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「うちの先生は元国会議員ですから」の殺し文句で5億円荒稼ぎ 元自民党国会議員(48)も逮捕された“巨大詐欺事件”の真相

文春オンライン / 2024年6月24日 11時0分

「うちの先生は元国会議員ですから」の殺し文句で5億円荒稼ぎ 元自民党国会議員(48)も逮捕された“巨大詐欺事件”の真相

今野智博容疑者(「今野法律事務所」HPより)

 ここまで急に落ちぶれる元国会議員も珍しい。投資詐欺などの被害金を回収するため、弁護士の名義を無資格の他人に貸して法律事務をさせたとして、警視庁捜査二課が弁護士法違反(非弁提携)容疑で元衆院議員で弁護士の今野智博容疑者(48)を逮捕したと発表したのは6月13日のこと。

「捜査二課はほかに29〜51歳の男女10人も今野容疑者の名義を使って被害金回収の法律事務をしたとして逮捕。23都府県にいる900人前後の詐欺被害者から被害回復の着手金として計約5億円を受け取ったとされますが、回収が成功したケースはほとんどないとみられます」(警視庁担当記者)

「政治家になるために弁護士になった」と公言

 今野は「政治家になるために弁護士になった」と公言。司法試験合格後、約7年の弁護士生活を経て2012年に自民党から出馬。郵政民営化に反対して無所属で出馬した現法相の小泉龍司氏の対抗馬となったが、その年も含めて選挙区では3回連続で敗退。2回目までは比例復活したものの、3回目の17年は無所属で戦って敗れ、引退した。

「弁護士出身の経歴から法務委員会などに所属したが、ほとんど実績も上げずに引退した印象です。所属は裏金事件の震源地となった清和会(現安倍派)でしたが、早々に引退していたために、裏金事件の調査にも引っかからずに終わりました」(全国紙政治部記者)

殺し文句「うちの先生は元国会議員ですから」で荒稼ぎ

 そんな冴えない政治家人生だったが、最近は地元でも白眼視されるほどの荒稼ぎをしていたという。

「今野の事務所に詐欺被害回復を相談しても全く連絡が取れないとの相談が埼玉弁護士会に殺到。警視庁の調べでは、着手金の金額の決定も電話対応もすべて名義を貸していたグループに丸投げしただけで、着手金の1割を得ていたようです」(前出・警視庁担当記者)

 有象無象が跋扈する弁護士業界で、「うちの先生は元国会議員ですから」という、グループの殺し文句は絶妙だったようだ。

「被害金回収の作業をした形跡がまったくない。グループのアジトからは電話のマニュアルも押収されており、被害金の回収という名目がはなから詐欺だった疑いも濃厚だ」(捜査関係者)

 マニュアルには提案する着手金について「決めたい金額の2倍程度を提示できるかが決め手」「大きく振ってドカッと下げれば大体決まる」といった趣旨の説明が書かれていたという。

「マニュアルにも、今野容疑者はほぼ関与していなかったとみている。要は犯罪集団の神輿に担がれたということだろう」(同前)

 国会議員から弁護士。どちらも先生という肩書きにあぐらをかいたあげくの転落だったとしたら救いようがない。「神輿は軽くてパーがいい」とはよく言ったものである。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年6月27日号)

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