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「小池百合子さんはカイロ大学を卒業していません」衝撃的な同居人の手紙を受け取ったのは2018年2月だった

文春オンライン / 2024年7月3日 6時0分

「小池百合子さんはカイロ大学を卒業していません」衝撃的な同居人の手紙を受け取ったのは2018年2月だった

小池百合子都知事 ©時事通信社

なぜ日本では「荒唐無稽な噓」が通ってしまうのか。小池百合子都知事が、これだけの疑惑をもたれながら、なぜマスコミでは大々的に報じられないのか。4年前の都知事選でも、まったく同じ光景があった。ベストセラー『女帝・小池百合子』の著者が指摘する、大手メディアの罪とは?

◆◆◆

真実を知りすぎた同居女性

「小池百合子さんはカイロ大学を卒業していません」――。

 その衝撃的な手紙を私が受け取ったのは2018年2月のことだった(1月末に「文藝春秋」編集部に届いた)。

 送り主は私の知らない名前。だが、私もこの女性のことを長く探し続けていた。早川玲子さん(仮名)。小池百合子都知事と約2年間、カイロで同居していた女性である。

 小池はこの同居女性の存在を自著で一貫して伏せている。なぜか。それは早川さんが若き日の小池の真実を知り過ぎているからである。

 2016年7月31日に行われた都知事選で小池は自民党を敵として戦い、自民党推薦の増田寛也に大差をつけて圧勝した。

 選挙後も人気は高く、ワイドショーは連日、彼女を取り上げていた。こうした追い風を受けて、小池は地域政党「都民ファーストの会」を結党。翌2017年には都議選に同党から候補者を大量に立てて大勝する。さらに勢いを得た彼女は国政進出を狙い、国政政党「希望の党」を立ち上げると自ら代表になり、衆議院選に挑んだ。

 自民党はモリカケ問題で窮地にあり、新党代表として一時は総理の座も目前かと思われたが、選挙直前の記者会見で口にした「排除します」のひと言で失墜。大敗後は都知事の座に留まったものの、その後はオリンピックの準備が滞るなど失点が続いていた。ところがコロナ問題が起こると、一転。自己アピール力に長けた彼女は突然、派手な記者会見を連日行い、「ロックダウン」「東京アラート」とキャッチフレーズを披露し、さらにはCMにまで出演。「都知事選を意識した広報活動」との批判もあったが、大手メディアの好意的な報道を追い風に、再び時の人となる。2020年7月5日の都知事選で、彼女は再選されるだろうと誰もが予想している(この原稿は2020年6月30日に脱稿。その後、彼女は366万票を獲得し、再選を果たした)。

「自分語り」という武器

 私が「小池百合子」というテーマに初めて取り組んだのは、今から約4年前。「新潮45」編集部からの依頼だった。男性の編集者に、「女性初の都知事であり、女性から圧倒的に支持されている小池百合子という人間を、女性の執筆者に書いてもらいたい」

 と言われたことを憶えている。つまり都知事が男性であったなら、私に執筆依頼が来ることはなかった、ということだ。私は政治を専門とするわけではなく、女性評伝を手がけてきた物書きである。

「あまり知られていない幼少期に限り、父親との関係を中心に書いて欲しい」というのが編集部からの注文で、私はそれに応える形で「小池百合子研究 父の業を背負いて」という記事を書き、それは「新潮45」2017年1月号(発売日は2016年12月17日)に掲載された。

 その執筆時、私はいつもと同じように、まず最初に資料を集め、読み込んでいった。

 小池自身による自著も多く、インタビューや対談まで含めると、相当な嵩であった。総理経験者でも、ここまでの量にはならない。女性ということで、ものめずらしく興味本位に取り上げられた面もあるのだろうが、何よりも彼女自身がマスコミに出ることを好んできたことの証左であろう。別の言い方をするならば、彼女は常にメディアに露出し、メディアを利用し、メディアを通じて自己宣伝をすることを政治的な強みとしてきた人なのである。

 そして、それらの資料の中で彼女はいつも「自分」を語っている。政策の話も、常に自分の体験と結びつけられているのだ。生い立ち、父や母のこと、留学経験。こんなにも私生活や経歴を自ら語り、それを前面に押し出す人はめずらしいと感じた。

 地盤、看板、カバンの代わりに、2世、3世議員ではない彼女が政界を生き抜くために、武器としたもの、それがこうした彼女自身による「自分語り」なのである。だが、この「自分語り」は果たして一度でも検証されたことがあるのだろうか。メディアは彼女の言うがままを報じてきただけなのではないか、と思った。

 例えば彼女は繰り返し、自分が政治家になろうと思った原点はエジプトのカイロ大学に留学した経験に根ざすと語っている。

 エジプトに日本から政治家がやってくると通訳に駆り出された。そこで日本人の“油乞い外交”を目の当たりにし、こんなことではいけないと思い政治家を志した――。

 日本の商社がリビアの大臣と交渉をする際、通訳として同行。交渉が長引いたため、予定していた飛行機をキャンセルしたところ、その飛行機が領空侵犯で、イスラエル軍に撃墜されて九死に一生を得た。その時、国家にとって領土とは何かを肌身で知り、政治家として国防を第一に考えるようになった――。

 どれも極めて劇的な話である。しかし、20歳を過ぎたばかりの留学生に、こんな重大な仕事を外務省や商社が任すものだろうか。私は資料を読んでいて腑に落ちなかった。

本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています( 小池百合子に屈した新聞とテレビ )。

 

本稿にて仮名で証言している早川さんは、その後、実名である北原百代名義で 手記「カイロで共に暮らした友への手紙」 (2024年5月号)を寄稿。カイロでの日々をさらに詳細に語っている。「 文藝春秋 電子版 」でお読みいただけます。 https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h7888

〈 なぜ日本のメディアでは小池百合子都知事の「荒唐無稽な噓」がまかり通るか《カイロ大「1年目は落第」なのに首席卒業》 〉へ続く

(石井 妙子/文藝春秋 2020年8月号)

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