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「中学生でそんなことも知らないの?」“栃木の山中にポツンとある実家”で育った井上咲楽(24)が、中学時代に初めて経験したこと

文春オンライン / 2024年7月20日 11時0分

「中学生でそんなことも知らないの?」“栃木の山中にポツンとある実家”で育った井上咲楽(24)が、中学時代に初めて経験したこと

井上咲楽さん ©山元茂樹/文藝春秋

『新婚さんいらっしゃい!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)を始め、数多くのバラエティ番組で活躍する、タレントの井上咲楽さん(24)。今年に入ってからは、NHKの大河ドラマ『光る君へ』への出演や、YouTubeチャンネルの開設、レシピ本『 井上咲楽のおまもりごはん 』(主婦の友社)の出版など、バラエティ以外での活動も注目されている。

 そんな井上さんが芸能界への憧れを強くしたのは、小学生時代。「人見知りで目立たなかった」という彼女がなぜ、華やかな芸能界を目指すようになったのか。井上さんに子ども時代の素顔やデビューの経緯などを聞いた。(全3回の1回目/ 2回目に続く )

◆◆◆

文集のなりたい職業に「アイドル」と書いたらバカにされて…

――テレビの井上さんは、明るく快活な人というイメージですが、子どもの頃からクラスの人気者みたいな感じだったのですか。

井上咲楽さん(以下、井上) いや、かなりの人見知りで、小学生時代は、休み時間に1人で図書室にいました。

 クラスには、人気のある1軍グループとかあるじゃないですか。私は幼稚園の頃からテレビに出たいと思っていたので、1軍に入って目立ちたい、人と違う存在になりたい、という欲がすごく強かったんです。でも、クラスに馴染めないし、友だちもできない。授業の時は手を挙げず、学級委員になりたいと思うタイプでもなく、不器用で目立たない子でした。

――でも、テレビには出たい。

井上 そうですね。小学2年生の時、将来の夢を文集に書いたんですけど、なりたい職業にアイドルって書いていました。当時、NHKのEテレで、子ども向けの料理番組『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』を見て、「テレビに出る人のことを『アイドル』っていうんだ」と思っていたんです。

 だから、テレビに出たいという意味でアイドルになりたいと書いたんですが、その文集がクラスで公開された時、みんなに「いつからアイドルになりたいんだよ」「おまえがアイドルか?」と、すごいバカにされて。こんな恥ずかしい思いをするなら絶対に言わないようにしようと思って、それ以降は、中学生になるまで夢を封印しました。

「テレビに絶対に出る」と思っていた意外な理由

――なぜ、そこまでテレビに出たいと思ったのですか。

井上 当時、『アイ!マイ!まいん!』に出ていた私と同年代の福原遥さんが、すごく楽しそうだし、キラキラ輝いていて、羨ましかったんです。それに比べて、自分は全然遠いところにいるように感じて、「自分もあんな風になりたい、だったら私もテレビに出るしかない」と考えて。

 子どもの憧れなんて、普通はそう思うだけで終わると思うんですけど、当時から私は、簡単に引きそうに見えて実は図々しいぐらい頑固で、絶対にこれって思ったものは手に入れる、みたいな性格だったんです。だから、テレビにも絶対に出る、と思っていました。

頑固さが発揮された小学生時代の席替えエピソード

 井上さんの頑固さは、筋金入りだった。それが顕著に表れたのが、小学生時代の席替えだという。くじを引いた人から好きな席を選べることになったが、クラスのボス的な存在の子が「私は、この席がいい」とくじ引き前から言い張り、クラスメイトにプレッシャーを掛けていた。しかし、その子と同じ席を希望していた井上さんは、くじを引いて最初にその席を選ぶ権利を得ると、何を言われても譲らなかったそうだ。

――当時、クラス中の空気が凍り付いたりしませんでしたか?

井上 みんな、「えぇー?」みたいになりましたね(笑)。でも、「あいつ、いつもはすごい遠慮がちだけどよく行くなー」という感じでも見られて。

 もちろん、くじ引きをした結果、その子がその席になるのはいいんです。でも、私がくじ引きでその席を選べて、自分でもそこに座りたいと思っているのに、その子に忖度するのは変じゃないですか。私、普段は優柔不断で曖昧なんですけど、ここって思った時の執着心というか、好きなものは譲れないという気持ちは、当時から強かったです。

学校で目立つための作戦を立てていたが…

――学校で目立つために、自分の良さをアピールする場はあったのですか。

井上 運動会とかで目立つ作戦は立てていたんですけど、短距離とかリレーは足が速くないので難しかったですね。唯一、目立てたのがシャトルランでした。短い距離を走って、回数を重ねていくごとに脱落者が出て人数が減っていくんですけど、最後の方まで残る人には、みんなが応援してくれるんです。

