「異例中の異例」時速100キロ超でバイクに追突して死亡させた容疑者男性(27)を警察が“全国指名手配”したワケ
文春オンライン / 2024年7月8日 6時0分
八田容疑者が加わった重要指名手配のポスター
逃亡期間は2年を超えた。大分県別府市で当時19歳だった男子大学生が車にひき逃げされて死亡した事件。道交法違反(ひき逃げ)容疑で指名手配されている八田與一容疑者(27)の行方は杳として知れない。
事件が起きたのは2022年6月29日の午後7時45分ごろ。別府市の県道の交差点で、バイクに乗っていた大学生2人が信号待ちしていたところ、軽乗用車に次々にはねられた。現場には電柱にぶつかったままの軽乗用車が放置されていて、この車を運転していたのが八田だった。
「亡くなった大学生の母親の友人らが作成した顔写真です」
「周辺には裸足で逃げる男の防犯カメラ映像が残されており、大分県警はその日のうちにこの男を八田と特定。自宅などの立ち回り先を捜査しましたが見つからず、顔写真を公開してひき逃げ容疑で全国に指名手配しました。発生から2年にあわせ、髭を生やしたなどの想定で複数の似顔絵も公開。現在まで5000件以上の情報が寄せられていますが、いまだに身柄の確保にはいたっていません」(社会部記者)
細身の体に切れ長で少し腫れぼったい目、まっすぐに通った鼻筋にかすかに割れたアゴ、爬虫類系の顔立ちは一度見たら忘れられない特徴を備えている。そんな数々の特徴をとらえた写真が、公開手配サイトに掲載されている。
「亡くなった大学生の母親の友人らが作成したものです。八田の友人などから集めた近影が掲載されており、身体的な特徴も事細かに説明されています。指名手配犯についてこのような詳細なサイトが有志で作られたのは初めて。SNSでも拡散されています」(同前)
「大学生に因縁をつけた後、時速100キロ超でぶつかっていった容疑者」
全国の警察、そしてSNSを通じた監視の目もくぐり抜け、どこかで生活しているであろう八田。業を煮やした大学生の母親らは県警に二度にわたって手配容疑を殺人に切り替えるよう要望している。
「周辺の防犯カメラには事故の直前、八田が大学生に因縁をつけている映像があったほか、バイクに向かって時速100キロ超でぶつかっていっていることから、遺族はなんらかのトラブルの末、八田が大学生を殺害する目的でぶつかったと疑っているのです」(同前)
度重なる要望を受けてもひき逃げ容疑での手配を続けている県警。だが、警察関係者は県警の対応に深謀遠慮をみてとる。
「ひき逃げだけで全国に重要指名手配するのは異例中の異例。本来なら自動車運転過失致死の疑いでもよかったはず。事件が過失か故意か、現時点では判断せず、あえてひき逃げの容疑だけに止めているのは、殺人容疑での再逮捕を考えているからとみていい。わざわざ容疑者に手の内を見せる必要は無いとの判断だろう」
八田が枕を高くして眠れる日は訪れそうにない。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年7月11日号)
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