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小5の息子が「学校で笑われる」と壊れた水筒を…アフリカ最貧国で国際結婚した日本人夫(40)が明かす、日本とマラウイの決定的な違い

文春オンライン / 2024年7月21日 11時0分

小5の息子が「学校で笑われる」と壊れた水筒を…アフリカ最貧国で国際結婚した日本人夫(40)が明かす、日本とマラウイの決定的な違い

コガさんファミリー

〈 〈マラウイから移住して1年〉アフリカ最貧国で国際結婚した元警察官(39)が明かす、日本での生活のリアル「妻が“あれはすごい”と驚いて…」 〉から続く

 10年勤めた警察官をやめ、青年海外協力隊として世界最貧国のひとつであるアフリカのマラウイに赴任。現地で出会った子持ち女性のジェニーさんと国際結婚したコガさんは、アフリカでステップファーザーとなった。

 そして昨年、家族で日本に移住したコガさんは、夫婦でキッチンカーを出店するなど、大きな変化があったと言う。マラウイとの生活の違いを、改めて聞いた。(全2回の2回目/ 最初から読む )

◆◆◆

リオン君の好きな給食は「揚げパン」

コガさん(以降、コガ) 今ちょうど息子のリオンがいるので、一緒に取材を受けてもいいですか。日本語も話せます。

リオンくん(以降、リオン) はじめまして。

――リオンさん、参加ありがとうございます。マラウイから日本に来て1年が経ったそうですが、日本に来て楽しかったことはなんですか。

リオン 友だちの家にお泊りしたのが楽しかったです。

――今、小学5年生ということで、マラウイの学校と日本の学校で、違うところは?

リオン 給食。

――マラウイも給食がありますか。

リオン ない。

――そうなんですね。好きな給食は?

リオン 揚げパン。

――揚げパン、美味しいですよね。友だちに、マラウイのことを聞かれたりしますか。

リオン うん。

――では、お友だちもマラウイのことを理解している?

リオン うん。

――そうですか。いい関係ですね。参加してくださってありがとうございます。(リオンくん、部屋を出る)リオンくんは日本語が上手ですね。

コガ 友だちとは地元の筑後弁でしゃべってますね。まさかここまで早く日本語を習得するとは思っていなかったので、驚いています。

日本とマラウイ、どちらの国でも生きていける人になってほしい

――マラウイとの教育の違いをどのように感じていますか。

コガ 日本の方がマラウイより勉強のスピードが早いんです。特に算数はそうですね。

 私は、将来的に日本とマラウイ、どちらの国でも生きていける人になってほしいので、リオンには日本の勉強に追いついてもらいたいあまり、つい厳しく言ってしまうことがあって。


 妻は、「そんなに厳しく言わなくても」というところで差がありました。

――ジェニーさんはまた教育方針が違う?

コガ 妻も、勉強に対しては厳しいですが、日本は小学生も塾に行っていますし、宿題もマラウイに比べたら量も多いし毎日出るわけで、私はそれに慣れさせようと厳しくしてしまっていて。そういう部分で衝突というか、話し合ったことがありました。

――マラウイと日本で、勉強のスタイルがかなり違うんですね。

コガ 勉強以外でも、例えばマラウイの場合、「5分前行動」はまずないので、13時から授業というと、13時までしっかり遊んで、それから教室に戻る感じで。

 ただ、日本社会では時間にルーズなことはよくないので、きっちり守って欲しいという思いでいたんです。

積極性は失わずに育っていってほしい

――日本社会に合わせることについて伝えたことで、リオンくんに変化はありますか。

コガ 最初は、「なにがダメなの?」という感じで、なかなか難しかったですね。寝るときも、「21時に寝るよ」と言っても、21時になってようやく準備をはじめるんです。

 妻も納得はしているんですけど、彼女もマラウイの文化を知っているので、そんなに急いでなにもかも合わせなくてもいいんじゃないの、というところで話し合いました。今は、私が急ぎすぎたのかなと、反省もしています。

――マラウイ出身の転校生という注目を浴びやすい立場ゆえに、一層厳しくしてしまう部分もありますか。 

コガ 私自身も幼少期はそうでしたが、日本人って目立ちたくないというか、「皆一緒」という意識の人が多いと思うのですが、リオンにはそうなってほしくないと思っていて。

 リオンは日本語が分からなくても、自分から積極的に手を挙げるそうなんです。クラスメイトから「お前できないだろ」と言われても気にしないみたいで、私はそういうところをすごいなと思って見ていて。

――すばらしいです。

コガ 日本で生活していく中でその積極性は失わずに育っていってほしいなと強く思います。周りと違うことに引け目を感じるのではなく、自分の個性としてどんどん発信していってほしいですね。

 だから、日本で生活する上での最低限のマナーを身につけた上で、皆が恥ずかしがって前に出ないことがあっても、それに合わせることはないよと、ずっと伝えています。

「壊れた水筒を買い替えるかどうか」という問題提起

――コガさんのYouTubeで、リオンくんの壊れた水筒を買い替えるかどうかという問題提起をした動画が話題になっていました。

コガ おじいちゃんが買ってくれた水筒の蓋の部分が壊れてしまったのと、見た目もだいぶくたびれてきたこともあって、リオンが、「恥ずかしいから新しいのが欲しい」と言ってきたんです。ただ、飲み口以外はなにも壊れていないので、まだまだ使えるものだったんですね。

――友だちの前で使うのが恥ずかしい、ということですか。

コガ 「学校で笑われる」と言うんです。結局、蓋だけ買い替えたのですが、日本とマラウイの違いを感じる出来事でした。

 動画へのコメントでは、「日本では他の人に合わせたものを子どもに与えなきゃダメ」とか、「古いものを使っているとそれがいじめにつながる」という意見が大半だったので、私も勉強になりました。

――マラウイだと、日本のような反応にはならない?

コガ 経済的に豊かではないので、マラウイでは物は大切にして、長く使っていたんです。リオンには、日本だからといって何でも買えるわけじゃないし、物を大切にすることを忘れずにいてほしいと思って話をしていました。

――たとえばマラウイで水筒が壊れていたら、リオンくんも「新しいのに買い替えて」とは言わなかった?

コガ そうでしょうね。最初から、「恥ずかしいから新しいのが欲しい」と言っていたので、日本に来て、ものが溢れている現状があり、周りと比べて嫌になった部分が大きいと思います。

 去年も、「友だちの中で自分だけSwitchを持っていないから皆と遊べない」ということで、誕生日にSwitchを買ってあげました。今はスマホを持っている子も多いので、スマホも欲しいと言っています。リオンは、今や日本の子どもと同じ感覚ですよね。

習い事、交通量、見守りの環境…マウライと日本の生活の違い

――マラウイにいるときは、リオンくんはどんな生活をしていたのでしょうか。

コガ マラウイのときは、日が暮れるまで近所の子と外で遊んでいましたが、今は週2回、空手と公文の習い事があって、本人も忙しいんです。

 習い事のない日に外で遊ぼうと思っても、他の子も習い事があるので、その日は遊ぶ人もいないから、何もすることがないという感じですね。

――マラウイでは、周囲の大人たちが子どもを見守るような環境だったということですが、日本は違いますよね。

コガ マラウイのときは、近所の人も皆がリオンを知ってるし、親がいなくても、外で遊んでいれば誰かが見ていてくれたので、助かっていました。

 日本に来てからは、おじいちゃんおばあちゃんの協力があるのでなんとかなっていますけど、もしいなかったら、キッチンカーのチャレンジも難しかったと思います。

 今は学校から「不審者が出ました」というメールがよく来ますし、あと、すごく気を付けているのは、車の事故ですね。マラウイでは車が来たら珍しくて子どもたちが見に行くくらい交通量が少なかったので、今は「道路に出るときは絶対に左右を確認して」と口酸っぱく言っています。

マラウイのためにできることを日本で考えながら

――マラウイに戻られる時期などは決まっているのでしょうか?

コガ 妻の考えはまだちゃんと聞いていませんが、個人的には、子どもたちは高校生くらいまでは、日本で教育を受けさせたいなと思っています。ただ、その先はマラウイに戻りたいですね。

 今までずっと自分もやりたいことはやってきて、後悔したこともあるんですけど、やらないで後悔するよりやって後悔したほうがいいと思うので、マラウイのためにできることを日本で考えながら、その日に備えたいと思っています。

(小泉 なつみ)

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