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「あの女は鬼畜です」「夜中に電話で『刺しちゃった』と…」木原誠二氏妻の元夫“怪死事件”に新証言…“伝説の取調官”が掴んだ驚きの事実とは

文春オンライン / 2024年7月7日 11時0分

「あの女は鬼畜です」「夜中に電話で『刺しちゃった』と…」木原誠二氏妻の元夫“怪死事件”に新証言…“伝説の取調官”が掴んだ驚きの事実とは

木原誠二前官房副長官 ©文藝春秋

〈 〈警察の上から下まで…〉警視庁捜査一課“伝説の取調官”が指摘する「木原事件」と「鹿児島県警の不祥事」に共通するもの 〉から続く

 2006年4月10日、都内の閑静な住宅街でひとつの「事件」が起こった。その日、不審死を遂げた安田種雄さん(享年28)は、木原誠二前官房副長官の妻X子さんの元夫である。事件当時、X子さんは「私が寝ている間に、隣の部屋で夫が死んでいました」と供述したという。通称「木原事件」と呼ばれるこの“怪死事件”を巡り、1人の元刑事が週刊文春に実名告発をした。

「はっきり言うが、これは殺人事件だよ」

 木原事件の再捜査でX子さんの取調べを担当した佐藤氏は、なぜそう断言するのか。捜査を進めるなかで、どんな情報を掴んでいたのか——。ここでは、佐藤氏が「捜査秘録」を綴った『 ホンボシ 木原事件と俺の捜査秘録 』(文藝春秋)より一部を抜粋して紹介する。(全4回の3回目/ 4回目 に続く)

◆◆◆

“重要な証言”の真偽

 俺が「取調べ班」の一員に加わってから、捜査が大きな動きを見せたのは2018年7月頃のことだった。Y(編注:安田種雄さんの死亡時刻に現場にいた男。当時、覚せい剤取締法違反で逮捕され、宮崎県の刑務所にいた)が、宮崎で重要な証言を行ったからだ。

 宮崎刑務所に収監されていたYに捜査員は30回ほどの面会を重ねていた。そのなかでこんな供述をしたのだ。

「事件当日の夜中、X子から『種雄君が刺せと言ったので、刺しちゃった』と電話があった。家に行ったら、種雄が血まみれで倒れていた」

 Yはこの連絡を受けた後、車で種雄さんとX子が暮らす自宅に1時間かけて向かい、深夜24時頃に到着した。その動きはNシステムによって裏付けられた。

 種雄さんの死亡推定時刻は4月9日の22時頃なので、この時点でYが実行犯であることはあり得ない。俺たちは「Yはホシではない」と考えた。

 では、Yはそこで何を見たのだろうか。

 俺はその証言を確かめるため、その後、自ら2度にわたって宮崎刑務所に行き、Yと面会した。

「X子はこんなタイプの男と付き合っていたのか」

 刑務所に収監されている人物の聴取は、午前中と、午後は16時までと決められている。刑務所は法務省の管轄であるため、警視庁から申請をした上で取調べが行われる。

 その日、俺は宮崎空港からレンタカーを借り、3人の捜査員とともに宮崎刑務所へ向かった。

 季節は夏の終わりで、少しずつ涼しくなってきた頃だった。市内から車で1時間ほど、のどかな田舎道を走った山の中に宮崎刑務所はあった。

 刑務所に収監されている人間は、基本的に礼儀正しくなる。

 だから、看守に連れられてやってきた丸刈りのYも、

「入ります!」

 と、声を上げて俺たちの前に座った。

 俺の第一印象は、

(本当にX子はこんな種雄君とは真逆のタイプの男と付き合っていたのかな)

 と、いうものだった。坊主頭のYは何とも素朴な雰囲気で、X子のような派手で美人な女とは合わないように感じたからだ。

X子はどういう人物なのか

 俺がX子の調べ官をしていることを伝えると、

「ああ、そうですか。あの女は大変ですよ。したたかです」

 と、Yは言った。

 言葉遣いは丁寧で、ヤンチャをしていた男という感じもしない。

 俺は、まずはX子がどういう人物であるかを探ろうと思った。

「ああ。そうなんだ。まあ、それは気をつけるけど、彼女はどういう性格なの?」

「うーん……。気の弱いところもありますね」

 Yの供述は興味深いものだった。

 事件があった日、YはX子の自宅近くのコンビニに車で行き、手袋を買った。だが、遺体を見ることを躊躇して、そのまましばらくコンビニの前にいたという。手袋を購入したのは、遺体に触れることを考えたからだろう。

 その後、Yが部屋に到着すると、確かに種雄さんの遺体があった。X子の背中に血が付いていたため、「血が付いているから脱げ」と服を着替えさせた上で、「朝方になったら警察に電話をして、朝起きたら死んでいましたと言え」と助言したという。

秘密の暴露

 ところが、Yにとって予想外だったのは、朝までの数時間で隠蔽工作をしようとしていたとき、玄関から唐突に大きな物音がしたことだった。

 深夜3時過ぎのことである。

 そのときに現れたのは、種雄さんに貸したハイエースを取りに来た種雄さんの父親だった。2階の暗闇の中で横たわっている種雄さんに「そんなところで寝たら風邪をひくぞ」と声をかける。そして、電気を点けたところで種雄さんが死んでいるのを発見する。

 父親の登場に慌てたYは、子供部屋のカーテンに咄嗟に身を隠したという。

「突然来たからびっくりしましたよ」

 と、Yは「秘密の暴露」的な供述をした。

 種雄さんの父親は警察の調べに「玄関の鍵が開いていた」と語っていたが、それはYが部屋に入った後だったからである。

鬼畜ですね、あの女は。

 俺が宮崎に行ったとき、Yはこうした事件の日の出来事を、すでに「裏付班」の捜査員にしていた。だが、「カーテンの後ろに隠れていた」という供述は、俺が面会したときに初めて出てきたものだった。

「(種雄さんの)オヤジさんが来たとき、お前はカーテンの後ろに隠れてたんだな……」

 俺はベテラン捜査員の「推理」についても、あらためてYの反応を見るために聞いてみた。

「ナイフに粘着テープはなんで巻いてあったの?」

「種雄が覚醒剤をやってたからじゃないですか」

「あれはさ、たぶんX子がお前のことを犯人にするつもりだったんだよ」

「ええ! そうなんですか。鬼畜ですね、あの女は。でも、そういうところがありますよ、あいつには」

「へえ、そうなんだ」

〈 「クビとって飛ばしてやる!」木原誠二氏が妻の元夫“怪死事件”捜査に激怒→取調べ中止に…“伝説の取調官”が明かす《木原事件》の内情 〉へ続く

(佐藤 誠/週刊文春出版部)

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