京大卒銀行員→安芸高田市長→都知事選2位に…石丸伸二氏(41)が「週刊文春」に明かしていた“ポスター未払い訴訟”への主張「非を認めて謝ってきたら全部払ってあげようと」
文春オンライン / 2024年7月8日 17時0分
![京大卒銀行員→安芸高田市長→都知事選2位に…石丸伸二氏(41)が「週刊文春」に明かしていた“ポスター未払い訴訟”への主張「非を認めて謝ってきたら全部払ってあげようと」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/bunshun/bunshun_71944_0-small.jpg)
石丸伸二氏 ©時事通信社
7月7日に投開票が行われた東京都知事選。3期目の当選を果たした小池百合子氏(71)に次ぐ得票数を獲得したのは、前安芸高田市長の石丸伸二氏(41)だった。政党の支持を受けず善戦した石丸氏とは、一体どんな人物なのか。
6月17日、石丸氏は「週刊文春」の電話取材に応じ、ある大物支援者の存在や、裁判での“連続敗訴”についてなど、多岐にわたる質問に答えていた。当時の記事を全文公開する。
初出:「週刊文春」2024年6月27日号
◆ ◆ ◆
「恥を知れ! 恥を!」
“居眠り市議”らに放った一言は広島の田舎町を全国区に押し上げ、市の公式YouTubeの登録者数は人口の10倍、約27万に到達。そんな前安芸高田市長が、都知事選に殴り込みをかける。石丸伸二氏。この男、一体、何者なのか?
安芸高田市出身、3人きょうだいの次男として育った
安芸高田市出身の石丸氏。父はバス会社、母はパート勤務で、3人きょうだいの次男として育った。
「幼稚園の頃から自分の意見を言える子で、頭も凄く良かった。でも友達を言い負かしたりするタイプではなかったんよ」(同級生の母)
県立高校に進み、同校から初の京大合格。仕送りナシ、奨学金とバイトで暮らす苦学生で、「安定して稼ぐ」と三菱東京UFJ銀行(当時)に就職。アナリストとしてNYにも駐在した。
銀行を退職し、市長選に出馬
転機は2020年。河井克行元法相から現金を受け取り、当時の安芸高田市長が就任僅か3カ月で辞職したことだ。副市長が無投票で次期市長に選出見込みとの報道に「おかしい」と感じ、銀行を退職。東京から故郷に舞い戻って出馬した。
「何の準備も無いっていうから無理よって。でも演説も巧いし、1週間で風向きが変わってね」(支援者)
着任早々、公約の「政治再建」はフルスロットルだった。採算の悪い公共施設を短期間で次々廃止。小中の給食費無償化など、若年層向けの施策に注力した。
「特に注目を集めたのが、議会とのバトルです。高齢市議の居眠りをSNSで指摘すると、〈(議会から)敵に回すなら政策に反対するぞ、と説得?恫喝?あり〉とも投稿。この騒動以来、反石丸派の市議はネットに誹謗中傷を書き込まれるなどの被害に遭っています」(安芸高田市議)
在任中の裁判で“連続敗訴”を経験
だが、威勢よく相手を論破していくイメージとは裏腹に、実は在任中の裁判では“連続敗訴”も経験している。1つ目は「恫喝」の犯人だと名指しされた女性市議が、名誉毀損で市長や市を訴えた裁判だ。
「女性市議はその状況を録音した音声も証拠提出。地裁は昨年12月、『恫喝発言』は認められなかったとして、市に対し、33万円の賠償を命じた。双方が控訴しています」(市政関係者)
2つ目は、20年の市長選まで遡る。
「ポスターを制作した印刷業者が、未払いの残金約73万円を請求して石丸氏を訴えた。石丸氏は、公費負担分の約35万円を代金とする合意があったとの主張ですが、業者が赤字になって請け負う理由は乏しいなどとして地裁、高裁で敗訴。最高裁に上告しています。判決文によれば、この印刷業者は石丸氏の妹の勤務先。妹の会社とくらい丸く収められないのか……との声も出ています」(同前)
こうした訴訟を抱えながら、都知事選に突き進む石丸氏。後援会長を務めるのは、安倍晋三元首相と近いとされた“大物経営者”だ。
「ドトール創業者の鳥羽(とりば)博道氏(86)です。安倍氏とはゴルフ仲間で、ハワイに作った大きなコーヒー農園には昭恵夫人も招待していました」(政治部記者)
鳥羽氏はこう語る。
