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夏井いつきが語った「プレバト!!」梅沢富美男と怒鳴り合いの11年「スタッフから『もっと厳しく』とかリクエストがあるの?」

文春オンライン / 2024年8月29日 18時0分

夏井いつきが語った「プレバト!!」梅沢富美男と怒鳴り合いの11年「スタッフから『もっと厳しく』とかリクエストがあるの?」

『プレバト‼』について語る夏井氏 ©文藝春秋

「プレバト!!」で人気の俳人・夏井いつき氏。キャスターの有働由美子氏との対談で、「毒舌」とも呼ばれる番組での指導について語った。有働氏が持参した俳句への講評は、いかに?

◆◆◆

怒鳴り合ってきたのでノドが痛い……

 有働 今日は『プレバト!!』(TBS系)の収録後に駆けつけて下さって、ありがとうございます。

 夏井 梅沢(富美男)のおっちゃんと、相変わらず怒鳴り合ってきたのでノドが痛いですよ。

 有働 (笑)。芸能人の方に事前にお題を出して俳句を作ってきて貰い、夏井先生が採点する「俳句の才能査定ランキング」のコーナーが始まってもう11年目になるんですね。

 夏井 ずっと赤ペンを振り回して、梅沢のおっちゃんとケンカしてるんだと思ったら、感慨深い気持ちになります。コーナーが始まったころなんて、うちの家にはテレビが無かったんですよ。

 有働 え!

 夏井 私、テレビを観ると30秒で感情移入して、ずーっと見ちゃう。仕事が手につかなくなるんです。それで引っ越しのタイミングで捨てた。だから、テレビに出始めた頃は流行っている芸能人が全然わからなくて。知っていたのは梅沢富美男、和田アキ子、泉ピン子くらい。

 有働 超大物だけ(笑)。

 夏井 AKB48が出てきたときも「この女の子、何の組織? KGBみたいなやつ?」と思ったほど。

 有働 怖い組織じゃない(笑)。番組では夏井先生は、大御所だろうとアイドルだろうと、歯に衣着せぬ発言でビシバシ指導されていますが、番組のスタッフから「もっと厳しくしてください」とか、やっぱりリクエストがあるんですか?

 夏井 いえ、まったく無いんです。よく「毒舌だ」と言われますけど、私としては、俳句に対して正しい指摘を淡々と言っているだけ。世間に「俳句は上品なもの」という思い込みがあるから、毒舌であるかのように見えてしまう。不思議な現象が起こっているんです。

ダメな作品はダメ

 有働 確かに俳句って、優雅で、句を詠む人は慎ましやかで、控えめな世界だという印象が……。

 夏井 すみません、控えめじゃなくて(笑)。

 有働 失言でした。ただ、先生の登場で多くの人が、俳句ってこんなにフランクな世界なんだと知ったと思います。他の俳人の方々もそうなのですか?

 夏井 俳人が作品を批評し合う句会では、みんな言いたい放題ですよ。良い作品は良い、ダメな作品はダメとハッキリ言う。正岡子規の時代から、作品に対して議論をして技術を磨いていくのが伝統なんです。去年亡くなった師匠の黒田杏子(ももこ)先生の世代の俳人たちは、しょっちゅうケンカをしていました。だから、しょっちゅう協会が分裂する。

 有働 分裂まで!

 夏井 でも、ケンカにはなるけど、作品に意見を言っているだけで、その人の人間性を罵倒しているわけではない。そこは、みんなはっきりしているんです。

 有働 私は句会に出たことがないですが、自分が作ったものにダメ出しされたら、「一生懸命作ったのに……」と、人格ごと傷ついてしまいそう。

 夏井 分かる。でも、それは長いものを書く人たちの方が、傷つき度合いが強いんですよ。だって、小説は、とんでもない時間をかけて書き上げるでしょう。たった七七の14音多いだけの短歌だって、自分の思いを伝えたくて作るところがある。そうすると、自分自身を否定される気持ちになりがちです。でも、俳句は短いし、自分の内面を切々と語るというより、目の前にある面白い風景・事象をパズルのように組み合わせていく勝負。ケンカもするけれど、「これが駄目なら、次はこの手でどうだ!」と、ワンジャンプで復活できる。それが魅力ですね。

 有働 それって正岡子規の時代から、みんなそうなんですか?

 夏井 子規さん自身がメチャクチャ明るい人だったし、人と騒ぐのが大好きだったから、そうでしょうね。詩人・歌人・俳人が集まるパーティーで酒を飲んでワーワー騒いでいるのは、たいてい俳人だっていう例えがあるくらい(笑)。

俳句、作ってきたんです

 有働 夏井さんのYouTubeを拝見していたら、「自分でも出来るかも」と思って、実は今日、俳句を作ってきたんです。

 夏井 そんな勇気のある人だったとは。

 有働 確かに『プレバト!!』収録終わりで、エンジンの暖まった夏井先生の前で詠むのは度胸が……。

 夏井 いま絶好調ですよ。赤ペンは持ってないけれど、どうぞ。

 有働 「五月晴独身女と犬二匹」。

 夏井 おー。ちゃんと俳句になっていますね。番組だったら「才能アリ」の70点。

 有働 ヤッター! どの辺が良かったでしょうか(笑)。

 夏井 「五月晴」という季語があり、残り12音で言葉の組み合わせを考えればいいという基本型ができている。「独身女と犬二匹」と自身の体験を隠さずに書く姿勢も正しい手順です。この作り方だと、自分の気持ちを季語に託して、「五月晴」を選んだのでしょう?

 有働 はい。朝、五月晴で、みんなは家族で出かけている中、私は1人で犬といるなぁ……という、五月晴に似つかわしくない、寂しげな我が家を表現してみました。

 夏井 なるほど。でもこの句だけ読んだら、寂しいというより、「五月晴」で自己肯定しているようにも読めますね。さらにここから腕を上げると、「独身女」と書かなくても「もしかしてこの人、一人暮らしじゃないかしら」って、想像させる句が作れるようになります。

 有働 そうか。そのままですものね。どう言い換えたらいいですか?

 夏井 それを工夫するのが、俳句の一番楽しい作業です。

 有働 すぐ「答え」を教えてもらいたくなってしまう(笑)。

 夏井 みんな「添削してください」って言うけど、一番楽しい作業を人に聞いて、丸をもらって何が楽しい? 有働さんの句は「独身女」と言わないで、真ん中の7音でどう勝負するか。その7音のパズルだと思えば、より楽しくなります。

 有働 なるほど。学生時代は、国語の授業で松尾芭蕉や正岡子規の俳句をテストのために覚えさせられた記憶はあるのですが、実際に俳句を詠む授業はありましたっけ?

 夏井 いまは学習指導要領に創作の項目がありますが、有働さんの時代は鑑賞主体で、詠んでいなかったと思います。学校で先人たちの素晴らしい句を学ぶだけだったので、子供たちは「俳句は自分たちとは縁遠い世界」と、無意識のうちに思ってしまったかもしれません。

 有働 夏井さんの番組がなければ、私も学生時代以来、俳句に触れずに死んでいったかも。

 夏井 一句でも出来て良かった。

 有働 はい。これを辞世の句にしようかな。

 夏井 いやいや、辞世の句にするには、まだ70点ですから(笑)。

夏井氏と有働氏の対談「梅沢のおっちゃんとケンカし続けて11年」全文は、「 文藝春秋 電子版 」に掲載されています。

 

全文(8000字) では、俳句が敬遠された時代のエピソードから、再婚のきっかけまで語っています。

(夏井 いつき,有働 由美子/文藝春秋 2024年7月号)

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