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「詐欺師みたいなことを言って恥ずかしくないのか」木原事件の元取調官が警視庁を“痛烈批判”するワケ

文春オンライン / 2024年7月5日 12時20分

「詐欺師みたいなことを言って恥ずかしくないのか」木原事件の元取調官が警視庁を“痛烈批判”するワケ

積極的に発信を続ける佐藤誠氏

 2006年4月9日に発生した、木原誠二前官房副長官(54)の妻X子さんの元夫・安田種雄さんの不審死事件、通称「木原事件」。週刊文春23年7月13日号の報道で実態が明るみに出てからまもなく1年が経過するが、新たな展開を迎えた。

◆ ◆ ◆

佐藤氏が著書を著した3つの理由

 事件を巡っては警察庁の露木康浩長官が昨年7月13日の記者会見で「事件性は認められない」と発言。これに真っ向から反論したのが、元警視庁捜査一課サツイチ(殺人犯捜査第一係)警部補の佐藤誠氏(65)だった。佐藤氏は18年の再捜査時にX子さんの聴取を担当した元取調官。一連の捜査に深く関わってきた。

 23年8月3日号の週刊文春に佐藤氏は実名で登場。前出の露木発言に対し、「これは事件だ」と反論すると同時に、雑誌発売日の翌日には記者会見も開いている。

 その佐藤氏が6月25日、初の著書『 ホンボシ 木原事件と俺の捜査秘録 』(文藝春秋刊)を上梓した。

 18年の再捜査の詳細な過程と突然の中止の裏側、事件の重要参考人の中から消去法で“最後まで残る人物”の存在……。同書では佐藤氏の視点で事件が克明に綴られている。また、警察官を志した経緯や過去に手がけた事件など、佐藤氏自身のこれまでの歩みについても明かされる。

 同書を著した理由は「三つある」と佐藤氏は言う。

「第一の理由は、露木長官が『事件性は認められない』と大嘘を吐いたことと、警視庁の国府田剛前捜査一課長が『自殺で矛盾しない』と発言したこと。これにはカチンときました」(同前)

 第二の理由として挙げるのが「昨年の報道後の警察の遺族対応」だ。種雄さんの遺族は昨年10月、警視庁に刑事告訴状を提出。受理されたが、同年12月には「事件性なし」として検察に送付された。ところが、警視庁の担当者はこの際、「事件性なし」で送付したことを遺族に伝えていなかった。佐藤氏は憤る。

「警察は、再度説明を求めた種雄さんの遺族に『聞かれなかったから事件性がないと言わなかった』と言っている。そんなことはありえません。こんな詐欺師みたいなこと言って恥ずかしくないのか、と思った」

 同年12月、遺族が担当検事と面会した際、種雄さんの母は検事に土下座し、「大事な大事な私の息子だった」と捜査を懇願している。これが第三の理由だ。

「遺族が土下座したなんて話、聞いたことがありません。警察がやるべきことをやっていないだけなのに、なぜ遺族が土下座するのか。させたのは露木長官と国府田前捜査一課長です。こんなことは絶対に許されない。全てを明らかにすべきだと思い、本に事実を記すことにしたんです」(同前)

話を聞く必要がある4人の捜査関係者

 そんな衝撃の書を巡っては、発売前からある動きが。現在、事件の捜査は検察の手中にあるが、同書が“提出”されたというのだ。種雄さんの次姉が明かす。

「異動で新たな担当検事さんが着任し、その方と6月17日に面会しました。新しい検事さんからは冒頭、『じっくり、しっかり捜査していきたい』とお話がありました。『遺族からの要望があれば、公正公平な判断をするためにも遠慮なく言ってほしい』と。持参した『ホンボシ』を渡すと、『自分で買いますから』と最初は固辞されたのですが、最終的には『任意提出』ということで受け取ってくれました」

 今後の捜査の展望を佐藤氏はこう読み解く。

「検事さんは事件性があるかどうかを自分で確認したいと思う。そうなると、事件が発生した06年当時の解剖医や、なぜ自殺に傾いていったかを知る当時の捜査員に話を聞く必要があるでしょう。その上で、18年の捜査関係者を最低4人は呼ばないといけない。一人はX子さんの取調官をやった俺、捜査を指揮していた係長と管理官。そして、捜査を止めろと言った刑事部長。この4人に聞けば、大体の流れはわかります」

 種雄さんの母は今も捜査がいつまでかかるのかを考えると「体が震えて夜眠れない」という。遺族の思いに捜査が報いる日は来るか。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年7月4日号)

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