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妻の母と妹を強制わいせつ→公表することで“家族の絆”をズタズタに…《北九州監禁殺人事件》犯人男の「凶悪すぎるマインド・コントロール手法」

文春オンライン / 2024年7月6日 17時0分

妻の母と妹を強制わいせつ→公表することで“家族の絆”をズタズタに…《北九州監禁殺人事件》犯人男の「凶悪すぎるマインド・コントロール手法」

犯罪史上でも類を見ない凶悪事件「北九州監禁殺人事件」主犯の恐るべきマインド・コントロール手法とは? 写真は松永太死刑囚(中学時代の卒業アルバムより/写真提供:小野一光)

〈 「俺、フトシちゃん。覚えてる?」きっかけは1本の電話…マインドコントロール下に置かれた家族6人が互いを拷問・虐殺《北九州監禁殺人事件》はなぜ起きた? 〉から続く

 内縁の妻である緒方の母親、妹と強引に肉体関係を結び、そのことを家族に公表して夫婦・親子間を分断……。マインドコントロール下に置かれた一家6人が互いを拷問・虐殺した凶悪事件「北九州監禁殺人事件」はなぜ起きたのか? 主犯・松永太死刑囚の恐るべきマインド・コントロール手法を新刊『 世界の殺人カップル 』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/ 前編 を読む)

◆◆◆

最初の殺人

 1990年ごろ、バブル崩壊のあおりを受け、ワールドの売り上げは急落。松永は、緒方の他にも数多くいた愛人女性たちの名義で金融機関に金を借りさせ、会社の運用資金に充てていた。彼女たちの中には2千500万円もの債務を背負わされたり、自殺した者もいたそうだ。

 そんな松永の動向は警察もマークしており、1992年7月に詐欺罪と脅迫罪で指名手配する。対して松永と緒方、最後までワールドに残っていた男性社員の3人は、いったん石川県に逃亡し、ほとぼりの冷めた同年10月、拠点の北九州に舞い戻る。このとき、ワールドは事実上破綻しており、ほどなく松永と妻は離婚。緒方は1993年1月、松永との間にできた男児を出産した(1996年3月に次男誕生)。

 1995年、金に窮していた松永はマンションを仲介してきたBさん(当時34歳)に目をつけ、一流メーカー勤務を詐称したうえで投資話を持ちかけた。信頼を勝ち得たところでBさんと内縁関係にあった女性を別居に追い込み、彼の娘A子さん(同10歳)を緒方が預かる形にして毎月、養育費16万円を要求。さらに親族・知人から1千万円以上を借り奪い取った。

 やがて会社を辞めたBさんが松永たちのマンションで同居するようになると、アルコールに弱かったBさんを泥酔させ、かつて彼が犯した罪を聞き出し弱みを掌握。

「緒方や自分の娘に性的虐待をした」など嘘の事実関係確認書を強引に書かせることで自分の支配下に置く。さらには、食事にラードを乗せた白米しか与えなかったり、睡眠時間を管理するなどしてBさんを虐待。

 特筆すべきは、ここで松永が彼に使った「通電」である。これは、電流を流した2本の金属棒を焼跡が残るほど体に押しつける拷問で、ワールドの従業員が偶然感電したのを見て発案、成績の上がらない従業員にも強要していた手口である。

 電流を流され続けた結果、Bさんはしだいに衰弱し、1996年2月に死亡。遺体は緒方とA子さんに処理させ、彼女らに自分が殺人に加担したという罪の意識を植えつけた。ちなみに、松永はBさんの遺体の首を切断して血抜きしたうえで、包丁やノコギリで各部位を細かく切断。鍋で煮込んで肉と骨を分離させた後、肉をミキサーで細かくしてペットボトルに入れて近くの公衆便所に流し、骨は細かく砕いて船から海に投棄している。もちろん、自分は指示するだけで、実際に行ったのは緒方である。

 Bさんが死亡すると、松永は緒方の母親に仕送りをさせ生活していた。が、その金額が1千500万円を超えたところで限界に達する。それでも、執拗に金を要求され虐待を受けていた緒方は1997年4月に突如、行方をくらます。自分で働き送金しようと、由布院温泉(大分県)のスナックに勤めることにしたのだ。

 しかし、行き先を告げぬまま逃亡した緒方に松永は怒り狂い、彼女の両親に娘が殺人に関与していることを告げると同時に、家族から殺人犯が出ることの世間体の悪さを説き、緒方の父親(死亡時61歳)と母親(同58歳)、妹(同33歳)を北九州市内のマンションに呼び出す。そこで、自身の死亡を偽り、緒方をおびき寄せることへの協力を強要。ほどなく、子供のことが心配で電話をかけてきた緒方に松永が自殺したと嘘をつかせ、驚いた彼女が葬儀に駆けつけたところで、松永に命令されていた家族が緒方を取り押さえた。

凶悪すぎるマインド・コントロール手法

 松永は殺人犯である緒方を匿うという名目で家族に毎月多額の金銭を要求、それが目標額に達しなかった場合は、彼らに容赦なく通電の罰を与えた。こうして、身内が殺人に加担した後ろめたさを持っていた家族は数千万円を奪われ、否応無しに松永の支配下に置かれる。

 一方、松永は緒方の妹の夫(同38歳)には彼が元警察官だったこともあり、当初一定の距離を置いていた。が、ほどなく「あなたの妻は隠れて浮気している。俺はあなたの味方だ」と嘘をつき、疑心暗鬼にさせたうえで、夫の警戒心を解く。すっかり信頼させたところで夫から家族への不満を聞き出し、両親と妻に暴力を振るうよう指示。同時に、Bさんの遺体解体現場である風呂場のタイルの張替え作業を行わせ、元警察官の立場にありながら殺害の証拠隠滅に加担したと責め立て、彼をも支配下に置くことに成功する。さらには、緒方の母親、妹と強引に肉体関係を結び、そのことを家族に公表して夫婦・親子間を分断させた。

(鉄人ノンフィクション編集部/Webオリジナル(外部転載))

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