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あいりん地区、新宿・職安通りに進出…ドン・キホーテ創業者が明かした「ちょっと怖いエリア」にも出店する理由

文春オンライン / 2024年6月26日 6時0分

あいりん地区、新宿・職安通りに進出…ドン・キホーテ創業者が明かした「ちょっと怖いエリア」にも出店する理由

©時事通信社

〈 売上2兆円、ドン・キホーテ創業者が「日本経済を決定的にダメにした」と断言する“A級戦犯”とは? 〉から続く

 34期連続で増収増益を成し遂げ、売上2兆円のドン・キホーテ。無一文から日本を代表する創業経営者へ――そんな大成功の裏には「運」の存在があった。

 ここでは、ドン・キホーテ創業者・安田隆夫氏の新刊『 運 』(文春新書)を一部抜粋して紹介する。安田氏が生涯をかけて学んだ、人生とビジネスにおける「勝利の法則」とは?(全2回の2回目/ 最初 から読む)

◆◆◆

 ところで、スポーツ選手や棋士など、勝負事を仕事にする人は、いわゆるゲン担ぎを大切にするようだ。経営者も同様である。誰もが知る大物経営者が、大事な会合でのシャツやネクタイの色にこだわり、宴席での食事メニューを気にかけるなどといった話もよく耳にする。「できるだけ運気を良くしよう」とか、「ここまでのいい流れを断ち切らないようにしなければ」などという思いが込められているのだろう。

ゲン担ぎはいっさいやらない

 私はそうしたゲン担ぎは、一切やらない主義である。姓名判断だとか、風水、四柱推命、手相などの類も、全く気にかけない。実際、これまでドン・キホーテのオープンは「仏滅」の日も多かったし、2017年に開業したシンガポールのアジア1号店(DON DON DONKI)は、いまだに超繁盛店だが、実は風水で最悪と言われた場所に店舗を構えている。

 ゲン担ぎのような簡単なことで運がよくなるのなら、誰も苦労はしないだろう。自分の気持ちを整えることはできるかもしれないが、要はそれだけのことだ。本当の意味での開運とは何の関係もないと私は思っている。

 また、迷信や縁起についても気にしない。そうしたものに必要以上にこだわって右往左往するのは、逆に運を下げる要因になるのではないか。科学的な裏付けがないものを断ち切る強さがいい運を呼ぶ、というのが私の体験的持論である。

“ちょっと怖いエリア”を厭わない

 例えば1997年、東京・新宿の職安通りにオープンした「ドン・キホーテ新宿店」がよい例である。職安通り一帯は今でこそ、我が国最大級のコリアン商業タウンとして栄えているが、当社が進出した当初は“ちょっと怖いエリア”で、当時の流通業界の常識からすれば、誰もが出店を尻込みするような街区だった。ドンキの社内でも「新宿店の出店はリスキー」だと根強い反対があった。

 ところが、深夜も煌々と灯りをともして営業する新宿店が核となり、周囲に他の飲食店や物販店が続々と集まってきた。ドンキが街おこしの起爆剤となったのである。そうして職安通り一帯は今や夜も賑わいの絶えない商業街区へと変貌し、新宿店も当社を代表するようなドル箱店舗に成長した。

あいりん地区にも出店

 他にも、2015年に開業した「MEGAドン・キホーテ新世界店」は、「あいりん地区」と呼ばれ、ガラの悪かった大阪・新今宮地区に店舗を構えたが、大人気店へと育っていった。ちなみに2022年4月には、同店隣接地に星野リゾートによるホテル「OMO7」が開業している。

 このように当社は、他社が進出に二の足を踏むようなエリアに低コストで出店し、大繁盛店に成長させるという成功体験を積み上げてきた。

「陰極まれば陽転す」という格言がある。何事も行き過ぎれば逆に転じるという意味であり、つまり、大凶続きは大吉に近づいているとも言えよう。こうした運の流れに対する感受性を磨いた方が、少なくともゲン担ぎなどよりはるかに有用だ。

(安田 隆夫)

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