女性が浮気をしたら“呪い”で殺害…西アフリカの最貧国ベナンで国際結婚した日本人女性が明かす、子どもを残し失踪した第一夫人のその後
文春オンライン / 2024年6月23日 11時0分
![女性が浮気をしたら“呪い”で殺害…西アフリカの最貧国ベナンで国際結婚した日本人女性が明かす、子どもを残し失踪した第一夫人のその後](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/bunshun/bunshun_71433_0-small.jpg)
左から陽子さん、長男、次男、ボナさん
〈 一緒に帰国したベナン人夫が「日本は寂しい国だ」と…アフリカで第二夫人になった日本人女性が感じたカルチャーギャップとは? 〉から続く
西アフリカの最貧国とされ、NBA選手・八村塁氏の父の故郷としても知られるベナン共和国。そのベナンで、現地人男性の第二夫人となったのが、看護師のエケ陽子さんだ。
青年海外協力隊ではじめて訪れたベナンで現在の夫・ボナさんと出会い、日本で結婚・出産をした後、昨年、家族でベナンに移住。女性支援活動も行う陽子さんに、その暮らしぶりやカルチャーについて聞いた。(全3回の3回目/ 最初から読む )
◆◆◆
勝手に携帯を充電されて「エッ」
――ベナンで暮らしはじめて特に驚いたことはなんでしょう。
エケ陽子さん(以下、陽子) やっぱり一番は一夫多妻制ですが、小っちゃいことは毎日、メッチャいろいろありますね。
――最近だと、どんな驚きがありましたか。
陽子 少し前に家の前で魚屋をはじめたんですけど、いつも隣のお店にいろんな人がたむろして世間話をしてて。だから、うちの魚屋の前にも自然と人が集まってるんですけど、その流れでなのか、うちの魚屋の店奥で勝手に携帯を充電されていたときは、「エッ」となりました(笑)。
――知らない人が陽子さんのお店で勝手に携帯を充電していたんですね。陽子さんに発見されてどうなったのでしょう。
陽子 全然、悪びれないです。携帯の持ち主の知らない人が普通にパーッと入ってきて、充電が何%までできたか確認して、「これ、あなたの?」みたいに聞くと、「そうそう」と言って、また置いて出ていきました。
――まだ充電が足りなかったんですね。
陽子 フル充電したかったんだと思います(笑)。
「思い立ったらすぐ行動に移す」ベナン人あるある
――魚屋さんをはじめたということですが、どういった経緯で?
陽子 洗濯機はないんですけど、家に冷蔵庫があるんで、前からパック入りの水は売ってたんですね。で、大きい冷凍庫も購入したので、氷と魚も扱い出して。さまざまな外国から輸入された冷凍魚を仕入れて売っています。
はじめたきっかけは、完全にボナの思いつきで。ベナン人あるあるなんですけど、ベナン人は、思い立ったらすぐ行動に移すんです。
ボナは余計にそれが強い人やと思うんですけど、ボナは今、都市部で仕事を始めたりで全然いないので、私が魚屋さんをしている感じです。
――ボナさんの現在のお仕事は?
陽子 今は一応、私が立ち上げたベナン女性を支援するNGOの代表をやってもらってます。前はフォトグラファーをしていましたが、5月から仕事を始めました。お給料がようやく入るので、まずは自分たちの生活の安定を図りつつ、NGO活動を進めていこうとしている段階です。
ただ、NGOも初期費用をクラファンで支援してもらったんですけど、それも尽きてしまったし、貯金もほぼ使ってしまって、今はカツカツの生活ですね。
農村部ではいろんな面でいまだに男性優位
――陽子さんのように、ベナンでは子育ても仕事も家のことも女性がする?
陽子 小さい頃から、特に女の子は、「家のことをやれ」みたいな感じなんですよね。まだ子どもなのに、自分より小さい子の子守もするし、仕事も手伝うので、進学率は女の子の方が低いです。
あと、男の人たちは飲み屋とかレストランにメッチャおるんですけど、女の人はほとんど見かけなくて。やっぱり、「女は家を守っておけ」という慣習が根強くあるので、女の人だけで飲み食いしてたら白い目で見られるでしょうね。
――ママ友同士でランチなんてありえない?
陽子 絶対ないです。「あいつは家のこともしないでこんなところに来てる」と噂されちゃうと思います。
――恋愛でも、女性側に縛りがあったりする?
陽子 基本的に恋愛結婚ですけど、男の浮気は許されても、女の人が浮気をしたら大問題になって、それこそ、「グリグリ」(呪い)で殺されたみたいな話も聞いたことがあります。
いろんな面でいまだに男性優位なことが多いのが、農村部だと思います。
――村から出ていってしまう女性もいるのでは?
