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“子ども用おむつ”が履けるほどガリガリに…「おぞましい拷問」によって7人殺害《北九州監禁殺人事件》犯人カップルのその後

文春オンライン / 2024年7月7日 17時0分

“子ども用おむつ”が履けるほどガリガリに…「おぞましい拷問」によって7人殺害《北九州監禁殺人事件》犯人カップルのその後

善悪のたがが外れた首謀者・松永太、愚直な実行者・緒方純子に下された罰は…(写真は2人のアルバムより/写真提供:小野一光)

〈 大便は1日1回、逆らえば電気ショック…《北九州監禁殺人事件》被害者家族が受けた「おぞましい拷問」の数々 〉から続く

 裁判所は松永太を「善悪のたがが外れた首謀者」、緒方純子を「愚直な実行者」と位置づけ……。罪のない人々7名が残酷な手口によって殺害された「北九州監禁殺人事件」。その後、裁判所が犯人男女に下した罰とは? 新刊『 世界の殺人カップル 』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/ 前編 を読む)

◆◆◆

「善悪のたがが外れた首謀者」と「愚直な実行者」

 殺人、傷害致死、監禁致傷、詐欺、強盗の罪で起訴された松永と緒方の裁判は、2002年6月から福岡地裁小倉支部で始まった。遺体など有力な証拠は皆無だったが、検察はA子さんや緒方の供述に真実性があるとして、松永を「善悪のたがが外れた首謀者」、緒方を「愚直な実行者」と位置づけ、一連の事件は被害者に虐待や生活制限を加えて支配し、金づるとしての利用価値がなくなると口封じのため殺害を繰り返した計画的犯行と指摘。

「被害者に家族の殺害、死体処理を手伝わせた挙げ句に殺害するという鬼畜の所業」と指弾した。緒方が「松永の指示がなければ殺さなかった」と供述している点については「2人は車の両輪のような関係。松永の指示に忠実でなければ、これほどの大量殺人を遂行し得たかは疑問。刑事責任は松永に劣らず重い」として、共同正犯の成立を主張した。

 対して緒方は自身の父と、A子さんの父(Bさん)については傷害致死罪の適用を主張したが、その他については起訴事実を大筋で認めており、改めて一連の犯行は松永の主導と主張。事件の全容解明に貢献したとして情状面から死刑回避を求めた。一方、松永は緒方の父については一部関与を認めたうえで傷害致死罪を主張。Bさんに関しては「浴室で転んで頭を打った事故死」。緒方家の他の5人は「家庭内の不和などが原因で、一家で殺害し合った」として無罪を訴えた。

 2005年9月28日の判決公判で、裁判長はBさんについて「疎ましくなったため、松永が主導して緒方と黙示的に通じ合い、連日の暴行、虐待で死亡させた」と判断。

 緒方一家殺害については「生き地獄のように過酷で、松永は支配しただけでなく、家族を疑心暗鬼、相互不信に陥らせ、孤立させた」と述べたうえで、松永が事件の首謀者、緒方は「松永の意図をいち早く察知し、積極的かつ主体的に動いた」と認定し、2人に死刑を宣告した。

 しかし、2007年9月26日の控訴審判決で、福岡高裁は緒方が松永の暴力によりDV被害者特有の心理状態に陥っていた可能性があるとして、無期懲役に減刑。松永の死刑は一審判決を支持し、その後、2011年12月12日の最高裁で両被告の刑が確定した。

松永死刑囚、緒方受刑囚のその後

 2024年5月現在、松永死刑囚の刑は執行されておらず、福岡拘置所に収監中。緒方受刑囚は佐賀県の麓刑務所で服役中の身にある。ちなみに、監禁されていた被害者で唯一の生存者であるA子さんは事件後、児童養護施設に送られ、そこで出会った男性と県外で結婚し子供を2人授かったと伝えられている。

(鉄人ノンフィクション編集部/Webオリジナル(外部転載))

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