莫大な金がスッと入ってくる…沖縄ヤクザの元組長が明かした意外な“シノギの稼ぎ方”
文春オンライン / 2024年6月20日 17時0分
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〈 「やっぱり普通のヤクザと違っていました」関係者が明かす…山口組の沖縄侵攻を止めた“知られざるカリスマ”とは 〉から続く
暴力団が収入を得るために行う経済活動として知られる“シノギ”。その方法はさまざまだが、かつて、沖縄ヤクザの組長を務めた新垣玄龍氏は、莫大な金がスッと入ってくると本人が語るある方法をとっていた。意外な大口シノギの内容とは……。
新垣氏の著書『 任侠 愚狂に死す 闇社会から光の社会へ 』(さくら舎)を抜粋。裏社会の実情を紹介する。(全3回の2回目/ 続き を読む)
◆◆◆
報酬は賭け金の40%
カジノで大金を熔かして捕まった大王製紙の井川意高さんのことは、みなさんご存じでしょう。100億円以上の金を使っている。私はこの件には関係していないけれど、こういう太客(金払いのいい太っ腹な客)はシノギの対象になるのです。しかも莫大な金がスッと入ってくる。
カジノの客をアテンドして賭けさせるだけで、賭け金の40%が入ってくると言ったら、信じられますか。このシノギをジャンケット(仲介業者)といいます。向こうのマフィアとつながっているのですが、一種の代理店です。ヤクザ時代の私の大きなシノギが、こいつだったのです。
全国各地のキャバ嬢を下請けミニ代理店に
韓国には、セブンラックとか、ウォーカーヒルとか、有名なカジノがあります。こういった韓国系のカジノに私は強かった。韓国の友人ができて、その人間がカジノ業界に強かったのです。そこに、相撲取り、会社の会長、プロ野球選手など、金をたっぷり持っていて、カジノで遊びたいVIP連中を連れていくのです。
向こうで賭けて負けた額の40%ぐらいがこちらに入るわけだから、1000万円すったら400万円です。ただ、私が連れていくと怪しい。現役のヤクザですから、ひと目でわかる。
そこで、下請けのミニ代理店を考えました。私の代わりに、「社長、韓国行きたい。カジノ行きたい」とか言って、連れ出す役割です。それが各地のキャバクラの女の子たち。一人一人がミニ代理店となって、うまくいったら10%あげるのです。
カジノに一緒に行って遊びます。まあ、だいたい負ける。やればやるほど必ず負ける。1000万円使ったら、ジャンケットの私に400万円入ってくる。キャバ嬢には10%の約束ですから、100万円あげるのです。このキャバ嬢のミニ代理店を、北はすすきのから、東京は六本木、銀座と、全国津々浦々につくっていました。
ナンバー3、4のキャバ嬢と組むのがコツ
こういうことは、頭を絞って考えつくものではありません。もう流れで出てくる。ヤクザで太い金づるを持ってるから、あちこちに飲みに行きます。北海道から、福岡へ行ったり、大阪の北新地に行ったり。北新地では一晩で1000万円ぐらい使ったこともあります、人の金ですけど。
1回座ったら5万円の席とか、そういう夜の世界で飲んで、豪遊する話なんかをしてると、儲かる仕組みとか画なんかが浮かんでくるのです。
「ああ、この女の子たちは太客をいっぱい知っているだろうな、使えるなそれは」
なんて閃く。キャバ嬢にお金をあげるとほのめかして、「太客の社長とかを紹介してよ」みたいになっていくのです。
そういうところの女の子は頭がいいから、自分の本当のタニマチは紹介しないものです。だけど、この人だったらべつに連れていってガジっても(金を巻き上げても)いいかな、みたいな太客を持っている。ここが狙い目になります。
お店のナンバー1、ナンバー2の子は、乗ってきません。やっぱり金看板ですから、プライドがある。それで、ナンバー3、ナンバー4とか、中間ぐらいにいるキャバ嬢を狙って、ちょっと話を振ってみると、彼女たちの顔が輝いてくる。
韓国に行って、おいしいものを食べて、向こうがカジノで勝てば、「すごーい」とか言って、ヴィトンのバッグを買ってもらえる。負けたって10%入るわけですから、どっちに転んでもいい。彼女たちにしたら、すごくいい話でしょ。
ヤクザの上前を撥ねるうわ手
大王製紙の井川さんが遊んでいたマカオのカジノには、私の知り合いのジャンケットが入っていました。たぶん100億円ぐらい賭けていますから、40%入ってきたら大きいです。あれも同じ仕組みです。ある女優がいて、その女優に引っ掛けられたっていう噂がありますけど、そいつもジャンケットのうちの一つだったんじゃないか。
日本の芸能界の人たちには、ラスベガスで定期的に遊んでいる人がいます。あそこでやると合法になる。ラスベガスにもジャンケットはいます。だけど、ラスベガスにヤクザが入ってるというのはあんまり聞いたことがない。アメリカは、そういうのは厳しいのです。
沖縄では、私のほかにジャンケットをやってるヤクザはいなかった。韓国のカジノには稲川会はいました。稲川会の結構上の人たちには、韓国系の人が多いですから、稲川会はジャンケットを持っています。ジャンケットもいるけれど、稲川会は向こうで金を貸していた。
カジノで賭けて負ける。これが普通です。金がなかった場合は、そこで借りて払うわけだけれど、日本に帰ってきてから払うということは基本的にありません。だからあっちでは、こんなことが起こっていた。
上海人と接触するために何度も上海へ
女の子を連れていくから、格好つけて賭ける。本当にどんどん賭ける。最低1000万円です。100万円とかはいない。最低1000万円。それでやっていると、熱が上がってくる。もうカネがない。でもやめない。
カジノにはまるやつはギャンブル依存症ですから。日本に電話して金を送らせたり、金を持ってこさせたりする。ヤクザの金融から金を借りたくないけど、最後はそこになる。ヤクザはパスポートを預かって、それで金を貸す。トイチですから大きいです。
その頃、上海人は1日で1億円賭けていました。私は爪を伸ばして、こいつらに絶対接触しようと思って、何回も上海に旅行に行ったものです。マフィアですが、いろんな中国人とつながりができたんだけれど、上海人はプライドが高い。彼らは韓国では賭けないのです。韓国なんかで賭けるのはバカだといって、マカオで賭けていた。私は、残念ながらマカオの代理店はできなかったのです。
詐欺師が儲けた金を横取り
韓国のカジノを舞台にしたジャンケットでは、相当稼ぎました。月に4ケタの金が入ってくるときがありました。ジャンケットで儲けた大金を、日本にどう持ってくるか。それが大変です。
外貨規制で100万円以上の持ち込みは申告しないといけない。香港でマネロン(マネーロンダリング)しようと、現地の会社を買って、そこの口座に儲けた金を入れる。
ところが、今度はそこで詐欺に遭ったりするのです。相手は詐欺師だから、手はずができている。金が入金されたら口座の元の持ち主に連絡がくるようになっていて、すぐそいつらがネットバンキングで引き出す。ヤクザのシノギを撥ねるやつがいるとは、上には上がいるものです。
〈 腕を1本切り落として「3000万円」…沖縄ヤクザの元組長が振り返る“上納金”のヤバい準備方法 〉へ続く
(新垣 玄龍/Webオリジナル(外部転載))
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