「子供の絵、受験の思い出、全部捨てました」やましたひでこが野宮真貴、松本孝美、渡辺満里奈に語る“断捨離”できない理由
文春オンライン / 2024年6月23日 11時10分
![「子供の絵、受験の思い出、全部捨てました」やましたひでこが野宮真貴、松本孝美、渡辺満里奈に語る“断捨離”できない理由](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/bunshun/bunshun_71463_0-small.jpg)
女史会の3人とやましたひでこさん
生きてきた年月分のモノが積み重なっている女史会の3人。最近は終活を見据えた「片づけ」が大きなテーマです。そこで「断捨離®」の提唱者であるやましたひでこさんに極意を教えてもらうことにしました。 『週刊文春WOMAN2024夏号』 より一部を抜粋して紹介します。
ひと部屋を片付けて、ほとんどのモノを捨てました
やました もう終活?
渡辺 いまからやらないとって。それで私、大掃除をしたんです。ちっちゃいお部屋を一つだけ。先生、ちょっと見ていただいていいですか、うちの部屋を(とスマホの写真を見せる)。
やました 自己開示ね。
渡辺 開示します(笑)。ちょうど16年前に家を建てて、3畳ほどの部屋を作ったんです。趣味の手芸をやりたくて。でも、びっくりするぐらいモノが溜まっていって、物置みたいになっちゃった。見てください、こんな状態だったんです。
やました ああ、モノが床置きになっちゃったんだ。
渡辺 そう。しかもモノというか「塊」(笑)。それをリビングに出して広げてみたらこんなにいっぱい。
やました 俯瞰してみたんだ。で、全部出したらこんなにあった。驚いたでしょ。
渡辺 はい。よくこんなに溜めたなと。そして片付けた結果がこれ(ガランとした部屋の写真)。ほとんどのモノを捨てました。
やました やりましたね。
渡辺 でも私1人では無理だったので、友人に手伝ってもらったんです。で、「それ誰かにあげたら」とか「メルカリで売った方が」とかを一切考えずにどんどん処分して。これは大切だろうなと思うもの以外を1日目に全部捨てたんです。
やました まず、誰かと一緒に片づけたのが素晴らしい。やっぱり1人でやるのはつらいもん。あまりに向き合いすぎちゃうから。
渡辺 そうなんです。で、思い出にまつわるものが最後に残ったんです。子供が小さいときに描いた絵とか、受験のときの思い出の品とか、ゼッケンとか。結局、それも全部捨てました。
野宮 すごい! 私、社会人になった息子の昔の作品、いまだに捨てられないよ。
渡辺 後悔するかもと思ったけど、中学生の娘も高校生の息子もいらないって言うし、私が執着してもね。いまはほんとにスッキリ。
やました 満里奈さんがまずなさったのは、最初に「塊」とおっしゃったけれど、その塊を分解したんだよね。分解の「分」は「分かる」という意味。そして「解」も「解る」という意味。いまの自分に必要なものと必要じゃないものを「わかる」っていうことをまずなさったわけ。
女史会 なるほど~。
判断した結果に自信がないから「収納」に走る
やました それでわかったからこそ、最後に「判断」することができて、ちゃんとお別れをした。その分解作業を一番にやるのが「断捨離」。ところがみんな分解せずに、なんとかして収めようとしてしまう。だから塊を作っちゃうだけなのね。つまり、家が片づかないのは「判断の保留」が一番大きいわけ。いるのかいらないのかを考えるってすごく面倒くさいことだから。
女史会 面倒くさ~い!
やました なぜかというと、判断した結果に自信がないから。「とっとけば安全、損はしない」。それでほとんどの人は「収納」に走ってしまう。しかも収納って言い訳がきく。「片づけました」って。でも判断を保留して隠してるだけ。
野宮 ギクッ(笑)。
松本 私、収納するのがすごい快感なんです。なんだかゲームみたいで(笑)。
やました 収納はテトリスだからね(笑)。
松本 でも、3日も経ったら何がどこに入ってるかわからなくなっちゃうの。
渡辺 木の実を隠しちゃったリスみたいに(笑)。
やました それはパッキング。隙間なく詰めて保存しただけ。例えばみなさん、出番がないのに楽屋でずっと待たされるってどう?
渡辺 イヤです。
「戦力外通告をしたくない。だけどそれだと生殺し」
やました 洋服も同じ。「今日も着てもらえないんだ私」ってぶら下がってるわけ。「あの側室3人ばっかり寵愛されて、今日も私にお渡りがない」って。
女史会 お渡り!
やました それでもずっとぶら下がっていたい?
渡辺 服としてのプライドはズタズタですね(笑)。
やました なのにみんな酷なことをする。丸めて畳んで圧縮袋に入れたりもして。
女史会 あはははは。
やました 想像してみて。自分がそうされたら。そういうつらいことをモノに対して強いていると、それがやがて自分に返ってくる。だから、「出番はちゃんとあるよ。それまで気持ちよく過ごしてね」って言ってあげられる状態にする。そのためには出番がないモノたちには思い切って戦力外通告。でも、みんなそれがつらいの。戦力外通告をしたくない。だけどそれだと生殺しなんだよね。
渡辺 うちも生殺しで10年ぐらい経ってる服がいっぱいあります(笑)。
野宮 うちも(笑)。
やました 生殺しか半殺しかミイラか腐乱か。
女史会 あはははは。
やました そして冷蔵庫には冷凍死体だよね。
渡辺 いる。化石が(笑)。
捨てるんじゃない、「出す」ことが大事
やました 余った食品はとりあえず凍らせておけば安心っていう。でも私たちはフレッシュなものが食べたいし、冷凍したものを解凍するのも面倒。で、また買ってきちゃう。すると冷凍死体が堆積していく。
渡辺 やだ、鶏のモモ肉もいっぱいある(笑)。
やました それをみんなやってるわけ。収納の名を借りて。断捨離は始末なんです。始末って「始まり」に「末」と書くけど、始末をつけたからこそ始まるよって言っているわけ。人間の体もそう。ちゃんと排泄したからこそ美味しく食べられる。捨てるんじゃないの、「出す」ことが大事。
松本 便秘してたら具合が悪くなっちゃいますよね。
やました まさしく。「流れ」が私たちの命の本質。流れを滞らせないことが健康の基本。家も同じ。断捨離をしないのは「トイレに行きたくない」って言ってるのと同義だから。
松本 私、インタビューで、健康の秘訣だとか若さの秘訣を聞かれると、「食べる、寝る、出すですかね」って答えることが多いんです。先生の本を読んでいたら、とにかく「出す出す出す」とあって(笑)。結局、体と一緒なんだなって。
やました 究極をいえば、「出す」「入れる」の繰り返しなんだよね、人生は。
●自分との関係性を見つめ直すという断捨離のプロセスや、息子や夫など家族のものの処分についてなど22歳で「断捨離」という考えに出会ったやましたさんが、義実家との関係を経て卒婚に至るまでなど、対談の全文は 『週刊文春WOMAN2024夏号』 でお読みいただけます。
文・辛島いづみ 写真・釜谷洋史 ヘアメイク・三上津香沙(渡辺)
やましたひでこ/「断捨離」提唱者。1954年東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。大学在学中にヨガの指導員となり、「断行・捨行・離行」の哲学に出会う。2000年ごろから石川県の自宅で、断捨離のセミナーを始め、2009年、55歳で出版した『新・片づけ術 断捨離』がベストセラーとなる。現在は鹿児島・指宿のリトリート、石川、東京の三拠点生活を送る。
のみやまき/1960年北海道生まれ。ピチカート・ファイヴのヴォーカリストとして90年代渋谷系ムーブメントを起こす。モバイル・ファンクラブ『おしゃれ御殿』好評募集中。
www.missmakinomiya.com
インスタグラムアカウント @missmakinomiya
まつもとたかみ/1965年大阪府生まれ。80年代後半、ソニーなどの名CMでCM女王と呼ばれる。本人がプロデュースした更年期世代の女性に嬉しいアイデア満載の『大人の女史会』×「natiaral」のコラボアパレルが発売中。
インスタグラムアカウント @t_mimi1414
わたなべまりな/1970年東京都生まれ。86年、おニャン子クラブでデビュー。翌年の解散後も歌手、タレントとして活躍。2000年代には台湾旅、ピラティスのブームの火付け役にも。
インスタグラムアカウント @funnyfacefunny
『大人の女史会』に参加しませんか?
野宮さん、松本さん、渡辺さんの週刊文春WOMAN連載『大人の女史会』で話してほしいテーマ、お悩みを woman@bunshun.co.jp (件名を「大人の女史会」に)もしくは 〒102-8008 東京都千代田区紀尾井町3-23「週刊文春WOMAN」編集部「大人の女史会」係までお寄せください。匿名でも構いませんが、「年齢・性別・職業」をお書き添えください。
(辛島 いづみ/週刊文春WOMAN 2024年夏号)
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