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石丸伸二の紫は「不良」「性的な魅力」、蓮舫の黒とピンクは「やや閉塞感」、小池百合子の緑は…印象戦略コンサルタントが解説する、都知事選の印象を決めた“色選び”

文春オンライン / 2024年7月17日 11時0分

石丸伸二の紫は「不良」「性的な魅力」、蓮舫の黒とピンクは「やや閉塞感」、小池百合子の緑は…印象戦略コンサルタントが解説する、都知事選の印象を決めた“色選び”

©時事通信社

「小池百合子さんは“イメージ戦略”においても、都知事選で他を圧倒していました」

 そう語るのは、印象戦略コンサルタント・神戸情報大学院大学客員准教授の乳原佳代氏だ。1960年のアメリカ大統領選挙でケネディーがニクソンを破ったのも、「テレビ映り」と「若々しさ」を強く打ち出したイメージ戦略ゆえだという。

“選挙に強い小池”はいかにして作られたのか。蓮舫氏、石丸伸二氏に欠けていたものは何だったのか。「色」やスカーフに込められた小池氏の「嫌われない」技術とは。

▼▼▼

東京は「小池百合子のイメージカラー」で溢れている

 視覚情報として強く印象に残る「色」は、選挙においてものすごく重要です。皆さんご存知のとおり、小池さんのイメージカラーは緑。色彩心理学的にいえば、木々を連想させる爽やかな色味で、そのうえ主張しないため万人に好まれます。

 しかしながら、都知事選ではこの緑がとても「雄弁」に働くのです。東京都のシンボルマークを思い浮かべてください。そう、緑ですね。小池さんは「東京都」そのもののイメージカラーを自身の色として起用しているのです。

 私たち都民は、都の建物、広報、そして防災服に至るまで、「緑のマーク」に囲まれて暮らしています。それらや街の緑を見かけるたび、知らず知らず小池さんを連想しているとも言えるでしょう。しかも日常的に見慣れている色ですから、安心感をも覚えるのです。

 米・プリンストン大学の研究によれば、選挙ポスターはわずか「0.1秒」で見る人に判断されるといいます。「小池百合子氏=緑」の方程式が根付いた都民からすれば、小池さんの緑のポスターは、他のどの候補者のものよりも瞬時に認識できます。都知事選開幕のずっと前から、私たちの日々の暮らしそのものに、小池さんの“イメージ戦略”が息づいていたのです。

石丸氏の「紫」は「不良」&婚活カラー?

 今回、躍進した石丸伸二さんのイメージカラーは紫でした。緑と違って主張が激しく万人受けしないので、驚いたのが正直な感想です。しかし、やや濃度を薄めた藤色は、涼やかで高貴な印象に加えて、女性に性的な魅力を感じさせるともいわれ、婚活でも活躍する色です。女性票獲得に功を奏したと言えるのではないでしょうか。

 一方で、石丸さんのチラシに使われていたビビッドな紫は「不良」を象徴する色です。「既存の政治を変える」という孤高な印象を後押ししており、都政に変化を求める若い世代を惹きつけた一因とも考えられます。

 蓮舫さんのポスターは黒をバックにピンクのR。やや閉塞感のあるカラーリングですが、インパクトは強く、若い世代への親和性を感じました。小池さんは安心感のある緑としなやかな字体、蓮舫さんはビビッドなカラーと力強いゴシック体と、現職との対比を意識したポスターに見受けられました。

 ちなみに、選挙ポスターに「真正面」で写っていたのは小池さんだけ。肩が広く見えるぶん貫禄が出ますし、有権者に真っ直ぐ向き合い「開示」をしている印象も感じられました。

高価なジュエリーでなくアクセサリーを使う主婦感覚

 小池さんはスーツをすらりと着こなす印象があり、ベストドレッサー賞も受賞されています。かっちりした高級な装いで威厳を発揮するのではなく、私たちも背伸びすれば手が届く価格帯の市販やセミオーダーのものを選んでいるのがポイントです。

 しかもセットのジャケットとタイトスカートを別々に合わせ、着まわしているのです。今回の都知事選でも前回の選挙で見かけた服を着用されていました。暑かったせいもありますが、素材も麻など柔らかいもので、有権者との距離がより一層縮まる印象でした。

 さらに言えば、炎天下でポロシャツ姿になる候補者も多かったなか、ジャケットを羽織っていたのは有権者への敬意ととれますし、選挙の先の「知事たるもののイメージ」を周囲に示していたようにも思います。

 また高価なジュエリーでなくアクセサリーを使うなど、私たちの感覚にほど近いものをお召しで、まさに主婦感覚そのものを体現しています。これは小池さんが女子校出身で、当時から敵を作らず、良好な友情を築くように努めてこられたからだと1回目の選挙の際に関係者に伺いました。隙のある装いで同性に親近感を抱かせ、ラポール(信頼関係)を築き、味方を増やしていく戦略です。

揺れるスカーフの4つの効果

 そして、小池さんはどんな服装の時も必ずと言っていいほどスカーフを巻いています。

 その効果は(1)同じ洋服を着回していても、スカーフを変えることで別のスタイルに見せられる、(2)ジャケットスタイルを柔らかい印象にできる、(3)カジュアルな丸首インナーの格を上げられる、(4)顔まわりを自由自在に引き立たせられるなど様々。

 そして人は動くものに視線がいくので、ジャンヌダルクの旗のように、群衆を扇動するリーダーシップも発揮することができるのです。

乳原佳代(印象戦略コンサルタント・神戸情報大学院大学客員准教授)
大阪府出身。航空会社退職後、英国ロンドンシティーリットでコミュニケーションを学ぶ。帰国後、印象戦略コンサルティング会社キャステージを起業。危機管理の観点から、行政や大手企業で演説トレーニングや服装戦略を手掛ける。麹町中学校「制服等検討委員会」アドバイザー、週刊文春「Catch Up」にて各国首脳を始め王室・皇室のファッションについてコメント。著書に『学校でも会社でも教えてくれない 「見た目」の教科書』(ダイヤモンド社)。9月24日(火)NHKカルチャー梅田教室にて「大統領選挙に見る印象の重要性」開催。
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1300499.html

〈 石丸伸二の前髪、蓮舫のユニセックス…“イメージ戦略”でも敗れた2人と、「脚組み」まで披露した巧妙すぎる小池百合子の差 〉へ続く

(乳原 佳代)

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