「言われて、やらないのはダサい(笑)」苦難を乗り越えたMEGUMI(42)が新たな挑戦を続けるワケ
文春オンライン / 2024年6月29日 11時0分
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カンヌ映画祭の総代表ティエリー・フレモー(中央)がアラン・ドロンで有名な「あまい囁き」を披露した 筆者提供
女優、タレント、プロデューサー、実業家……多彩な顔を持つMEGUMIは今年5月、南仏にいた。カンヌ国際映画祭で“JAPAN NIGHT”(ジャパンナイト)と題した大規模なパーティーを主催したのだ。その目的は“日本映画や文化を発信する”こと。様々な苦難を乗り越え、常に新しい挑戦を続ける彼女の原動力に迫った。
◆◆◆
カンヌって素敵、夢があるなとも思ったけれど、同時に……
――カンヌにいらっしゃったのは初めてですか?
MEGUMI 2回目です。2022年に初めて来ました。
――何か作品があったのでしょうか?
MEGUMI 何もなくて、呼ばれてもないんです。ただ自分で映画のプロデュースを始めて間もない頃で、海外で作品を作りたいなとか、日本の作品を海外に売りたいなと思っていたんです。
そのころ出演させて頂いた映画のプロデューサーが海外との合作もしている方で、「毎年カンヌに行き、そこでコネクションを作って、そこから合作を作れるようになった」という背景を聞いて、じゃあ行ってみようと思ったのが最初です。そこで来てみたら、日本だけパーティーがなかったのが気になったんですね。
――確かにカンヌでは多くの国や団体が、個別の作品とは別にパーティーを開いて、自国の作品や映画人、そして映画産業をアピールしています。そこでの交流がきっかけで次へ繋がることも多いですね。
MEGUMI もちろんカンヌってキラキラして素敵だなとか、夢があるなとも思いました。でも同時に日本映画の世界における立ち位置が気になったんです。そんな中、今準備している作品のメインスポンサーから「フランスで何かやりたい。できればカンヌで」というお話がありまして。それならいろんな人を巻き込めるパーティーが良いのでは、と思ったんです。それも、ジャパンナイトという形で日本の映画を世界に伝えるべく、大義名分を持った大きなイベントがいい。それが決まったのが今年2月。突然始まったんですね。
――招待状をいただいた時、ジャパンナイトがMEGUMIさんの会社、KICKY主催というので驚きました。
MEGUMI そりゃそうですよね(笑)。何やるの? って感じますよね。
――2年前に来た時、交流する場が少なくコネクションを作ることの難しさを感じたんですか?
MEGUMI 難しいというより、こういうのをやらなきゃいけない、って感じたんです。映画の世界は、会って飲んで仲良くなって、自分たちが考えていることを語って、志が同じなら何かが始まっていく。それはすごく素敵なカルチャーだと思うんです。
でもパーティーがないと、たくさんの人に一気に会う場所はありません。それに映画祭のマーケット会場に行っても日本映画のブースを見ると、もっと積極的に海外にアピールしたいな、と思ったこともきっかけでした。
日本映画はスタッフさんをすごく酷使して成り立っている
――日本映画は国内市場だけでなんとかなってしまうから、ですかね?
MEGUMI なっていた、という過去形だと思います。現場にいても予算がないのを実感します。予算がある映画はごく僅か。ほとんど予算が足りない中で、本当に頑張っているけれども、皆さんをすごく酷使した上で成り立っている。それじゃあ衰退しちゃうと思いますし、やっぱり映画にもう少しキラキラした魅力、感動みたいなのを皆が感じて示していかないといけないなと思うんです
――今回のパーティーを通して、MEGUMIさんは女優としてよりも、プロデューサー的な視点で映画界をバックアップしたいというお気持ちが強いのかな、と感じました。
MEGUMI もちろん女優として呼ばれてコンペティションの作品に出られたら最高ですけど、現実的には出演オファーが来るのを待って、ようやく映画に出られたとして、それがたまたまカンヌに招待されるなんて、果てしない道のりです。であれば、自分で才能のある監督と作品を作って、自分も出て、それでみんなでカンヌに来るのが一番近道、とは思っていますね。
――MEGUMIさんが初プロデュースした映画『零落』の主演でもある斎藤工さんは、ジャパンナイトで次回作のプレゼンテーションを英語でされていましたね。他にも俳優さんがいらっしゃいましたが、MEGUMIさんが直接声をかけられたんですか?
