されたばかりなんですよね。お子さんのお名前をお聞きしてもいいですか。
金井 1人目の女の子は「結な(ゆいな)」で、男の子は「繋ぐ」です。またか、という感じかもですが(笑)。
――送り仮名を踏襲されたんですね。
金井 女の子は「漢字+ひらがな」でいきたいなと思っていて、わりとすんなり決まりました。男の子は、「繋」の漢字1文字で「つなぐ」と読ませるのもいいかなと思ったのですが、夫が、「いや、そこは『ぐ』でしょ」と。
――パートナーの方の方が、送り仮名に強い思いがあったんですね。
金井 それには私もびっくりしました。たしかに、夫に初めて会ったときも、他の人とは私の名前に対する反応がちょっと違った感じがして。
――金井さんのお名前に好印象を持っていた?
金井 たぶんそうだと思います。「初めてこういう名前の人に会ったけど、本当にいい名前だね」と、深く感銘を受けているように感じました。
その後も特に深掘りはしませんでしたが、いざ自分たちの子どもの名前を付けるとなったとき、一番最初に、「送り仮名ありの名前で探そう」と言ってくれて。「え、いいの?」みたいな(笑)。
友人から名付けについてよく相談される
――送り仮名ありの名前がお孫さんに受け継がれたことについて、「憧れ」の名付け親であるお父さんの反応は?
金井 すごく喜んでいましたね。さらに第二子のときには相当驚いたようで、「より攻めたね」とLINEが来ました。「攻めたとかじゃなく、真剣に考えたんです」と返しましたけど(笑)。「繋ぐ」はそこまで変わった名前ではないと自分では思っているのですが、耐性がありすぎて私の感覚が麻痺してるのかもしれません(笑)。
産後の友人たちとのやりとりも、「赤ちゃんの写真は?」とか「男の子? 女の子?」じゃなく、まず、「名前は?」。“憧れ”から何が出てくるのか、やっぱりみんな気になるんだと思いました。
――金井さんのように珍しい名前を持つ方から悩み相談がくることもありますか。
金井 それはないですね。私の名前が振り切り過ぎていて相談しづらいのかな(笑)。ただ、今周りがベビーラッシュなので、名付けについて相談されることはよくあります。
「ちょっと変化球でいきたいんだけど、“憧れ”で生きてみてぶっちゃけどうよ?」みたいな感じで(笑)。
「お母さんの名前は『憧れ』なんだよ」と娘が紹介してくれ…
――お子さんは、憧れさんの名前を知っていますか。
金井 上の子もまだ3歳なので、送り仮名はもちろん分からないんですけど、テレビで「憧れのパリ」とか「みんなの憧れの~」のようなナレーションを聞く度に、「“憧れ”だって。お母さんだね」と言ってきて、「憧れ」という音すべてに反応してますね。
最近ではいろんな人に、「私のお母さんの名前は『憧れ』なんだよ」と言って回ってます(笑)。
――珍しい名前だからということではなく、ただお母さんの名前をみんなに紹介しているんですね。
金井 そうですね。この1年ぐらいで急激におはなしが上手になったのでみんなに紹介して回ってくれるのですが、この前、公園で初めて出会ったお友達のお母さんにも話したみたいで、「“憧れ”っていうのは何かな?」とその方が話していて、「あ、私の名前です」と返したら、「えっ、“憧れ”?」となりまして。子どもの成長とともに、また私の自己紹介もはじまっていくんだな、と思っています(笑)。
名付けてくれた親と話し合い、気持ちと考え方が変化
――自分の名前について娘の結なさんが向き合うのはもう少し先のことになるかと思いますが、現状では、どんな風に受け止めていそうですか。
金井 まだ分かってないと思いますけど、「結なはね」と、自分の名前を言ってくれるのはうれしいですね。
私は、自分の名前で悩みだしてからは、「憧れは」とは言えなかったし、自己紹介の順番が回ってくるのが恐怖で仕方なかった。なので、このまま自分の名前を好きでいてくれたらいいな、と思いながら見てます。
――最後に、自分の名前にしっくりきていない方々へメッセージはありますか。
金井 本当に嫌なら、名前を変えていいと思います。実際私も、中学生のときは本気で改名を考えて、その一歩手前のところまでいきました。
でも、その度に名付けてくれた親と話し合うことで気持ちが変わっていきましたし、社会に出てみたら「覚えてもらいやすい名前ってこんな得なんだ」と、考え方も変わって。結果、今では大切な子どもたちに自分と同じく送り仮名のある名前を付けるまでになりました。
改名もひとつの選択肢として手元においておきながら、いろんな世界を見て、沢山の人と話して、じっくり向き合ってみてほしいです。
写真=鈴木七絵/文藝春秋
(小泉 なつみ)
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