「かつてはチームよりも…」男子バレー・石川祐希(28)が”ワガママな選手”から脱却したワケ
文春オンライン / 2024年7月27日 7時0分
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田中氏の著書「日本男子バレー 勇者たちの軌跡」
日本時間7月1日、世界上位16カ国が参加するネーションズリーグで史上初となる銀メダルに輝いた男子バレー日本代表。主将でエースの石川祐希(28)はチームの精神的支柱だが、過去には“自己中”だった時代があった。「 日本男子バレー 勇者たちの軌跡 」(文藝春秋)の著者でフリーライターの田中夕子氏が綴る。
◆◆◆
石川の己を貫く強さ
銀メダルの立役者は間違いなく石川だった。決勝では優勝したフランスの徹底マークに屈し、ブロックされる場面もあったが、前日の準決勝ではスロベニアを相手にチーム最多の21得点を挙げた。
愛知県岡崎市の出身で、星城高ではインターハイ、国体、春高を2年連続で制する前人未踏の6冠を成し遂げた。2014年には日本代表に初選出され、同年準優勝したアジア競技大会にも出場。同年8月にはイタリア、セリエAのトップクラブであるモデナと契約。中大に在学しながら、大学、イタリア、日本代表と活躍の場を広げてきた。
高さで勝る相手に対峙し、スパイク技術を磨いた。スピードもさることながら、相手のブロックが揃った状態では無理に勝負せず、あえてブロックに当てて再びチャンスボールにして切り返す。状況判断が磨かれたのは間違いなくイタリアに渡ってからで、同時に、プロ選手ばかりが集まる世界で己を貫く強さも育まれた。
確かな努力で習得したイタリア語
著しい進化を遂げたのは語学力も同様だ。石川自身、
「意思疎通を図るためだけでなく、試合に出るためには監督の意図を理解しないといけない。そのために必須だった」
と語るように、テレビで耳を慣らし、日常会話の中でわからない単語をメモして調べる。感覚ではなく、確かな努力で習得したイタリア語は現地人と遜色ないレベルだ。
プレーで見せるだけでなく、言葉でも自分がどうしたいか伝え、何を求めるかを主張する。アスリートとしてごく当たり前の貪欲な姿勢だが、東京五輪を迎えるまでと今を比べると様相が異なる。
ベストパフォーマンスを発揮することを第1に
かつての石川は「チームとしてどう戦うか」よりもまず「自分のパフォーマンスがいかに発揮できるか」を優先した。試合中も、自分が欲しい時に望むトスがあがって来なければタイムアウト時やコートの中で床を叩いて怒りや不満を露わにし、上級生であっても「トスをください」と迫ることもあった。
よく言えばプロ意識の高さゆえではあるが、我を通すあまりワガママにも見える。そんな振る舞いに変化が生じたのは、東京五輪で主将に就任してからだ。
ボールをつなぐバレーボールは、チームスポーツの中でも「和」を重んじる。その主将といえば、重圧もありながら献身的に振る舞うイメージが先行するが、むしろ「主将」という責務が、石川を解放した。
「あくまで僕の考えとして、チームの中心、象徴ともいうべき存在がキャプテンです。だから、キャプテンが責任を背負う。言うなればすごくシンプルだな、と。キャプテンになる前も、今も、自分のベストパフォーマンスを発揮することを第1と考えるのは変わりありません。でも自分がキャプテンになってからのほうが、責任の所在がハッキリできる分、人のせいにすることなく、矢印を自分に向けられる。そのほうが僕は楽だし、すごくやりやすくなりました」
パリ五輪での目標は、メダル獲得
試合前の入場時には、誰より早くコートに入り、選手を迎える。1人1人とハグをして円陣を組み、試合が始まれば、ここぞという場面で点を獲り、自らや周囲を鼓舞するべく、吼える。昨年のパリ五輪予選最終戦でも同じだった。その理由を、石川はこう語った。
「今日戦っていたメンバーの中には、吼えて流れを持ってくるキャラクターがいなかったので、そこは僕が入って、雰囲気を少しでも持ってこようかな、と。意識して、吼えました」
勝つために何をすべきか。自身のパフォーマンスを引き出すべく発するエネルギーが、周囲をも引き上げる。石川に続いて海外へ渡り、日本代表の中心選手へと成長した髙橋藍や西田有志といった若い選手たちの存在は、まさにその証明でもある。
強き主将がいる日本代表のパリ五輪での目標は、メダル獲得。ミュンヘン以来52年ぶりの金メダルも、決して夢ではない。
(田中 夕子/週刊文春 2024年7月11日号)
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