出稼ぎに行ったのか、失踪してしまった第一夫人
陽子 それこそ、ボナの第一夫人が去年の秋に失踪してしまって、いまだに誰も居場所がわからないんです。
――第一夫人とボナさんとの間には4人のお子さんがいるというお話でしたが。
陽子 15歳、13歳、8歳、4歳の4人いるんですけど、全員置いて蒸発してしまったんです。今はボナのお母さんが一緒に住んでいるからどうにかなってますけども。
さっきもお話ししたように、こっちの子どもは、特に一番上の子は小さいときから「お手伝いさん」みたいな感じで扱われることが多く、家のことは子どもであっても一通りできてしまうので、家が回らないという心配はないんですけど、メンタル面は心配です。
――第一夫人の方も、なにか抱えるものがあったのでしょうか。
陽子 「いつもボナがいない。甲斐性もない」とか、「お金がないから働きに行くわ」と言っていたらしいので、出稼ぎに行ったのかもしれませんが、誰も連絡が取れない状況で。
大きい都市に憧れて村を出て行く若い人もいますが、それも女性ではなく、男性が圧倒的に多いです。
国外に出る人はもっと稀で、本当にお金持ちの子がたまにいる程度で、それもやっぱり、男の子のケースしか聞いたことがないです。
いくら不利な状況でも女の人が村を出ないのは、「女は家を守るのが当たり前」という文化、教えのもとで育ってきてしまっていることが大きいのかもしれません。
女性支援を目的に立ち上げたNPO「SaluTota」
――ベナンの女性の仕事はどんなものでしょうか。
陽子 都市部であれば、企業や自治体などでも働いていますが、村の女性の場合、生活の足しにするためにちょこちょこと働くような感じですね。
村の女の人たちはメッチャたくましくて、自分たちで作った農作物や粉の調味料、古着といった売り物を全部頭にのせて、子どももおんぶしつつ売り歩いているんです。
でも、お金を稼ぎたい意欲があっても、資金がなくて挑戦できない人もいるので、なんとかしたいなと思って、NGOを立ち上げたんです。
――23年11月に立ち上げたNGO「SaluTota」は、女性支援を目的にされているんですよね。
陽子 ベナン人と働くことをイメージしたとき、女の人たちと働きたいと思って。女の人に稼いでもらう方が、ダイレクトに家族のため、子どものためにお金を使ってくれると思ったんです。
――一夫多妻制という部分も大きいですよね。
陽子 男の人だと、自分で使うお金もそうだし、妻が何人もいたら分配せなあかんくなる。それだったら、ダイレクトに女の人とその家族に届いた方がいいなと。
ちょっと小さな村に行くと、「1人で孫を何人も抱えて育てています。でも、仕事はありません」という女性や、「これが家です」と言われて見に行ったら、雨の日はザーザーに水が入るようなボロボロの家に子どもたちと住んでたりとかして。
そういう状況を目の当たりにすると、お金をあげるのではなく、その人たち自身が稼ぐ術を身につけることで、安定した暮らしができるような動きが必要なのではないかと思いました。今は、食用うさぎの飼育と、石けん作りを進めたいなと思っています。
日本の常識はベナンでの常識ではないし、その逆も然り
――ベナンでの陽子さんの息抜きはなんですか。
陽子 今の息抜き…何だろう……グチること?(笑)。でも、ここで誰かにグチっても、ベナン人はベナンの考えだから、私にはなかなか共感してもらえないじゃないですか。だから、日本の友だちに連絡して、「やっぱそうやんな」とかって、小さく息抜きをしてますね。
――ベナンに来てから物欲に変化は?
陽子 物欲はほぼないですね。メイクや洋服もほとんど興味がなくなりました。ベナンに来てから喜びの閾値はメッチャ低くなって、シンプルに生きてます。
あ、物欲というか、たまにコトヌーとかの大きい都市に行ったときに、ピザとかハンバーガーみたいなジャンクなものを食べるのが楽しみですね。チーズって結構、重要やなと思って。ここはチーズがないので。
――ベナンで一番驚いたこととして、一夫多妻制を挙げていました。今、その違いをどう受け止めていますか。
陽子 青年海外協力隊としてベナンに来ていたとき、「日本では、男の人がたくさん妻を持つことはできないよ。1人だけなんだよ」と子どもたちに話したら、どよめきがおきた上に「かわいそう」と言い出す子もいて。そのとき、小さいときから何を「普通」として生きてきたかによって「常識」は変わるんだと思い知りました。
日本の常識はベナンでの常識ではないし、その逆も然り。自分の考える常識は、他人にとっての常識とは限らないんだと強く思いますね。
◆◆◆
エケ陽子さんが立ち上げたNGO SaluTota(サリュトタ)
HP(NGO): https://www.salutota.jp
instagram(NGO): https://www.instagram.com/salutota.benin/
instagram: https://www.instagram.com/eyoko95/
Facebook(NGO): https://www.facebook.com/ngo.salutota/
(小泉 なつみ)
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