MEGUMI はい。役者をやりながらも、プロデュースや監督をやっている方を今回はお呼びしました。彼らも日本映画の現状に思うことがあるから、そういうことをやっているので、カンヌはどういう場所なのかを体感してもらったら、動きが早いですから。
実際にもうこちらで色々話し合っていましたし、皆さん映画を作っているけれどもカンヌは初めて。マーケット会場に行って、自分たちが作ったものが世界の市場に出て、こういう風に売られているんだっていうのを見られたのもすごく刺激的だったみたいで、それは彼らが吸引力があるのかなと思いました。
子供のころから毎日予定をパツパツに入れていました
――役者、タレント業はもちろん、BABEL LABELで映画やドラマのプロデュースを行い、さらにカフェ経営などの実業、美容本の執筆と、様々なことを手掛けていますが、何がMEGUMIさんの原動力なんでしょうか?
MEGUMI 小さい時からそうなんです。習い事も自分で親に交渉して、月曜日そろばん、火曜日は習字、水曜日は水泳って感じで、毎日パツパツに入れていたんですよね。そういう生まれ持った性質に加えて、今は出会った方達と「こういうのいいね。面白そうだね。やろうよ」って言ったら、本当にやる。そうやって生きている感じなんですよ。
だからどれが一番ということもないし、まずはやってみる。そして一回は失敗しても良いと思っています。ジャパンナイトだって、今回成功したかどうかはわからない。700人もの方々にお越し頂きましたが、未知数のことが多かったですから。
――やってみないとわからないことが多いのは当然ですよね。
MEGUMI とにかく何かやらないと変わらないというのは、どの現場でも思うんです。それは美容でもバラエティでも。やってみてダメだったり怒られても、その経験は自分の筋肉にはなっている。評価は気になりますが、気にし過ぎないようにしていますね。
――プロデューサー、実業家としての活動と、芸能活動は自分の中でコネクトしているのですか?
MEGUMI 超コネクトしている感じはあります。やはり女優というのは、普通の人を演じることの方が多いのに、芸能界の中だけにいると、普通の生活をしている方々の本当の表情だったり、思いみたいなものからかけ離れてしまう。
でも商売をしていると、給料交渉であったり、社員同士の人間関係のこととか、いろんなガチのことを社員が私に言ってくる。そこから働く人の心情を知れたりするし、「こういう話をするときは、こういう顔しているんだ」とか直接演技の勉強にもなる。変な目線かもしれませんけど、とても面白いんです。
「言われて、やらないのはダサい」って思っちゃう
――そこは女優の目線が入るんですね。
MEGUMI そう。でもやっぱり、社会とつながることの意義が大きいです。こんなに頑張っても売れないのか、とか、こういうものは売れていくんだとか、この季節は忙しいんだとか、 芸能界だけでは到底知れなかったことも知れるので、本当にやってよかったなと思います。
金沢でカフェを始めたのも、「商売をやってみなさい。一番勉強になるよ」って尊敬する方に勧められたのがきっかけなんです。芸能界にいると世間とコネクトすることが少ないから。「言われて、やらないのはダサい」って思っちゃうところが私はあるんです(笑)。お題を頂戴したら必ず答える。ジャパンナイトも、是枝(裕和)監督が来て下さって「続けたほうがいい。続けたら、もっと意味が深くなっていくから」って言われたので、叱咤激励と受け止めて、来年も再来年も絶対やるつもりでいます。
――MEGUMIさん、ジャパンナイトでは英語でご挨拶をされていましたね。
MEGUMI まだまだ全然ですけど、でもカンヌで映画の仕事をしたいから私も頑張っています。来年も、その次も来たいと思っていますから。
撮影 石津文子
衣装協力 季緑
(石津 文子)
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