「石丸さんは馴れ合いも妥協もない。談合や金で歪められた政界で、清廉な川を泳ぐ鮎のような青年だと思った。彼が勝てば政治が変わる。振り返ると、安倍さんも公私混同しすぎたしね」
電話取材に応じた石丸氏が語ったことは…
果たして、当の石丸氏はどう答えるのか。6月17日夜、街頭演説後に電話で約40分間、取材に応じた。
「若干喋り疲れてますけど、大丈夫です(笑)」
――市政には賛否両論ある。
「政策が進まなかったとか、サービスが増えなかったっていう人がいたけど、一方で、増えたって言ってる人がいた時点で前者の意見は全否定される。だから、サービスが増えたっていうのがファイナルアンサーで」
――給食費の無償化など。
「やりました。もっと自慢した方がいいのかな。例えば、明石の泉(房穂)さんとか凄く自慢するじゃないですか。あの感覚凄いなと思うんですよ。盛りすぎでしょみたいな。重視しているのは、未来への投資。そこに予算を向ける。未来に責任を持たないといけないじゃないですか、僕たち」
ドトール創業者・鳥羽氏からは“手紙”が届いた
“元アベ友”の鳥羽氏との関係について尋ねると、
「凄い方です。これ、釣ったんじゃないんですよ。釣られたというか。5月下旬に市役所に手紙が届いたんですよ。ドトールから。開けてみたら『応援してるから頑張れ』って。で、会いに行ったっていう」
――金銭的な支援は?
「個人から出せる範囲で出して頂くというのはありますけど、年150万円までなので。その範囲ならいいですけど、何よりも借りてるのは名前ですね。ドトールを知らない人って、いないですよね。しかも創業者です。あ! 実は手紙に書いてありました。『応援するけど、一切見返りを求めるものではない』って」
では、裁判での“連続敗訴”についてはどうか。
「言い訳するから、裁判で白黒つけるしかない」
――地裁は音声などを踏まえ、市議の“恫喝発言”は認められなかったと。
「あの音声の前に、一方的に向こうが言ってるシーンがあったんです。5分か10分。(恫喝は)そこですよね。だって(証拠提出された)あのトーンだったら僕、何も思わないですよ。さすがに恫喝されたとか言わない。ただ、(市議は)『私の言葉足らずだった』と言い訳している。なぜ、そこを真実相当性として取り上げないのか」
――ポスター未払い訴訟については最高裁に上告したようだが、結果は?
「まだ出ていない。僕としてはどうでもいいんですけどね。単に契約する際にミスがあったっていう。このミスはお互い様なんですけどね。向こうが公費負担の金額をわかってなかった。正直、向こうが非を認めて謝罪したら全部払ってあげようと思ってたんですよ。ただ、言い訳するから、裁判で白黒つけるしかない。
別に払いたくないわけじゃないです。お世話になったのは事実なので。ただ、プロとして(金額の)確認をしなかったという事実がありますよねって言ったら、それを認めないんです」
好戦的スタイルの石丸氏だが、市長就任以降、自身に寄り添うパートナーはいないのか。
「この4年間は、彼女はいないですね。完全一人暮らしですよ。パートナーがいないからできること、出会う人っているじゃないですか。こういう感じでやってこれたのは、間違いなく独り身だからだと思います」
――都知事選の勝算は?
「一つ一つ手順を進めるごとに勝利の絵は、リアリティを帯びてきたように感じます。与野党ともにオワコンを温め直したってそれはオワコン。女性、女傑対決とかって古い。90年代のドラマとか、キムタクとか出てる感じですよ(笑)」
若者たちのHEROになるのか、それとも――。
◆ ◆ ◆
現在、「 週刊文春電子版 」では、都知事選の直前に行った石丸氏への40分にわたるインタビューの全文を配信している。石丸氏は、連続敗訴への受け止め、有名創業者との出会い、維新との関係、恋人の有無などを詳しく語っている。
〈 石丸伸二氏に“ある大物経営者”が不愉快になった瞬間「常識では考えられない」「彼は市長時代から…」〈都知事選で小池百合子氏に次ぐ2位に〉 〉へ続く
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年6月27日号)
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