〈三つ子出産〉「1人も2人も育てるのは同じでしょ」と保育園を退園勧告、市長にメールを送って…三つ子ママ(26)が語る、保育園問題と4人の子育て
文春オンライン / 2024年7月6日 11時0分
ミニーの衣装を着る三つ子
〈 23歳で双子を妊娠、医師から「3人かもしれない」と…三つ子ママ(26)が明かす、15人の厳戒態勢で行われた“計画出産” 〉から続く
4歳の男の子と2歳の三つ子の女の子の育児の様子を配信している YouTubeチャンネル『うるはなファミリー』 。母であるもえかさんは24歳の時に三つ子を出産した。
そんなもえかさんに、三つ子を妊娠した時の心境や育児、今後の不安など詳しく話を聞いた。(全2回の2回目/ 最初から読む )
◆◆◆
三つ子の子育てのリアル
――新生児の頃の三つ子の子育てはいかがでしたか。
もえかママ わりとみんなよく寝てくれる子だったのでそこは助かったんですけど、名前を間違えないようにするのが大変でした。退院の時につけていた名前付きのバンドをずっとつけていましたね。
――ちなみに名前はどのように決めたのでしょうか。
ゆうきパパ 最初は長男がれおなので、2文字で考えていたんですけど、大きくなってから「この名前がよかった」とならないように、できるだけ似たような名前にしたいと思っていて。いろいろ探していたところ、「◯◯か」がいいんじゃないかということで合わせました。画数とか調べてできるだけいい組み合わせの漢字を探して。
――双子育児は3年寝れないとも言いますが、睡眠時間はありましたか。
もえかママ 最初は数時間置きにミルクを飲ませるために起きていたんですけど、意外と夜泣きも少なくて寝れないということはなかったです。
誰かが泣いても、つられて泣くことはほとんどなくて。むしろ同じ時間にミルクをあげたかったので、泣いている子から飲ませて、寝ている子がいたら起こしてミルクを飲ませていました。
ゆうきパパ 「ママ代行ミルク屋さん」っていうクッションがあって、それを使うと1人で飲めるので結構使っていましたね。
でも、寝返りができるようになってくると、動きながらミルクを飲むので、試行錯誤してスマホスタンドを使ってミルクをあげるようになりました。一人ずつ手を使ってあげるのは難しいので、セルフで飲んでくれる形が一番だなって。
TikTokで配信がリフレッシュに
――ミルクをあげる様子はYouTubeにもアップされて、たくさんの反響がありましたが、いろいろな工夫の末、あの形が生まれたんですね。
もえかママ 三つ子育児については妊娠中から色々調べてはいたんですが、「考えても仕方ない。やるしかない!」と切り替えていました。「なんとかなる」って良い意味で力を抜いてできていたのがよかったなって。
長男の時は吐き戻しも多くて大変だったんですが、三つ子たちはミルクもよく飲んでくれたし、ゲップもすぐに出してくれたのですごく助かりました。
あとはTikTokで配信しながらミルクをあげていたりしたので、リフレッシュしながらできたのもよかったと思います。
月に4~5万円かかるミルク代
――三つ子となるとおむつやミルクの消費量も3倍になりますが、経済的な不安はありましたか。
ゆうきパパ 不安はすごくありました。チャイルドシートは知り合いに譲ってもらったり、レンタルを活用したりしました。長い期間使わないものはなるべくレンタルするようにしていましたね。
もえかママ 哺乳瓶も最初はどのくらい必要なのかわからなかったので、一応1人3本ずつ用意して。洋服も色を決めて3色分用意していました。
ミルクやおむつの消費量はすごくて。2週間で大きいミルク缶を8缶消費していました。月に4~5万円はかかりましたね。
ゆうきパパ 僕たちの食費よりも高かったです(笑)。缶が家の中に溢れていました。
――病院の定期検診など外出時はどのようにしていましたか。
もえかママ 夫に会社を休んでもらって一緒に行っていました。病院やスーパーなどは、入口の近くにある「思いやり駐車場」を活用していたんですが、うちの県では産後6ヶ月までしか使えなくて。遠いところに止めてしまうと、車の乗り降りや移動が大変だったので、夫が組合など色々な機関に連絡をして、使える期間を伸ばしてもらいました。
ゆうきパパ 外出時はベビーカーではなく、キャリーカートのクロテックワゴンを活用していたんですが、重かったりしてすごく大変で。病院の中に行くまでにかなりの時間がかかってしまっていたので、色々な機関と交渉して。産後1年以上使えるようになりました。
――三つ子育児で使ってよかった育児用品はありましたか。
もえかママ 「おやすみたまごプラス」っていうベッドがあって、知人からもらったんですが、それがめちゃめちゃ良くて。すぐ寝てくれるんです。私の兄も「子どもが夜泣きして困っている」と言っていたので、貸したらよく寝てくれたと言っていましたね。少し高いんですけど、あれは使ってよかったですね。
「三つ子ですか?」と話しかけられることも
――病院や公園などで周りから話しかけられることはありましたか。
ゆうきパパ 大きいワゴンに3人を乗せていたので、「なんだろう?」と見てくる方はいましたね。「三つ子ですか?」と話しかけられることもありました。病院でも驚かれることも多かったですね。
――他の三つ子家族と交流することは。
もえかママ 同じ県内の三つ子を持つ家族との交流会があってそこに行きましたね。7組くらい集まりました。みんな三つ子なので、全員集まるとそっくりだし、人数が多くて賑やかですごく楽しくて。子どもたちが遊んでいる横で、親たちが自己紹介したり、育児の話を共有したりしていました。
