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なぜトランプは生き残ることができたのか? 不肖・宮嶋がみたシークレット・サービスのヤバすぎる実態

文春オンライン / 2024年7月16日 6時0分

なぜトランプは生き残ることができたのか? 不肖・宮嶋がみたシークレット・サービスのヤバすぎる実態

©時事通信

 日本時間7月14日、ペンシルベニア州で開催された集会の演説中、D・トランプ大統領候補が銃撃された。トランプ大統領候補は右耳を負傷、不幸にも集会参加者の1名が死亡、さらに2名が重傷を負った。

 容疑者は20歳の現地在住のトーマス・クルックス容疑者と特定され状況や遺留物から使用された凶器はAR-15ライフル、短時間で8発発砲、そのうちの一発がトランプ大統領候補の右耳の上を貫通し負傷させ、さらに別の一発が集会参加者を死に至らしめ、さらに少なくとももう2発がおなじく参加者を負傷させた。

ゴルゴ13と同じ銃器を持っていた容疑者

 AR-15は、アメリカで頻発する銃乱射事件でたびたび凶器として使われる半自動ライフルである。口径は5.56mm。米軍、自衛隊の小銃と同じ弾丸を使用する日本では、民間人が現在手に入れることができない強力な武器である。容疑者の父親がそれを合法的に購入したそうであるが、AR-15は、最初のアルファベット2文字のARはアーマライト・ライフルの略で、日本人にはゴルゴ13がメインに使用する武器と言えば想像つきやすいくらいかなりものものしい外見である。

 今回の犯行現場となった会場のたとえ外、120m離れた場所といえどもかなり目立ったはずであるが、シークレット・サービスの目からどうやって隠れたのかは、いまだ明らかになっていない。

 口径は小さいとはいえ、拳銃弾よりはるかに殺傷力と命中率が高いライフル弾が耳をかすったのである。数センチずれれば致命傷になっていたはず、犯人の殺意は明らかであろう。また、あの群衆に向かってである。この犯人の放った弾がトランプ大統領候補に当たろうと外れようと集会参加者に流れ弾が当たると承知で犯人は8発も弾いたのである。犯人はこの暗殺が成功しようが失敗しようが、アメリカでは直ちに射殺されるのも覚悟しとったはずであろう。

 大統領や要人を守るシークレット・サービスや各国スナイパーを、不肖・宮嶋は日本はじめヨーロッパ等で何度か間近に見たことがある。

不肖・宮嶋が見たシークレット・サービスの全容

 シークレット・サービス。その名に反し、秘密裏に警護対象者の周りに身を潜める警備体制でなく、屈強な警護要員がこれ見よがしに幾重にも警護対象者や群衆を取り囲む。

 当初は、財務省所属のエージェントたちであったが2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降は国土安全保障省に移管された。2017年11月、米軍横田基地に舞い降りた当時のトランプ大統領とそれをとりまくシークレット・サービスを身近に見る機会を得た。東京都下にある米軍基地でありながら地元警視庁やMP(ミリタリーポリス=憲兵隊)よりブイブイ言わせていたのがシークレット・サービスであった。キャデラック・ワンともビーストとも呼ばれる大統領専用車から大統領の同じ血液型の輸血装置まで装備した救急車。

 そしてNBC(核・生物・化学)兵器にも対応できる特殊車両にエアーフォース・ワンとも交信できる衛星通信特殊車両等を世界中のどこにでも運びいれてくるそのロジ(兵站)に輸送能力だけでもすごいのに、エージェントのスキルやその訓練もえぐいという。何ちゅうても世界最強の権力者をまもるためなら群衆の中でもためらわず銃を抜く。また銃器の持ち込みはその国の主権の侵害にあたるのを承知で、アメリカ国内と同じ装備を持ち込むのもためらわない。

 米軍基地内のみならず、歴代の米大統領の訪日時には時折、日本では持ってはいけないはずのAR-15の軍用版とも言えるM4を構えるエージェントが目撃されているし、不肖・宮嶋も2019年6月大阪で開催されたG20サミットの歓迎夕食会が行われた大阪城西の丸庭園がら少し離れた大阪城天守閣に、ライフルケースを担いで上りそこで待機するシークレットサービス・エージェントとおぼしき男たちを撮影したことがある。

 この日も「SECRET SERVICE SPECIAL AGENT」と刻まれたバッヂを腰に付けた屈強な男たちや女性がトランプ大統領を取り囲み、カーゴローダーの一段高いポイントでは「SECRET SERVICE」のパッチを背負ったスナイパーがスポッター(観測手)とともに非常事態に備えていた。

 足下にはSR-25スナイパーライフルにそれより一回り大きなのはカタログでも見たことない50口径だろうか、大型長距離狙撃銃が置かれていた。スナイパーのバディ(相棒)観測手の手にも軍艦の艦橋に据えられているような巨大な双眼鏡が握られている。

 今回の銃撃事件でも犯人を直ちに射殺したのもこのシークレット・サービスのスナイパーと言われている。それでも警護対象者のトランプ候補や集会参加者は撃たれ、参加者の1人は亡くなった以上この日の警備は大失敗なのである。警護対象が軽傷で済んだから良かった良かったとはならんのである。

熟練のスナイパーにとって120mは「至近距離」

 米海兵隊のスナイパーは最大800mの距離でのワンショット・ワンキル(一発必中)を求められるという。要人暗殺がメインの軍のスナイパーと人質救出のためにその背後の犯人だけを射殺する場合も予想される警察のスナイパー、要人警護のためにその危険を排除するためのシークレット・サービスのスナイパー、目的は違ってもおそらく海兵隊と同じく800mくらいまでの距離で一発必中の訓練を受けているのではないやろか。

 そんな訓練を受けたスナイパーにとって120mは「至近距離」も同じである。それで犯人が8発も発砲するまで気が付かんかったとしたら、スナイパーとしたら大失態であろう。

 今回のトランプ候補銃撃事件が11月に行われる大統領選に与える影響は大きくなるのは国際政治に疎いワシでも想像に難くない。アメリカでの銃規制に反対するNRA(全米ライフル協会)の支持を受けたトランプ候補が銃犯罪の被害者となろうと銃規制に賛成する側に回るとは思えん。

 だが先月のテレビ討論会での弱弱しく見え、演説中も人名をたびたび言い間違えた現バイデン大統領に比べ、顔面に流血しながらもこぶしを振り上げるトランプ候補の姿はアメリカ国民が好む強いリーダーと見えたはずである。

(宮嶋 茂樹)

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