1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 政治

「岸田さんは総裁選を乗り切れると思っている」起死回生狙う“オールスター内閣”のメンバーとは?

文春オンライン / 2024年6月23日 6時0分

「岸田さんは総裁選を乗り切れると思っている」起死回生狙う“オールスター内閣”のメンバーとは?

衆院予算委員会で答弁する岸田首相 ©時事通信社

支持率の低迷が続く岸田政権。しかし、岸田首相は政権の長期化を諦めていないという。では首相が考えている、秋の総裁選を勝ちぬくためのプランとは? 永田町の事情通“赤坂太郎”が迫る!

◆◆◆

岸田首相は「総裁選を乗り切れると思っている」

 政治不信の真っ暗闇に迷い込んだ岸田政権。今年9月の総裁選前の解散を模索し続けてきた総理大臣の岸田文雄だが、とても勝負に出られる情勢ではない。

「衆議院の解散は俺と総理で決めている。俺が解散はないと言っているんだから、ないんだ」

 自民党幹事長代理の木原誠二は、6月の電撃解散を心配する若手議員にこう言い放った。

 内閣支持率が概ね20%台で低迷する中、今解散すれば与党過半数割れの可能性も十分にある。党内でも、今解散すべきという声はまったく聞かれない。中堅議員は吐き捨てるように言う。

「岸田さんは森(喜朗)元総理に気を遣わないで、誰がなぜ裏金作りのスキームを始めたのか徹底的に調査すれば支持率も上がるのに。森さんへの電話事情聴取が単なるセレモニーだったと暴露されて黙っているようじゃあ、国民の信頼は得られないよ。解散なんてとんでもない」

 党内での岸田の信任は地に堕ちている。だが岸田は未だに長期政権を諦めていない。焦点は、解散を打たずに、9月の総裁選を勝ち抜く方策があるかどうか。総理周辺が語る。

「岸田さんは総裁選を乗り切れると思っている。旧統一教会問題も裏金問題も岸田さんが起こしたんじゃない。総理としてやるべきことはやっているという自負が根底にある」

 岸田の過去2回の総裁選で、いずれも選挙対策本部長をつとめた前総務会長の遠藤利明は、岸田に次のように伝えている。

「自民党が混乱するのは挙党体制が崩れた時だ。派閥も解消したんだし、国会が閉じたら岸田さんの思う挙党体制のオールスター内閣を作ったらいい」

 オールスター人事の要諦は、党のナンバー2である幹事長人事だ。現幹事長の茂木敏充と岸田との信頼関係は、とうの昔に崩れ去っている。茂木が党務の責任者のままでは、衆議院選挙の態勢が組めないばかりか、総裁選もどのように仕切られるか分からない。

 では一体誰に代えるのか。岸田周辺はこう打ち明ける。

「世論の人気が高い石破(茂元幹事長)を取り込んだらいい。そもそも岸田さんと石破さんは、仲が悪い訳じゃないんだ」

「石破幹事長」の狙いは二つ

 この人事には二つの狙いがある。一つは世論調査で「総理にふさわしい政治家ナンバー1」を独走する石破を、政権中枢に抜擢して支持率アップを図ること。もう一つは総裁選の最大のライバルの芽を摘むことだ。石破を幹事長に据えて総裁選出馬を阻止することは、岸田が勝ち抜くために必要な条件なのだ。

 ネックとなるのは、石破嫌いで知られる副総裁の麻生太郎が、この人事に納得するかどうか。しかし岸田側近議員は、「きちんと説得すれば、総理の人事に最後まで反対し続けることはないだろう」と楽観的な見通しを示す。

 あとは次期総裁の芽もある石破本人が、幹事長ポストを受諾するかどうかだ。ゴールデンウイーク明け、石破は元総務大臣の武田良太ら非主流派の議員数名と密かに会合を開いた。この中で参加者から、幹事長就任の要請があった場合の対応について質問が飛びだした。石破はしばらく押し黙った後、こう答えた。