ゆうきパパ 小さい子もいれば小学生くらいの子もいたので、大きくなった時の話を聞いたりしていろんなアドバイスももらいましたね。
もえかママ 「トイレトレーニングはどうしている?」とか「大きくなると食事の時が大変だよ~」とか。三つ子育児の不安なところやわからないところを教えてもらえて、すごく参考になりました。
「長男が通園できなくなる」市のルールに切羽詰まって
――もえかさんは育児休暇を取っていたとのことですが、長男のれおくんは保育園に通っていたんですよね。
もえかママ れおくんはずっと保育園に通っていたんですが、私たちの市では、育児休暇を取得していて上の子が3歳未満の場合、下の子の出産から2ヶ月経つと、上の子を退園させないといけないというルールがあったんです。れおくんはその時まだ2歳だったので、ちょうどそのルールが適用されて。
でも、三つ子の育児でいっぱいいっぱいなのに、そこに2歳の息子も退園するとなるとかなりきついなって。
それで市に問い合わせたら、「育児は何人いても一緒でしょ。1人でも2人でもやることは同じだから」と言われてしまって。
ゆうきパパ 育児休暇を取っているのであれば、自宅で子どもを見てください、ということなんでしょうが、それを言われても納得いかなかったので、市のHPから市長へメールを送って。「職員の方にはそう言われたんですけど、やっぱり難しいです。もし可能だと思うのであれば、どのようにすればいいか教えてください」と。
――窓口だとマニュアル通りにしか言われないんですね。
もえかママ そうですね。あの時は切羽詰まっていたので、なんとしても入れてもらえないと大変だと思って行動して。そうしたら次の日に特別措置ということで、上の子は保育園に通ったままで大丈夫だと連絡が来て。
ゆうきパパ 育児は1人でも2人でも本当に大変なんですが、三つ子と長男の4人の育児になるとどうしても妻1人だと絶対に無理で。そのルールがあるとわかった時は、結構絶望的でしたね。でも、すぐに対応してくださったので、本当にありがたかったです。
――行政の支援で三つ子ならではのものはあるのでしょうか。
ゆうきパパ 特にはないですね。前に災害用に備蓄していたミルクが余っていたので、それを「三つ子ちゃんにいかがですか?」ともらったくらいで、三つ子だから、という支援はないです。
育児でも「まぁいっか」を大事に
――YouTubeでもお家の様子が配信されていますが、いつも綺麗という声も多いです。定期的に片付けをするようにしているのでしょうか。
もえかママ おもちゃで散らかっている時もたくさんあります(笑)。三つ子だとどうしても物が増えてしまいがちなので、できるだけ買わないようにしたり、収納も工夫して物が見えないようにはしていますね。
基本、何事も「まぁいっか」と思う性格でしたが、育児でも「まぁいっか」を大事にしているので適度に肩の力を抜いています。
ゆうきパパ 布団もぐちゃぐちゃにしますし、床が汚いことも全然ありますね。定期的に綺麗にしていますが、子どもがいるとなかなかそうはいかなくて。
動くようになってからが本当に忙しい育児
――今年の12月で3歳になる三つ子ですが、以前の育児と変わった部分はありますか。
ゆうきパパ 全然違いますね。あの頃を思い出せないくらい大変です(笑)。動くようになってからが本当に忙しいです。寝かしつけも全然寝ないで、みんなで遊び始めたり。
もえかママ やっぱり同じ年の姉妹がいると一緒に遊びたくなっちゃうので、寝たくなくて騒ぎ回って、結局パパに怒られて寝るみたいな(笑)。
ゆうきパパ でも話せるようになってからは自分たちの気持ちを言ってくれるので、すごくかわいいですね。
――三つ子同士、話さなくても通じ合っていると感じることはありますか。
もえかママ 以前占いをしてくれた方がいて、その方が「三つ子は寝ながらでも会話してるよ~」って言ってたんですけど、どうなんでしょう(笑)。でも、話さなくても目やジェスチャーで通じ合っているような気はしますね。遊んでいる時もなんとなく息が合っているなって。
――最初は名前の書いてあるバンドを足につけていたそうですが、どのくらいで見分けがつくようになりましたか。
ゆうきパパ 退院して2ヶ月くらいでバンドが汚れてしまったので、もういいかと取ってしまったんですけど、意外と見分けはすぐにつくようになりましたね。
もえかママ よく見ると全然違いますね。性格も全然違ってこれからどう成長するのか本当に楽しみです。
「かわいいがいくつあっても足りない」子どもたち
――今年の12月で出産から3年になりますが、改めて三つ子との生活はいかがですか。
もえかママ かわいいがいくつあっても足りないというか、1人でもめちゃめちゃかわいいのに3人もいてくれて本当に幸せですね。本当に毎日成長を見るのが楽しいです。
ゆうきパパ 家が賑やかなのがすごくいいですね。仕事から帰ってきても常に笑い声が聞こえるとがんばろうと思えるので。
それに、これから小学生になってクラス分けどうなるのかなとか、どんな夢を持つのかなとか、楽しみがたくさんありますね。もちろんこれから経済的な不安もありますが、できるだけやりたいことはやらせてあげたいです。
もえかママ もう少し大きくなったらみんなで旅行にも行きたいですね。ディズニーとかでお揃いのコーデで遊んだりしてみたいです。みんなでやりたいことがたくさんありますね。
写真=本人提供
(「文春オンライン」編集部)
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