 だから、シャトルランなら注目されると思って、心肺機能を高めて長距離の練習をしました。それで最後まで残ると、「井上、すごいな」「あいつ、シャトルラン、こんなに強いんだ」と言われるのが快感で、気持ちよくて(笑)。そのために頑張るみたいな感じで、ひねくれた目立ち方をしていましたね。でも、これがのちにマラソンをする際、すごく活きた感じがします。

バレー部に入った影響で性格が一気に陽気に

――中学生時代も目立たない感じだったのでしょうか。

井上 いえ、中学は性格がガラッと変わってオープンになり、それまで陰気な性格だったんですけど、一気に陽気になって、いわゆる中学デビューみたいな(笑)。

 バレー部に入った影響が大きかったです。部の仲間たちがすごく明るくて、思ったこと、やりたいことをすぐに口に出して話をするんですよ。そういう人に囲まれているうちに、自分も明るくなっていって。

 小学校時代に文集でバカにされてからテレビに出たいとか言わなかったんですけど、中学でバレー部のみんなに出会ってからは「テレビに出たい」と口に出して言うようになりました。

――テレビに出るための自分の強みとかは考えていたのですか。

井上 その頃の私は、自分のことをおもしろいと思っていました。例えば、私は栃木の山の中にある家に住んでいたので、コンビニのおにぎりとか食べたことがなかったんですよ。開け方もわからないから、中学時代に初めて食べたとき、海苔がぐちゃぐちゃになってしまって。

 それを見たバレー部の子たちが「中学生で食べたことないの?」「中学生でそんなことも知らないの?」って笑いながら言うので、「私っておもしろいんだ。だったら芸人になりたい」と思うようになったんです。でも、それは笑いを取ったのではなく、ただ笑われていただけ、ということにあとで気づいて、かなり落ち込みました。

オーディションで披露した物まねの内容とは?

――そこからどうやって芸能界に入るのですか。

井上 芸人がダメなら、次は何が自分にできるのかって考えた時、女優かなと。ほんと失礼なんですけど、演技だったら台本もあるし、すごく努力すれば自分にも1mmぐらいは可能性があるかなって当時は思ったんです。今、考えると本当に浅はかでバカみたいな考えなんですけど。そういう風に思っていた中で、ホリプロタレントスカウトキャラバンに出ることになりました。

 2015年、15歳の時、第40回ホリプロタレントスカウトキャラバンに応募し、井上は特別賞を受賞した。最終審査で披露したのは、歌でもダンスでもなく、物まねだった。

――具体的には何を披露されたのですか。

井上 クレヨンしんちゃんとか、Mr.ビーンの物まねです。Mr.ビーンは、DVDとか借りてきて研究しました。友だちにはかなりウケたんですけど、会場ではぜんぜんウケなくて……。Mr.ビーンをやったということで拍手をいただいたんですけど、たぶんぜんぜんおもしろくなかったんだと思います。

 その後、審査員の方に「何になりたいんですか?」と聞かれたので「女優になりたいです」と答えたのですが、その瞬間、場の空気がすごいことになっていました(苦笑)。

眉毛の太さでそんなに驚かれるなんて

――でも、なぜMr.ビーンだったのですか?

井上 最終審査の前までは、前髪をおろした状態でオーディションを受けていたんですよ。でも最終審査に残ったとき、スタッフの方に「カメラテストをするから、カメラの前で前髪を上げて、顔が良く見えるようにして一周してください」って言われたんです。

 だからその場で前髪を上げたら、審査員の方々が「すごい眉毛だね!!」ってビックリしていたんですよ。田舎に住んでいて、東京にもこのくらいの人はいるだろうなって思っていたので、まさかそんなに驚かれるなんて思ってもみなくて。その時に「Mr.ビーンに似ていますね」と言われたから、物まねをしてみたんです。

 眉毛が太いことや山の中に住んでいることが、周囲から見れば1つの武器として見てもらえるんだっていうのは、事務所に入ってから分かりました。

撮影=山元茂樹/文藝春秋

◎衣装情報

・ワンピース‥‥MARIA(MARIA JAPAN GROUP)

 問い合わせ先:info@mariajapangroup.com

・靴‥‥MANA(コンコルディア)

 問い合わせ先:info-concordia@mana-l.com

〈 「こいつ、すごくつまらない」「眉毛でテレビに出てる」“眉毛だけが有名だった”井上咲楽(24)が、ブレイク前に抱えていたコンプレックス 〉へ続く

(佐藤 俊)

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