「それは受けざるを得ないと思う」

 予期せぬ答えに一同が驚き、こう詰め寄ったという。

「幹事長を受けたら、あんたは終わりだぞ。俺たちの構想も狂う」

 会合の後、ある参加者はこう呟いた。

「石破は本当に政治のセンスがない。肝心なところで勝負できない」

 この数日後の5月14日、石破は小泉純一郎、山崎拓、亀井静香、武部勤というかつての自民党重鎮の会合に呼ばれた。目的は次期総理候補と目される石破と意見交換しておこうという趣旨に他ならない。その席で小泉はこう諭した。

「総理になるために必要なのは、義理と人情と運だ。俺も総裁選に2度敗れて、もう出たくなかった。ただ仲間から懇願されて、嫌だったけどしぶしぶ出たらブームが起こった」

 石破は黙って聞いていたが、「当面岸田内閣を支えることに徹する」と話すのみで、何の言質も与えなかった。会合の後、石破は周囲にこう語っている。

「みんな私が総理になりたいのだと誤解しているんだよ。それならもっと上手に立ち回っている。ただ、なりたくないって言ったら自己否定になるでしょ」

 とすれば石破は、やはり幹事長就任の要請を受けるのか。

「仮に幹事長の話が来た場合、受けるかどうかは決めかねている。このままでは自民党は、60も70も議席が減るでしょう。自分が幹事長になって救われる議員がいるなら、役割を果たしたい気持ちもある。ただ岸田さんが何を考えているのか問わないわけにはいかない。何で自分なのか。麻生さんや森さんの支配から脱却する覚悟があるのか」

 石破幹事長が実現するのか、総裁選で岸田vs石破の戦いとなるのか。その行方はまだ不透明だ。

煮え切らない小泉進次郎

 一方、岸田を降ろしたい非主流派にとって、石破が岸田に取り込まれれば、大きなカードを失うことになる。次善の策として名前が浮上しているのは、元環境相の小泉進次郎だ。非主流派の棟梁的存在である前総理の菅義偉は「進次郎はどうだ」と親しい議員に聞いて回っている。

 ただ当の進次郎は周囲に「今は子育ての時期だ」などと後ろ向きの姿勢を示し、今一つ煮え切らない。愛妻滝川クリステルとの間に第二子が誕生したのが昨年11月。今は夜の会合もできる限り断っている。

 もう一つの関門は、現段階での出馬に慎重な父親・純一郎の存在だ。純一郎は先の石破との会合でも「進次郎は50歳までは総裁選に出さない」と発言し話題となった。まだ43歳の進次郎は、「あんな発言を報道する価値があるのか。50歳とか俺はまったく気にしない」と周囲に語っている。しかし父親に従順な進次郎が反対を振り切って総裁選に出馬できるのか。懐疑的な見方も根強い。

 さらに「小石河」の一角、デジタル相の河野太郎も迷える候補の一人だ。今も淡々と総裁選に向けた準備は進めているものの、ネックとなるのは親分・麻生の判断だ。

 5月21日夜、2人は都内の料理屋で会食し、珍しく近くのバーへ二次会に出かけた。麻生は河野が党四役を経験していないことを未だに気に掛け、慎重な姿勢を崩していない。河野周辺はこう話す。

「いざという時は麻生派を離脱して総裁選に打って出ることも考えるが、麻生さんを敵に回すのならマイナスだ。また河野さんにとって麻生派は『自分の家』という感覚が強い。飛びだすのは簡単な決断じゃない」

 また、他の「小石河」の動きも気になるようだ。河野周辺は「石破さんと河野さんが両方立候補するのは考えにくい。支持者が被って食い合ってしまう」と語る。マイナンバーカードの問題を巡って世論の支持にも陰りが見える河野。出馬に向けたハードルは依然として高い。

本記事の全文「 石破不出馬という岸田の皮算用 」は、「文藝春秋」2024年7月号、および「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

(赤坂 太郎/文藝春秋 2024年7月号)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください