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「380円のデザートを10人で分けて…」“ラーメン屋でラーメンを頼まない”ヤバい客の実態を店主のプロレスラーが赤裸々証言

文春オンライン / 2024年7月17日 11時0分

「380円のデザートを10人で分けて…」“ラーメン屋でラーメンを頼まない”ヤバい客の実態を店主のプロレスラーが赤裸々証言

写真はイメージです ©moonmoon/イメージマート

 東京都世田谷区でラーメン屋「麺ジャラスK」の店主を務める、プロレスラーの川田利明さん。10年続く店はたった1割といわれるラーメン業界で生き残り、今年で14年目を迎える。

 そんな川田さんは「ラーメン屋は絶対にやらないほうがいい」と言うほど、苦労を味わったという。いったい彼は、ラーメン屋店主としてどれほど過酷な経験をしたのか――。ここでは、著書『 プロレスラー、ラーメン屋経営で地獄を見る 』(宝島SUGOI文庫)より一部を抜粋して紹介する。(全2回の1回目/ 2回目に続く )

◆◆◆

ルールをつくらざるを得なくなった理由

「必ず最初にラーメンを人数分、注文してください」

 これはひとつの例なんだけど、ウチの自動券売機にはさまざまな注意書きがベタベタと貼りつけてある。

 これまでも、俺はいろんな「ハウスルール」をつくってきた。その度に「食べるものぐらい客に決めさせろ!」「どうして店にいちいち指示されなくちゃいけないんだ!」とネットなんかで叩かれまくった。たしかにそんなルール、つくらないのに越したことはない。でも、そうせざるを得なくなった理由はたくさんある。

 冒頭に掲げた「必ず最初にラーメンを人数分、注文してください」というルールは、つまるところ、お客さんへの提供時間をなるべく早くしたいからだ。

 これは自分で店を始めてから学んだことだけど、ラーメンが好きな人たちって、店の前で1時間でも2時間でも平気で並べるのに、いざ店に入って席に座ると、不思議なもので、そこで待たされることに我慢できない人が多い。ほんの5分、10分の話なのに、とにかく早く出してほしいと願うのだ。長く並んだ分、お腹も空いてくるからすぐに食べたいんだろうね。その希望がわかったので、じゃあ、なんとかしてお客さんに早くラーメンを提供しよう、と考えるようになった。

通常の営業時に店内の一部を閉鎖したワケ

 ひとつの工夫として、厨房から離れた店内の一部にカーテンをかけて、そのスペースは通常の営業時には閉鎖するようにした。そこまでお客さんが入ってしまった場合、どうしても提供するまでに、時間がかかってしまうからだ。

 目先の利益だけを考えたら、どんどんお客さんを詰め込むべきなんだろうけど、結果として、それがお客さんにとって「注文からの待ち時間が長い」というストレスになってしまうのであれば、その要因はこちらで排除すべきだ、と判断した。

 お酒を飲みながら、おつまみも食べて、シメにラーメンを食べたい、という方もたくさんいるけれど、最後の最後にオーダーされてしまうと、どうしても待っていただく時間が長くなる。つまり、お客さんが食べたいタイミングでラーメンを提供できなくなってしまうので、それを避けるためにも、まずラーメンをオーダーしていただいて、お酒とおつまみのあとのシメで食べたいのであれば、その順番で出します、という形を取るようにした。ウチではラーメンの単価がいちばん高いという理由もあるけどね。

「行列のできるラーメン店」の演出

「俺がひとりで厨房を回している」という、こっち側の都合からできてしまったルールではあるけれども、最終的にはお客さんがストレスなく食事ができることを念頭に置いていることだけは、わかっていただきたい。

 実はラーメン店ではこの状況を逆手に取ることが多い。

 提供時間が長くかかれば、当然のことながら客席の回転は悪くなる。結果、待っているお客さんが店の外に並ぶようなことになる。いわゆる「行列のできるラーメン店」の何割かは、このトリックを使って、あえて行列を演出しているのだ。

 これも立派な戦略だと思うし、「行列」は店にとって最高の看板になるので、多少、回転率が悪くなっても、最終的には損はしないだろう。

380円のデザートを頼んで、それを10人で分けた客も…

 ただ、これは有名人の店の性(さが)なのか、ウチの場合、あまりお客さんは並んでくれないのだ。これは「俺が常に店にいる」ということをアピールしているからかもしれないけれど、「すみません、今は満席です」と言うと、たいがいのお客さんが「じゃあ、また今度来ます」と並ばずに帰ってしまう。

「いつ来ても、川田選手はいるんでしょ?」

 だったら、わざわざ今日並ばなくても、今度、空いていそうな時にまた来ればいい、ということらしい。このあたりはなんとも難しいところだ。

 もうひとつの理由としては、安いサイドメニューだけ頼んで長居をするお客さんが少なからずいるため「必ずラーメンを注文してください」とお願いしている。もちろん自慢のラーメンを食べてほしいという気持ちもあるんだけど、居酒屋感覚で来られてしまうと困る、というのが本音だ。

 極端な例では、380円のデザートを頼んで、それを10人で分けて食べる、ということが実際にあった。ひとり頭38円だ!

 こういったケースの多くは俺のファンだった人で、あれこれ話をしたいから、カウンターに座って、けっこうな時間、粘られる。それをやられてしまうと、文字どおり、こちらとしては「商売あがったり」だ。いちいち注意して、お互いに嫌な気持ちになるぐらいだったら、最初からルールを決めてしまったほうがいい、というのが俺の考え方です。読者の皆さんには想像がつかないかもしれないけど、飲食の商売をやっていると、信じられない言動をする人が来るのだ。

〈 ラーメン屋に来た“自称グルメのヤバい客”が突然「この店のラーメンはまずい!」と連呼…そのとき、店主のプロレスラーが取った“思わぬ対応” 〉へ続く

(川田 利明/Webオリジナル(外部転載))

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