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「もはやホラー」人の恋路を邪魔する系女子大生が放った、さりげなくも最凶の一言とは

文春オンライン / 2024年6月21日 17時0分

「もはやホラー」人の恋路を邪魔する系女子大生が放った、さりげなくも最凶の一言とは

 相手に悪意を悟られることなく、恋人たちの仲を引き裂こうとする。幸せいっぱいの主人公のもとにライバルが登場するのは、恋愛マンガの定石ともいえる展開だが、無意識によくない方向に導こうとする“ライバル”の登場には、そのじめっとした怖さにじんわりと汗をかく思いがした。

▼▼▼

 本作の主人公・穂乃香は、ぽっちゃりとした体型がコンプレックス。さらに、大学デビューした友人への気後れも相まって、常日頃から自虐で笑いを取るなど、どこか息苦しいキャンパスライフを送っていた。そんな彼女にとって、唯一の心の拠り所でである「古墳研究会」。そこで出会った部員との交流やサークル活動を通して、彼女は少しずつ自尊心と自己愛を育んでいく。

 大学2年生となった今では、本心を出せずにいた友人たちとも良好な関係性となり、さらには同じ「古墳研究会」に所属する可児江先輩と晴れて恋人どうしに。初めての交際にそわそわしながらも、互いのあたたかで真っ直ぐな愛を感じ、充実した毎日を送る穂乃香。この日々がいつまでも続くかと思いきや、「古墳研究会」に新メンバーが加入したことで暗雲が立ち込める。

 そのキーパーソンとなる人物が、松っつんこと松井さんだ。穂乃香とは大学の同級生である彼女だが、穂乃香と可児江先輩が買い物をしているところに遭遇し、2人が交際していると知った日から何かと接触してくるようになる。さらには「世界を広げたい」と言う理由で、「古墳研究会」に入部する。

 正直、華やかなタイプでも、目に見えて意地悪そうな雰囲気でもなく、松っつんは穂乃香と同じ大人しめなタイプである。穂乃香は、松っつんと自分は気が合うに違いないと信じてやまないけれど、次第に彼女から発せられる言葉によって、可児江先輩との交際について少しずつ思い悩んでいく。

直接的な言葉ではなく、 じわじわと相手にダメージを…

 直接的な言葉を使わずに、相手にじわじわとダメージを喰らわせる松っつん。その姿は、恋愛マンガのライバルキャラあるあるの意地悪なんて生半可なものではなく、もはやホラー。その最たるシーンが、「古墳研究会」の新メンバー歓迎の一環で訪れた今城塚古墳での出来事だ。

 穂乃香と一緒に墳丘を登りながら松っつんは、しきりに可児江先輩との交際について探りを入れてくる。そして、発掘調査によって今城塚古墳こそが継体天皇陵だと言われるようになった「真の陵墓」になぞらえ、2人の関係についてこういうのだ。

「間違えてましたーってならんかったらええなぁ」

 あれ? 私の思い違いかな? と感じるくらいの短い言葉。そして、これまで穂乃香の心の拠り所であり、可児江先輩との恋を育むきっかけであった古墳の存在を、こんなにも彼女の心に影を落とすものに変えてしまう一言である。

 ここ最近は読んでいると心が満たされるような、幸せいっぱいの『 やまとは恋のまほろば 』だったが、そんな本作の新境地ともいうべきか、イラつきどころか怖すぎる松っつんから目が離せない。

 そして、穂乃香がかつて本心を出せずにいた友人と今では良好な関係を築いているように、たとえ第一印象が悪くても、決して悪者では終わらせない。それが『 やまとは恋のまほろば 』という作品の優しさであり魅力だ。今はホラーでしかないけれど、松っつんという人間が好きになる瞬間が私たちにもきっと来るはず。その瞬間をぞわぞわしながら待っている。

(ちゃんめい/文春コミック)

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