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〈「霞が関出身の自民候補」相次ぎ落選〉それでも参院選出馬が予想される審議官級官僚の実名

文春オンライン / 2024年7月8日 17時0分

〈「霞が関出身の自民候補」相次ぎ落選〉それでも参院選出馬が予想される審議官級官僚の実名

支援者らに陳謝する大村慎一氏 ©時事通信社

島根1区の衆院補選に続いて、静岡県知事選でも自民党候補者が落選した。いずれの候補者も元官僚の経歴だ。これまでどおりであれば、元官僚は選挙に強いとされてきた。選挙戦に異変が起きている。

◆◆◆

官僚たちの選挙戦

 また官僚が敗れた。衆院補選島根1区の錦織功政候補(平成5年、旧大蔵省入省)に続いて、静岡県知事選でも大村慎一候補(昭和62年、旧自治省)が落選したのだ。

 錦織氏は国民民主党の玉木雄一郎代表や自民党の木原誠二幹事長代理、小森卓郎衆院議員らと同期入省。ほぼ全員が東大卒だった当時の大蔵省では珍しい早稲田大学出身で、内閣府や在スペイン大使館、復興庁などにも出向。その後、出身地方の中国財務局長に就いたのは、出身議員を増やしたい財務省の「戦略的配置」だった。

 大村氏は2021年、当時の菅義偉首相が掲げた「コロナワクチン接種、1日100万回」の担当局長として目標達成に尽力し、高く評価された。

 旧自治省は中堅官僚らの政界進出を阻むため、原則、「出身地への出向」はさせない。だが、静岡高校卒の大村氏は40代半ばで、県の総務部長、副知事を3年務めた。当時の人事担当者による「機動的采配」とされている。静岡県知事選では接戦の末、前浜松市長の鈴木康友氏に敗れると、「全ては私の不徳の致すところ」と頭を下げた。

 次期衆院選で自民党から出馬する官僚は大幅に減りそうだが、様相が異なるのは来夏に控える参院選だ。審議官級の2人が自民党から出馬する。

 総務省を3月に退官した犬童(いんどう)周作氏(平成4年、旧郵政省)は、全特(全国郵便局長会)の組織内候補として比例区に擁立される。「“全特のドン”こと柘植芳文氏の後継に官僚が?」と驚きの声が上がったが、「犬童は徳茂の後任だ」(全特関係者)という。徳茂雅之氏(昭和61年、同)は日本郵便近畿支社長まで務めたものの官僚臭が抜けず不評で、参院議員を1期6年で退任させられた。郵便課長を経験し、朗らかな人柄の犬童氏に代わりを務めさせる狙いのようだ。

 他方、全建(全国建設業協会)の組織内候補として出馬する見通しなのが、5月に退官した国交省の見坂(けんざか)茂範近畿地方整備局長(平成5年、旧建設省)だ。全建の候補は道路やダム、堤防等の行政を握る旧建設省技官が占める。現職の佐藤信秋議員(昭和47年、同)と足立敏之議員(54年、同)は、いずれも技官トップの「技監」を務めた大物だ。

「業界に睨みが利かないのでは」

 見坂氏は、京大大学院で耐震工学を学び、主に道路畑を歩んだ後、技官人事を握る大臣官房技術調査課長も務めたが、50代半ばと若く、国交次官まで務めた佐藤氏の後継となったことで、「業界に睨みが利かないのでは」という指摘もある。だが、これは見当違いだ。自民党は参院比例候補に「70歳定年制」を設けており、「技監や次官になると、議員に転じても3期18年は務めきれない。50代の技官エースか準エースを擁立するほうが合理的だ」(国交省関係者)。

 自民党が揺れる中、かつてと比べて弱体化したとは言え、組織内候補への分厚い支援は心強い。

本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(霞が関コンフィデンシャル「 官僚たちの選挙戦、「改革派」の真価、処分を克服できるか、新御用掛の安定感 」)

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2024年7月号)

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