「お尻の穴にチンチン入れさせて」と小3男子がズボンを脱がされ…加害者が警察で証言した“あまりに身勝手な犯行理由”とは
文春オンライン / 2024年7月6日 7時0分
サトルくんとAが所属していた野球チームが練習していたグラウンド
北海道に住む小学校3年生のサトルくん(仮名・当時8歳)が、近所の住宅街にある小さな公園内で、中学1年の男子生徒Aから繰り返しわいせつな行為を受ける事件が2021年に起きていた。
サトルくんは精神的ダメージを受けて「死にたい」「中学生になりたくない」と話すようになり、病院で「適応障害」の診断を受けた。ことの発端は、地元の野球チームだった……。
Aはサトルくんと同じ小学校出身で、地元の野球チームの4学年先輩でもあった。Aとサトルくんの出会いを母親はこう語る。
「私たちが引越してきたときに、近所で野球の練習していたのが加害者のAでした。Aが毎日練習している姿を見たのがきっかけで、サトルくんは野球チームに入りたいと思うようになっていたようです。ある日小学校で野球チームのメンバー募集のチラシを見つけてきて、運動は苦手だけどチャレンジしてみようということでチームに入りました」
「俺の下半身を見ろ。お前の下半身も見せろ」
チームに入ったサトルくんはAを含めた野球チームのメンバーと一緒に遊ぶことが増え、スポーツ特有の上下関係はあったものの、とりわけAのことを慕っていた。しかし2021年5月26日、Aはサトルくんに対して思いもよらない加害行為に出た。
“事件”が起きたのは、サトルくんの家の目の前にある公園。隣を車道が通っており、閑静な住宅街ではあるが人通りも少なくない。
その入り口にある車止めに座っていたAが、唐突に自分の性器を露出させると、「俺の下半身を見ろ。お前の下半身も見せろ」とサトルくんに命令し、“見せ合い”を強制した。その後、サトルくんの手をつかむと、強制的に自分の性器を触らせたという。
同じ行為が、翌27日にも同じ場所で行われた。
「Aが公園入り口の車止めに腰掛けて、下半身丸出しで自分の勃起した状態のモノ(性器)を見せ、『触ってよ』とサトルに触らせていました。それを近所の女性が目撃して、『何やってんの!?』と注意してくれたんです。目撃した女性が家の前で待っていてくれて、帰宅した私を呼び止めて『とんでもないものを見てしまった』と、サトルの被害と、Aの下半身を触った手のひらを汚れを落とすようにこすっていたと教えてくれました。夕食の時に息子に確認すると認めたので、怪我がないかと合わせて確認しました」(母親)
サトルくんの被害を知り、母親は動転した。
「息子の性被害を知り、すごく悩みました。思春期の子どものことがわからなくて、事件を知った2日後に野球部の先輩のお母さんに『そういうことってあるんですか?』と聞きました。すると、『それはないよ。おかしいよ』と言われて動揺してしまいました。
ネットで、『性犯罪』『警察』と検索し、子どもが寝静まったあとに、性被害の相談ダイヤル『#8103』に電話しました。翌日に警察署から電話があり『話を聞く限り、手慣れている感じがある。初犯じゃないと思います』と言われました。
数日後に警察官がAを呼び出して事情聴取をした後に、『言いにくいことがあります』と言われ、3日目の被害のことを聞いたんです……」
Aに性器を触らせているのを目撃された翌日も、サトルくんはAに呼び出されて公園に連れていかれていたのだ。
ズボンを脱がせて「お尻の穴にチンチン入れさせて」と…
「3日目はAはインターフォンを鳴らして、『キャッチボールしよう』とうちの子を誘ったようです。在宅で仕事中でしたので、息子が対応しました。前日は通行人に見つかったので、今度は見られないように、公園内にある女子トイレにサトルを連れて行ったんです。そこでズボンを脱がせて『お尻の穴にチンチン入れさせて』と言うと、後ろからサトルのおしりに自身の性器を挿入しようとしたと……。Aは『サトシは年下で、優しいので拒否しないだろうと思った』と証言したようです。結局挿入できず、諦めたようですが」
それを聞いた母親は、自分をひどく責めたという。
「自分が被害を知ったその日に警察に連絡していれば3日目の被害はなかったのではと思いました。本当に無警戒で、母親失格だと自分を責めました。警察の方は『お母さん、きっと自分のことを責めちゃうと思うんですけど、何も悪くないですから』と声をかけてくれましたが……」
しかし母親がサトルくんに確認すると、奇妙な反応を見せたという。
「すごい嫌なことされたし、気持ち悪い。めちゃくちゃ気持ち悪い。お母さんにバレてしまって恥ずかしい。『内緒ね』と言われていたのに、内緒じゃなくなっちゃった」
自分が被害を受けた実感がないのか、警察官に「悪いことされたんだよ」と言われても、「悪いことはされたけど、Aくんは遊んでくれたりもした」「野球の練習は厳しかったけど、Aくんが教えてくれたから、僕も少し上手くなれた気がする。悪いことばかりじゃない」とAをかばうような発言をした。
その後もしばらくは、やけにAを誉めるような言動が続いたという。
これは性被害を受けた被害者にしばしば起こる「否認」という心理状態と思われる。「あれは、性被害ではない」と思い込むことでストレス状態を回避しようとする心理的な防御行動である。
「あまりに辛くて、一緒に死のうと思ったこともありました」
「被害後、息子と加害者を会わせないように、親としてできることは全てしようと思いました。自宅から小学校に行く間に中学校があるため、中学校にAの登下校の管理をお願いをしました。大人たちがサトルを守るために動いているよと本人にも根気よく伝えていました。最初はピンと来ていなかったようですが、約半年後くらいから落ち着き始めて、『あれが嫌だった』『これが嫌だった』という話も徐々にしてくれるようになりました」
Aは少年審判で保護観察処分になり、教育委員会も「いじめ重大事態」に認定して対処にあたった。それでも繊細な出来事を何度も学校や教育委員会と交渉する負担は大きかった。
「あまりに辛くて、サトルと一緒に死のうと思ったこともありました。『もうお母さんダメだから……』『今日で終わりましょう』と本人に言ってしまったんです。でもサトルが『僕はまだ生きたい。やりたいことがあるよ』と言ってくれたんです。本当にダメな母親なのですが、息子に救われました。今は『ご飯を食べようね』とか、『明日もおはよう言おうね』と小さな約束をして、それを1つずつクリアするように生きています」
3年が経過したが、2人にとって事件はまだ終わっていない。
「Aは保護観察処分になり現在は遠くに引っ越していきましたが、次の被害者が出るのは今でも怖いです。警察にも、注意してほしいと希望を伝えています。サトルもようやく落ち着いてきて『自分に起きたことを公表して新しい被害者が出なくなるならその方がいい』と言っています。今は静かに暮らしたいです」
(渋井 哲也)
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