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「夫の遺産の残りをあげたい」とロマンス詐欺で3億円を詐取 ナイジェリア人犯罪グループの“凶悪な伝統芸”とは

文春オンライン / 2024年7月1日 11時0分

「夫の遺産の残りをあげたい」とロマンス詐欺で3億円を詐取 ナイジェリア人犯罪グループの“凶悪な伝統芸”とは

※写真はイメージです ©AFLO

 国境を越えた求愛の正体は単なる詐欺行為に過ぎなかった。警視庁暴力団対策課は20日、SNSで知り合った男性から現金をだまし取ったなどとして、詐欺などの疑いで神奈川県在住のナイジェリア国籍オージー・フランシス・アフィポ容疑者(61)を逮捕した。

「アフィポ容疑者は国際ロマンス詐欺集団の主犯格とみられています。グループは海外在住の日本人女性を装って国内の男女に接触し、20人以上から計3億7000万円余りをだまし取っていたとみられます」(警視庁担当記者)

「夫の遺産の残りをあげたい」と連絡して600万円を…

 グループが利用していたのはFacebook。だまされた一人の、当時67歳だった男性の場合、グループがなりすました女性は男性と関係が進展していくと、「夫の遺産の残りをあげたい」などと連絡しはじめ、遺産を受け取るための手数料などの名目で約600万円をだまし取ったという。

「本来、外国人グループによる犯罪は国際犯罪対策課が担いますが、暴対課は一昨年、この事件でだまし取った現金を引き出した疑いで指定暴力団住吉会系と指定暴力団山口組系の組員を逮捕しており、その突き上げ捜査でアフィポ容疑者が浮上しました」(同前)

 国内の男性が突然、海外在住の日本人女性から恋愛感情を寄せられるとは、一見、荒唐無稽な話だが、被害額はうなぎ登りに増えているのが実情だ。

大型詐欺組織のトップがなぜナイジェリア人なのか

 警察庁の統計では昨年1年間におけるSNSなどを使った国際ロマンス詐欺の被害は1575件、被害総額は177億円。男性で被害が多いのは50〜60代で、SNSの高齢層への浸透が詐欺行為も拡大させているかっこうだ。

 警察庁によれば、今年に入ってから被害はさらに加速、4月までの被害総額はすでに84億円にまで積み上がっているという。

「ナイジェリア人の犯罪グループにとって詐欺は伝統芸」

 捜査関係者は「ナイジェリア人の犯罪グループは日本でオレオレ詐欺が流行り始める前から、メールなどを他人に送って現金を送らせる詐欺を組織的にやっていた。詐欺はもはや伝統芸。会社の取引を装う詐欺も多かった。SNSが高齢者に普及したおかげでこうしたロマンス詐欺にも進出してきたのだろう」と明かす。

 米国務省も20年以上前から「ナイジェリア前金詐欺」なる項目を設け、ナイジェリアに渡航する際の注意喚起を行っている。

「ナイジェリア人の犯罪グループは各国に協力者がいて詐取金のマネーロンダリング(資金洗浄)にも長けている。今回の捜査でカネの国際的な流れをどこまで掴めるか注目したい」(警察関係者)

 実はグローバル化が最も進んでいるのは詐欺の世界なのかもしれない。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年7月4日号)

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