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「はじまりは1杯の紅茶だった」4万通のメール、350時間もの留守電に悩まされ…中年女性ストーカーとの“歪んだ関係”

文春オンライン / 2024年6月24日 6時0分

「はじまりは1杯の紅茶だった」4万通のメール、350時間もの留守電に悩まされ…中年女性ストーカーとの“歪んだ関係”

 壮絶なストーカー被害に遭った男性が自らの実体験をドラマ化した『私のトナカイちゃん』(ネットフリックスで配信中)が話題を呼んでいる。主演・脚本・製作総指揮の三役を務めるのは被害に遭った当事者、英国の俳優、コメディアンのリチャード・ガッドだ。

「僕の20代前半のイカれた体験に基づく」

 と本人が語るようにある日を境に長期間、執拗なつきまといを受け、4万通のメール、350時間もの留守番電話に悩まされた。その体験を独り芝居にすると忽ち評判を呼び、ネットフリックスからドラマ化を依頼された。

 始まりは一杯の紅茶だった。バーテンとして働く主人公の前にある日、1人の客が現れる。ずんぐりとした体型の中年女性、マーサだ。カウンターに座るが注文はしない。

「私、お金ないから……」

 哀れに思い、紅茶を一杯、奢ってあげた。笑みを浮かべるマーサ。仕事を尋ねると、

「弁護士よ」

 と、平然と答える。大物政治家の顧問もしているという。

「……なら、なぜ金がない?」

 出会いから怪しさ満点だが、本作の魅力は単なるストーカー話に収まらない点にある。ガッド本人がモデルの主人公は売れないコメディアン。誰にも相手にされない中、マーサだけが熱い視線を向けてくれる人だった。彼女は毎日、カウンターに座り、彼の自尊心を満たす言葉をかけてくる。

「男らしい手をしてる。深くて太い声。しっかりした顎」

 マーサの褒め言葉は彼が何より欲していたものだった。なぜ、彼は男らしさを求めていたのか。それには過去のある陰惨な事件が関係していた。

 ストーカー女性との歪んだ関係はやがて鏡のように主人公の内面の問題を映し出すようになる。ガッドは言う。

「道徳的な価値観を押しつけるつもりはない。単なる自伝だが、伝える必要があった」

 お決まりのストーカー話と侮るなかれ。現代的なテーマに深く抉りこむ怪作である。

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『私のトナカイちゃん』
https://www.netflix.com/jp/title/81219887

(佐々木 健一/週刊文春 2024年6月27日号)

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